ナタリー PowerPush - GLAY
それぞれの“GLAY”を刻んだ 20周年シングル「BLEEZE」
あふれ出るものは止められない
──GLAYは5月にデビュー20周年を迎えたばかりですが、改めて今感じることは?
TAKURO(G) 20年って時間としては長いんでしょうけど、俺の中では20年間1日たりとも退屈した日がなくて。GLAYは常に俺のことを楽しませてくれたし、あと不安にもさせてくれたから(笑)、「ああ、もう20年か!」という感じですね。まだやれてないこともたくさんあるし、ファンのみんなと約束をしてまだ果たせてないこともあるので、「ああ、20年ってこんなもんか」っていう。やりたい曲もまだまだたくさん待機してるし、もし許されるんだったらいろんなジャンルの音楽にも挑戦してみたい。TERUの歌が、HISASHIのギターが、JIROのベースがあれば、やりたいことは尽きませんし。よく解散理由で「音楽性の違い」というのを耳にしますけど、GLAYにはその兆候はまるでないっていう、喜ばしい状況とも言えますよね。
──GLAYはこの20年、バンド活動をストップさせることもなかったですし。
TAKURO そうですね。例えば1998年にHISASHIが骨を折ったとか、そういうときは一瞬「ん?」と思ったけど(笑)、あとは常に……2カ月会わないとかないもんね。
HISASHI(G) そうだね。JIROがTHE PREDATORSをやったり、僕がACE OF SPADESをやったりと、GLAYとは違った活動も最近はあるけど、それでも大きなコンサートが終わったあとに少しだけ時間を空けるくらいかな。長期間休んで充電という感じはないですよね。
TAKURO これからの話をしますと、現時点で決まってるプロジェクトだけで2019年から2020年くらいまであって。そこに「長期オフ」っていう文字はないですね(笑)。デビューして20年も経つと年々責任感も出てくるし、この社会の中で生きる1人の40代の男性として背負う責任もあるし。特に俺らぐらいの年齢になってくると、次の世代にどんな背中を見せられるか、どんな言葉を聞かせられるかも大切な要素となってくる。俺らが30歳になる前後ぐらいに自分たちと同世代のバンドがどんどん解散していく中で、GLAYが続けることを選んだんだとしたら、そこを選んだ者としての責任を感じながら活動を続けていかなきゃいけないとも思うし。そういった部分においても、俺たちからはまだまだあふれ出るものがたくさんあるし、そのあふれ出るものは止められない。ある意味、そこから逃れられないんじゃないかな。
「灰とダイヤモンド」にはやりたいことが全部詰まってた
──そんなGLAYの原点とも言えるインディーズ時代のアルバム「灰とダイヤモンド」のアンソロジー盤が先日発売されました。
TAKURO 聴き返して気付いたことは山ほどあるんですけど……特に思ったのは、曲作りの方法とかフレーズの選び方とか、そこは当時から変わらないんだなって。もちろんこの20年間にいろんな音楽を聴いて、いろんな刺激を受けて、いろんな表現方法を試してきたつもりだけど、この「灰とダイヤモンド」にはこれから自分がやりたいと思ってたことが全部詰まってた気がしてました。そういう意味では今回の「BLEEZE」を含め、変わってないんだなと。早いうちにこんな形でやりたいことを見つけていたっていうのは、20代前半の若造にしてはしっかりしてるなと思いますけどね(笑)。
HISASHI この当時はインディーズということもあるのか、自由でのびのびと音楽をやってたなと。キラキラしていて、無邪気なのにどことなく危なげで、これから先に起こることに対してワクワクしながら音楽をやってるような、そんな音に仕上がってますよね。そこからどんどん経験を重ねて成長した音とは違う、純粋な初々しさというか、そういうものがたっぷり詰まっていると思います。
──GLAYの軸が「灰とダイヤモンド」で1つできあがって、それをどう磨き上げていくかの20年だったのかもしれないですね。
TAKURO まさにそうですね。そもそも人間の感受性は10代の頃がピークで、15、6歳までに見るものがすべてなんじゃないかな。それが20代、30代になると、一度見たものに対して今度はどう感じるかの繰り返しになっていく。1stアルバムが素晴らしいアーティストが多いのはよくわかる気がするんですよ。だってそれまでライブで鍛え上げて蓄積されたものの集大成なわけですから。自分たちがこの音楽の世界に持っていた憧れみたいなものは全部「灰とダイヤモンド」に集約されているんです。それを20年後の今聴いたときに「ああ、俺の歩き方、しゃべり方って結局変わってないな」と感じて……確かに早く歩くための練習はしたかもしれないし、上手にしゃべる技術も手に入れたかもしれない。でも根本にあるものは結局変わらないんですよね。だって「BLEEZE」があの頃のアルバムに入ってたとしてもおかしくないですもん。それがまたいいんだか悪いんだかは、わからないですけど(笑)。
ファンの人たちが喜ぶことに特化しよう
──今回リリースされる「BLEEZE ~G4 ・III~」はGLAYにとって通算50枚目のシングルになります。この20年間、過去には2作同時リリースなんてこともありましたけど、コンスタントにシングルを発表していますよね。GLAYにとってシングルってすごく重要な要素だと思うんですが?
TAKURO GLAYは1990年代のタイアップ全盛期、企画ありきで楽曲制作と向き合ってきました。いくつかのバンドはそういうことを否定したけど、俺らはそれを受け入れて学んでいくことを選んだ。でもそこで「春を愛する人」みたいに自分たちが本当に大事にしている曲を、「口唇」のカップリングにしてみるわけです。中には「口唇」よりも「春を愛する人」のほうがいいって言う人もいるだろうし、それに対して俺たちはほくそ笑むわけです。そういうこだわりはずっと持ち続けてますね。でも2000年頃からシングルの価値がだんだん崩壊していく中で、俺たちはシングルに対してよりファンの人たちが喜ぶことに特化しようと考えた。「G4」シリーズはその1つですよね。シングルというのはバンドにとって名刺みたいなものだと思うし、その姿勢はずっと変わらないです。
──なるほど。
TAKURO そうは言っても、今だったら謝りたいこともありますよ。俺、2000年代前半ぐらいは歌詞の中で「会いたい、会いたい」ばかり言ってましたからね(笑)。「会いたくて、会いたくて、でも会えなくて」みたいに。今思うと「なんかゴメン……」って思うんですけど、そのあとに「会いたい、会いたい」みたいな曲が増えてきたんです。
──HISASHIさんはいかがですか?
HISASHI 最近は曲を作る中で、これはシングル用とかカップリング用とか、っていう定義を定めないで作ってる感じはありますね。例えばスナップ写真とかでもキメ顔みたいなのがシングルだとしたら、それが今は誰にも見られてなくて自然にしてる姿を撮られて「ああ、その写真使うの?」みたいな感じに近いものをシングルにしているような。今回そういう4人の曲を1枚にまとめてみようと言ったのは、実は亀田誠治さんなんです。肩の力が抜けて純粋に音楽に向かっていく姿が切り取られた、今のGLAYを表すには打ってつけの4曲だと思います。
──今回のシングルの4曲では、メンバー4人のカラーの違いが改めて実感できました。
TAKURO 俺から見ても、俺が知ってるGLAYの4人の個性、キャラクターそのまんまですもんね。例えば「BLEEZE」を聴いても絶対にHISASHIの曲だとは思わないよね(笑)。
HISASHI ふふふ(笑)。
- ニューシングル「BLEEZE~G4・III~」/ 2014年7月9日発売 / loversoul music & associates
- CD+DVD 2052円 / PCCN-00013
- CD 1512円 / PCCN-00014
CD収録曲
- BLEEZE
- 外灘SAPPHIRE
- 黒く塗れ!
- YOU
DVD収録内容(※CD+DVD盤)
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO MAKING
- IVAN による東北六魂祭 in 山形 DOCUMENT & LIVE
- 六魂fes!×GLAY「BEAUTIFUL DREAMER」「SOUL LOVE」「everKrack」
CD収録曲
- BLEEZE
- BLEEZE KARAOKE VER.
DVD収録内容
- 「誘惑」from GLAY EXPO ’99 "SURVIVAL"
- 「グロリアス」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in TOKYO STADIUM
- 「口唇」」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in HOKKAIDO
- 「HOWEVER」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in KITAKYUSHU
- 「春を愛する人」from GLAY EXPO 2004 "THE FRUSTRATED"
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO(Loppi・HMV VER.)
- 「BLEEZE」LIVE VER. FROM 六魂祭
- Blu-ray Disc / DVD「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」/ 2014年6月18日発売 / loversoul music & associates
- [Blu-ray Disc 3枚組]14904円 / PCBE-53335
- [DVD3枚組]14904円 / PCXE-53335
- アルバム「灰とダイヤモンド Anthology」/ 2014年5月25日発売 / loversoul music & associates
- [CD2枚組+DVD]6999円 / PCCN-90001
GLAY(グレイ)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。GLAYメジャーデビュー20周年となる2014年は、デビュー日にあたる5月25日にインディーズで唯一リリースしたアルバム「灰とダイヤモンド」の特別仕様「灰とダイヤモンド Anthology」を発表。6月18日には未発売のライブ映像をまとめた「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」を、7月9日には50枚目のシングルとして「BLEEZE~G4・III~」をリリースした。同作の表題曲「BLEEZE」は初のTERU作詞・作曲のシングル表題曲であり、9月20日に宮城で行われる大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」のテーマソングにも決定している。