ナタリー PowerPush - GLAY
それぞれの“GLAY”を刻んだ 20周年シングル「BLEEZE」
5月25日にデビュー25周年を迎えたGLAYから、アニバーサリーイヤーを飾るシングル「BLEEZE~G4・III~」が届けられた。彼らにとって50枚目のシングルとなる本作は、TERU(Vo)が作詞作曲を担当した「BLEEZE」を筆頭に、メンバー4人がそれぞれ手がけた新曲をパッケージ。GLAYの個性をあますことなく凝縮した、20周年にふさわしい1枚と言える。
今回の特集ではTERU×JIRO、TAKURO×HISASHIという組み合わせでインタビューを実施。20周年を迎えた心境、プロデューサーの亀田誠治とのタッグで見出した“新しいGLAY”、「GLAY EXPO」に向けての思いを明かしてもらった。
取材・文 / 中野明子(TERU×JIRO)、西廣智一(TAKURO×HISASHI)
シングル曲を書くのは絶対にヤダっ!
──デビュー20周年おめでとうございます。20周年を迎えられた今の心境はいかがですか?
TERU(Vo) 気持ち的にはあまり変わらないですね(笑)。デビュー日の5月25日は山形でライブ(山形市霞城公園内市営野球場で開催された「六魂Fes!×GLAY Special Live powered by Benefit one」 / 参照:GLAY、20周年記念日に「GLAY EXPO」テーマ初披露)をしてたんで、いろんな人に祝ってもらって「ああ20周年を迎えたんだな」って実感したんですけどね。その前後はレコーディングして、ライブに向けて動いてっていういつもと変わらない活動をしてます。
JIRO(B) 僕も自分がDJをやってるラジオ番組にリスナーが「20周年おめでとうございます。私とGLAYの出会いは~」っていうようなメールを送ってきてくれることで20年を実感するくらいで。「小学校のときに初めてGLAYを聴いて、今30歳になりました!」とか言われると、「お前も大人になったなあ!」って思いますけど。
──感慨にふけったり、ということはあまりないと。
JIRO そうですね。GLAYの関係性も20年前とそんなに変わってないから。最初の頃は、俺がほかのメンバーに敬語だったくらいで。
TERU 出会って半年くらいですよ、敬語だったのは。デビュー当時はすでに敬語じゃなかった。
JIRO もう、俺がメンバーにお金を貸したときから敬語が消えましたから(笑)。当時ね、ライブハウスのノルマを払えなくて、入ったばかりの俺が立て替えたんですよ。
TERU そこからメンバーの関係性は変わってないです(笑)。
──さて今回のシングルはアニバーサリーシングルと銘打たれていますね。さらにTERUさんが作詞作曲を手がけた初のシングル曲ということで話題を集めてます。
JIRO 一昨年に僕とHISASHIの曲がシングルになったので(2012年12月リリースの「JUSTICE [from] GUILTY」「運命論」)、TAKUROが「50枚目のシングルはTERUお前が書け。そうなったら流れがいいじゃん」ってライブの打ち上げでTERUに言ったんですよね。そのときにTERUは即座に「絶対にヤダっ!」って(笑)。
TERU 即答でしたね(笑)。シングルリリースのたびに取材を受けるじゃないですか。TAKUROは話すのが得意だし、話題は尽きないんですけど、それでも雑誌や新聞の取材で話をしてるのを見ると大変そうだなって思ったんですよ。自分の曲を語ることがストレスになってしまうんじゃないかと。曲を書くのは好きですけど、シングルとなるとGLAYっていうバンドの人生を背負ってるイメージがあるんです。バンドの名刺代わりでもあるし。背負うのは歌だけで精一杯っていうのがあるし、いろんな人に歌詞を読まれるのも照れくさくて。アルバムのために書く場合は、GLAYのことが好きな人が手にとってるっていう印象があるので、あまり緊張しないんですけど。
──なるほど。TERUさんがそれだけシングルの存在を重用視してるということですよね。
TERU シングルが売れる時代に活動してきましたからね。シングルで発表した曲に人生を変えられたってリスナーに言われてきたので、シングルに対する責任感は今も感じるんですよ。
──そんなTERUさんがシングル曲を書く覚悟を決めた理由は?
TERU TAKUROの説得ですね。「考えてみ? 50枚目のシングルがTERUの作詞作曲の曲だったらすごいドラマチックじゃん」って言われて、そこまで期待してくれるんだったら書いてみようかと。ただ俺が率先して曲を書いていくタイプではないからこそ、GLAYはいいバランスで活動できてるという気もしてるんです。僕の場合は、表現者っていうよりはメンバーが作った曲を歌う歌い手だと自覚してるんで、本来はそこに徹していたいんです。
──と言いつつ、新しい試みに挑んだと。
TERU 「JUSTICE」「GUILTY」(2013年1月同時リリースのオリジナルアルバム)の内「JUSTICE」はセルフプロデュース作ということでひと区切りついたのもあるでしょうね。そのあとの作品でGLAYを外部の人がどう調理するのか化学反応を見たいっていう気持ちがあって、プロデューサーとして亀田(誠治)さんを迎えて。自分としても亀田さんとの仕事を通して、新鮮味を感じたい、チャレンジしたいっていう思いが出てきたんです。それが「BLEEZE」を書くきっかけになったと思います。
“自分の大好きなGLAY”を作りたかった
──そんな「BLEEZE」は、9月に宮城で行われる「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」のために作った曲だそうですが。
TERU TAKUROからシングルを書いてくれと打診があった時点で、「EXPO」のテーマ曲になることは決まってたんですよね。それで爽快感だったり、青空の下で聴いて気持ちいい曲というのを想定して。あとはGLAYのファンの人たちってライブ中にこうやって前後に手を振るので(通称「GLAYチョップ」。両手を伸ばして上げ、リズムにあわせて振り下ろす動作)、その動きが一番気持ちよくできるテンポを考えたんです。
──振りありきで曲を作っていったと。ところで歌詞をラブソングの形にした理由はあるんですか?
TERU 歌詞の内容はラブソングですけど、男女のラブソングを作ったという意識はないんですよ。東北に住むGLAYファンと僕たちとの関係性を表現するのがテーマとしてあって、それを言葉にしたらこうなったという。恋のときめきと、ライブに向かうときの気持ちって近いものがあるんじゃないかなって。「EXPO」に来る人の中には東日本大震災で被災した人もいるでしょうし、その人たちが笑顔になってくれたらっていう願いがあって。そうしたら自然と明るい、キラキラした歌詞とメロディになりました。
──「BLEEZE」を初めて聴いたとき、JIROさんはどんな印象を受けましたか?
JIRO GLAYがGLAYであるためのメロディを、TERUはすごく把握してるなって。だからいい意味で、あんまり新曲っぽく聞こえないというか。
TERU “自分の大好きなGLAY”を作りたかったんですよね。ストレートなメロディ展開と歌詞で構成されているような曲。ちょっと懐かしい雰囲気もあるし、リスナーも違和感なく聴くことができるんじゃないかな。
JIRO まあTAKUROくんがこういう曲を作っても、絶対途中で転調するよね(笑)。
TERU そうかも(笑)。最後半音上がったりね。
- ニューシングル「BLEEZE~G4・III~」/ 2014年7月9日発売 / loversoul music & associates
- CD+DVD 2052円 / PCCN-00013
- CD 1512円 / PCCN-00014
CD収録曲
- BLEEZE
- 外灘SAPPHIRE
- 黒く塗れ!
- YOU
DVD収録内容(※CD+DVD盤)
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO MAKING
- IVAN による東北六魂祭 in 山形 DOCUMENT & LIVE
- 六魂fes!×GLAY「BEAUTIFUL DREAMER」「SOUL LOVE」「everKrack」
CD収録曲
- BLEEZE
- BLEEZE KARAOKE VER.
DVD収録内容
- 「誘惑」from GLAY EXPO ’99 "SURVIVAL"
- 「グロリアス」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in TOKYO STADIUM
- 「口唇」」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in HOKKAIDO
- 「HOWEVER」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in KITAKYUSHU
- 「春を愛する人」from GLAY EXPO 2004 "THE FRUSTRATED"
- 「BLEEZE」MUSIC VIDEO(Loppi・HMV VER.)
- 「BLEEZE」LIVE VER. FROM 六魂祭
- Blu-ray Disc / DVD「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」/ 2014年6月18日発売 / loversoul music & associates
- [Blu-ray Disc 3枚組]14904円 / PCBE-53335
- [DVD3枚組]14904円 / PCXE-53335
- アルバム「灰とダイヤモンド Anthology」/ 2014年5月25日発売 / loversoul music & associates
- [CD2枚組+DVD]6999円 / PCCN-90001
GLAY(グレイ)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。GLAYメジャーデビュー20周年となる2014年は、デビュー日にあたる5月25日にインディーズで唯一リリースしたアルバム「灰とダイヤモンド」の特別仕様「灰とダイヤモンド Anthology」を発表。6月18日には未発売のライブ映像をまとめた「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」を、7月9日には50枚目のシングルとして「BLEEZE~G4・III~」をリリースした。同作の表題曲「BLEEZE」は初のTERU作詞・作曲のシングル表題曲であり、9月20日に宮城で行われる大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」のテーマソングにも決定している。