ナタリー PowerPush - GLAY
TAKURO&HISASHIが考える“GLAYらしい楽曲”
「このポップ感はほかの曲に負けてないな」
──2曲目の「虹のポケット」ですが、シングルではこういうポップチューンはひさしぶりですよね?
TAKURO 90年代は「グロリアス」とかこんな感じだったよね、俺たち。でも確かにそうかも……「SAY YOUR DREAM」(2009年3月発売のシングル)とか「Precious」(2010年9月発売のシングル)とかの頃は人生のなんたるかを突き詰めたくて、ちょっとヘビーな曲ばっかり書いてましたけど、42歳になって1つ何かをつかめた気がしていて。実は「DARK RIVER」以降、亀田さんの影響でもうちょっとエンタテインメント方向を意識するようになったんです。近所のドン・キホーテに行くと、EXILEとか最新のヒット曲が流れてるんですけど、そこに「DARK RIVER」も入っていて。一連の流れで聴いたときに「あ、このポップ感はほかの曲に負けてないな」と実感できたんです。「虹のポケット」のポップ感はその延長線上にあるんじゃないかな。
──この曲はCDリリースに先駆けてデジタル配信されましたけど、GLAYにとってパッケージに対するこだわりってどれくらいありますか?
TAKURO 俺たちはライブをやりたくて新曲を作ってるようなものなんです。だからレコードからCD、CDから配信になろうが、俺たちの中心はライブなんです。常に「この曲、ライブならどうする?」「次のライブでどの曲をやる?」といった話はするけど、「虹のポケット」がいつから配信かは知らないでしょ?
HISASHI 知らない。
──あははは(笑)。
TAKURO 「Eternally」が先行配信されたのも知らないでしょ?
HISASHI そうなの? 先行配信されたの?
TAKURO こんな感じなんです(笑)。
──そうか。いい曲を書いて、それをライブでやりたいという欲求が強いと。
TAKURO そうですね。もちろん時代に合わせて、曲を早く届けたいんだったら先行配信すればいいし、CDが欲しいっていうファンもたくさんいるから、じゃあCDもジャケットから何から気合いを入れてアイデアを出していくし。でも自分たちが一番重きに置いてるものはライブでその曲を演奏することなんです。それこそ後期のThe Beatlesはライブを前提としない曲作りだったわけですけど、どういう感じだったんだろうってちょっと考えますよね。
──あ、そういったことは考えたことがないんですか?
TAKURO ないです。だって、もしGLAYがこの先5年間ライブ活動を停止するよって言われたら俺、何をしていいのか、どんな曲を作っていいのかわからないですもん。GLAYって曲だけではないんですよ。いいメンバー、いいスタッフ、いいステージ、いい演奏、いい衣装、そういうもの込み込みでGLAYなんです。
この3曲が今のGLAYなんですよ
──TAKUROさんは作詞の際に注意してること、意識してることって何かありますか?
TAKURO そうですね……そのときそのときの、等身大の自分たちを歌おうと。失った恋を思い出して切なくなる夜もあるだろうけど、だったらその今の気持ちをそのまま歌えば、ちゃんとした成長物語として音楽に落とし込めると俺は思ってます。そういう意味では、今回のシングルに入ってる「CRAZY DANCE」も一緒で。この曲は16歳の頃に書いたんですけど、今こういう歌詞の曲を書けと言われてもできないですよ。なんていうか、常識が邪魔をするし(笑)。
HISASHI あははは(笑)。
TAKURO 「CRAZY DANCE」って何度も連呼していて、まるでTERU(Vo)がバカみたいじゃないかとか、あの頃はまったく思ってなくて(笑)。これがすべてだと信じてたし、その信じられる思いこそがGLAYの強さであり、GLAYの面白みであり、GLAYの醍醐味だと思うんです。「CRAZY DANCE」は20数年前、「虹のポケット」は10年前、「DIAMOND SKIN」だって2年近く前の曲だけど、曲ができた時期ってバンドにとってそれほど影響はなくて。それぞれの曲は、そのときにしか書けなかった曲だと思うんです。
──なるほど。そう考えると「DIAMOND SKIN」の歌詞は16歳のときには書けなかったでしょうし。
TAKURO そうですね。女を知らないですからね……あ、知ってたか(笑)。
──あははは(笑)。「DIAMOND SKIN」と「CRAZY DANCE」を同じ作品の中に並べることができるのも、20年近く続けてきたからこその説得力のなせる技だと思いますし、と同時にそこが今のGLAYの面白いところなんでしょうね。
TAKURO HISASHIはどうなの? 実際、この3曲はどう思ってるの? 胸張って世に出せるの?
HISASHI これはなんて言うんだろう……この3曲が今のGLAYなんですよ、っていうか。すべてに理由があるわけですよ。「GUILTY」「JUSTICE」とアルバムを2枚作って、函館でデカいライブをやって、さて来年デビュー20周年ですっていうときに、今のGLAYはこれですって提示できるのがこの3曲。必然的にこの3曲になったし、流れに従った結果がこれなんです。
「CRAZY DANCE」が海外でヒットしたらどうしよう?
──それにしても今回のシングル、3曲とも方向性がバラバラですね。
TAKURO 気合いを入れすぎましたね。しかも特典DVDには40分近くも映像が入ってるし(笑)。あんまりほかのアーティストさんのことはわからないんですけど、それにしても気合い入れすぎだろうと。タイアップも全曲に付いてますけど、「CRAZY DANCE」なんてライブDVD(「GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」)の公式応援ソングだし、もう意味がわからない(笑)。
──あはは(笑)。
TAKURO だけどこういうことが俺、大好きなんだよ。トリプルA面とか言っちゃったり。
HISASHI 言ったもん勝ちですよ(笑)。
──「CRAZY DANCE」がA面扱いという事実もすごいことですし(笑)。
TAKURO 10年後に過去を振り返ったときに、「この曲、シングルのA面曲なんですよ」って。
HISASHI そろそろファンにも突っ込まれてきましたね。「GLAYさん、それちょっと苦しいんじゃない?」って(笑)。
──でも「DIAMOND SKIN」と「虹のポケット」があるからこそ、「CRAZY DANCE」が収録されることに意味があるんだと思いますよ。
TAKURO 函館でのライブで「シングルにします」って言っちゃったから実現させましたけど、この曲を単体でリリースする勇気は今の俺にはまだないです(笑)。でもめちゃくちゃヒットしたらどうしよう?(笑)
──あははは(笑)。GLAYが新境地を切り開くきっかけの1曲になるかもしれませんし。
HISASHI ベルギーのiTunesチャートで1位とかね。
TAKURO 「(恋の)マイアヒ」みたいな感じで(笑)。
- ニューシングル「DIAMOND SKIN / 虹のポケット / CRAZY DANCE」/ 2013年11月27日発売 / loversoul music & associates
- CD+DVD 1800円 / PCCN-00011
- CD+DVD 1800円 / PCCN-00011
- CD 1200円 / PCCN-00012
CD収録曲
- DIAMOND SKIN
- 虹のポケット
- CRAZY DANCE
初回限定盤DVD収録内容
- 「DIAMOND SKIN」ミュージックビデオ
- メイキングビデオ+メンバーインタビュー
- 最新LIVE映像(函館)DAY1「Bible」、DAY2「Winter,again」
- 函館LIVEダイジェスト映像+メンバーインタビュー
- ライブDVD / Blu-ray「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」/ 2013年11月27日発売 / loversoul music & associates
- COMPLETE SPECIAL BOX(初回限定盤)[Blu-ray Disc 2枚組+フォトブック] 13000円 / PCXE-53329
- COMPLETE EDITION(通常盤)[Blu-ray Disc 2枚組] 10000円 / PCXE-53330
- COMPLETE SPECIAL BOX(初回限定盤)[DVD 4枚組+フォトブック] 13000円 / PCBE-53330
- LIVE DVD DAY1 ~真夏の小雨篇~(通常盤)[DVD 2枚組] 5000円 / PCBE-53331
- LIVE DVD DAY2 ~真夏の豪雨篇~(通常盤) [DVD 2枚組] 5000円 / PCBE-53332
- GLAY CHRISTMAS SHOW 2013 ACOUSTIC MILLION DOLLAR NIGHT
GLAY(ぐれい)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年、シングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2008年8月には初のアメリカライブをサンフランシスコとロサンゼルスで行った。2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立し、2012年7月の長居スタジアムライブにてデビュー20周年に向けた7大サプライズを発表。この一環として、12月にシングル「JUSTICE [from] GUILTY」「運命論」を、2013年1月にオリジナルアルバム「JUSTICE」「GUILTY」を2枚同時リリースした。2月からは約25万人を動員する全国アリーナツアーがスタート。その後、5月からは香港、台北にてアジア公演を、7月には函館・緑の島野外特設ステージにて野外ライブ「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」を開催した。11月27日には函館ライブの模様が収められたDVD / Blu-rayと、通算49枚目となるトリプルAサイドシングル「DIAMOND SKIN / 虹のポケット / CRAZY DANCE」が同時発売。12月から10年ぶりのアコースティックライブを、GLAYとしては初のツアー形式で行うことが決定している。