ナタリー PowerPush - GLAY
TAKURO&HISASHIが考える“GLAYらしい楽曲”
GLAYのニューシングル「DIAMOND SKIN / 虹のポケット / CRAZY DANCE」がリリースされた。今年1月には「JUSTICE」「GUILTY」という2枚のオリジナルアルバムを同時リリースし、7月発売のシングル「DARK RIVER / Eternally / 時計」では「DARK RIVER」の制作に亀田誠治をプロデューサーに迎えるなど、精力的な創作活動を続ける彼ら。7月に地元函館で実施された野外ライブ「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」の模様を収めたライブBlu-ray / DVDと同時発売になるこのシングルには、タイプは異なるものの“これぞGLAY”と言える3曲が収録されている。
今回ナタリーではTAKURO(G)とHISASHI(G)の2人にインタビューを実施。近年のGLAYの創作活動を振り返りつつ、新曲の魅力や2人が考える“GLAYらしい楽曲”について語ってもらった。
取材・文 / 西廣智一
GLAYだけは汚しちゃいけないっていう思いがある
──2013年はオリジナルアルバム2枚、シングル2枚、映像作品とリリースラッシュでしたね。
TAKURO(G) そうですね。アルバムっていつだっけ?
HISASHI(G) 1月だっけ?
TAKURO 1月か。それも2枚同時リリースでしたもんね。ああ、確かに。でも俺ら、昔はシングルを年に4枚とか出してたよね。
HISASHI ベストアルバムにオリジナルアルバムを付けたりもしたし。リリースの形態はちょっと特殊かもしれないけど、曲数としてはかなり出してるからね。
TAKURO 音楽を作るのが仕事とはいえ、それがルーチンワークにならないよう、自分たちやファンの人たちがワクワクできるような何か面白いことを常に探してるんです。それにしても20周年を目前にこんなに活動的になるとは、もちろんデビュー当時は思ってなかったですね。幸せなことですよ。
──長く活動を続けていくと、どうしてもリリース間隔が長くなってきて、発表されるアイテム数も少なくなっていくケースが多いですが、GLAYの場合は創作ペースがまったく落ちてないんですよね。新曲をどんどん生み出していくそのモチベーションは、20周年を目前にした今も落ちないものなんですか?
TAKURO 不思議なもので、音楽の世界にはまだ俺たちが手を付けていないジャンルも多々あるし、この世の中に対して伝えたいメッセージ、4人の中にそれぞれ40代の人間として語るべき言葉がまだたくさんあるんです。音楽を作るってこと自体は高校生の頃とあんまり変わってないというか、例えば今まで自分の中になかったようなコード進行を見つけたり、新しい機材に触発されたりと、音楽は常に俺らに刺激をくれる。「新しいギターを買ったから、この音でイントロを作ってみたらどうだろう?」って考えると、もうそれだけでワクワクが止まらないわけです。そんなだから、「ああ、もう次の作品を作らなきゃいけないのか。やれやれ」なんて思ったことは一度もないんですよ。
HISASHI 最近は音楽シーンの移り変わりが早いし、情報の伝わり方も速いけど、そんな状況が実は僕らGLAYには合ってると思うんですよね。やっぱり過去の曲も大事にしながらも、新しい音をどんどん追い求めていくことがすごく楽しいですし。
TAKURO ありがたいことに、そういった自分の表現欲求にバンドも応えてくれて。例えばさっきのベスト盤じゃないですけど、「どうせベストアルバムを出すんだったら、今の自分たちも同じように聴いてほしいよね」って新曲をたくさん作るわけです。今の時代に届けたい新曲がたくさんあるから、じゃあこっちもついでに楽しんでもらおうと。そういった意味では、GLAYって非常に健康的なバンドだなと思ってます。もちろん俺たち4人も人間だから、それぞれいろんなことはあるんだろうけど、僕はそれを絶対にGLAYに持ち込まない、GLAYだけは汚しちゃいけないっていう思いがあって。そういう覚悟みたいなものは、ほかの3人からも感じますね。
GLAYを理解してもらうには函館の空の下で鳴らすことが一番
──例えば皆さんが子供の頃と比べて、今は海外と日本の音楽の流行にそこまでタイムラグがなくなりましたよね。逆に日本から生まれた音楽シーンがすぐに海外に輸出されて、面白い形に盛り上がっていることもあります。ミュージシャンとして、そういう部分にワクワクしますか?
HISASHI うーん、そうだな……僕が感じてるのは、音楽の単価が低くなってるなってことで。ファストフードとかファストファッションとか、時代がそっちに流れていったとしても、僕は音楽だけはちゃんとアナログな機材とマイクを使って作っていきたいな。便利なシーンとはちょっと逆行するんですけど、そこだけはリスナーの耳を騙さないようにしたい。そこはデビューしてから一貫して変わらない部分ですね。
TAKURO もちろんデジタル配信だったり、ライブ音源を「G-DIRECT」っていう自分たちの通販サイトから限定販売するような時代に合ったやり方もするけれど、基本的にGLAYとテクノロジーの関わり方って意識的ではなく、それに合わせた曲作りをしてなくて。例えば、GLAYは今年の夏に函館でライブをやりましたけど、自分たちの音楽を理解してもらうには、自分たちが生まれ育った函館の空の下で音楽を鳴らすことが一番だろうなとずっと思ってたんですね。そうすることで「Winter,again」や「Eternally」や「Precious」の背景がわかってもらえると思うんです。当日は土砂降りでとてつもない苦労をかけたけど、GLAYの歴史の中で2013年7月のあの2日間というのは、GLAYファンの中では大きな共通認識みたいなものになったんじゃないかな。「あのとき、何やってた?」って。それに対して「私、会場に行ってた」とか「WOWOWの中継で観てた」とか「実は札幌まで行ったけど、JRが動かなくて行けなかった」とか、いろんな声がある。そういうことがやりたかったし、それこそがGLAYの音楽なんだと思います。
──なるほど。
TAKURO いまだに曲を作るときは、ツアー中だったらHISASHIとちょっと早めに会場に入って、ギターリフを作ってそれに歌メロを乗せてるし。俺たち昔から変わってないよね。今まで多くの曲を作ってきましたけど、例えばコンピュータで作ったデータをHISASHIに渡して、それにギターを弾いてもらってとか、俺らはできないんで。だからね、早すぎるテクノロジーの歩みとはちゃんと距離を取ってる印象はありますね。
- ニューシングル「DIAMOND SKIN / 虹のポケット / CRAZY DANCE」/ 2013年11月27日発売 / loversoul music & associates
- CD+DVD 1800円 / PCCN-00011
- CD+DVD 1800円 / PCCN-00011
- CD 1200円 / PCCN-00012
CD収録曲
- DIAMOND SKIN
- 虹のポケット
- CRAZY DANCE
初回限定盤DVD収録内容
- 「DIAMOND SKIN」ミュージックビデオ
- メイキングビデオ+メンバーインタビュー
- 最新LIVE映像(函館)DAY1「Bible」、DAY2「Winter,again」
- 函館LIVEダイジェスト映像+メンバーインタビュー
- ライブDVD / Blu-ray「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」/ 2013年11月27日発売 / loversoul music & associates
- COMPLETE SPECIAL BOX(初回限定盤)[Blu-ray Disc 2枚組+フォトブック] 13000円 / PCXE-53329
- COMPLETE EDITION(通常盤)[Blu-ray Disc 2枚組] 10000円 / PCXE-53330
- COMPLETE SPECIAL BOX(初回限定盤)[DVD 4枚組+フォトブック] 13000円 / PCBE-53330
- LIVE DVD DAY1 ~真夏の小雨篇~(通常盤)[DVD 2枚組] 5000円 / PCBE-53331
- LIVE DVD DAY2 ~真夏の豪雨篇~(通常盤) [DVD 2枚組] 5000円 / PCBE-53332
- GLAY CHRISTMAS SHOW 2013 ACOUSTIC MILLION DOLLAR NIGHT
GLAY(ぐれい)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年、シングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2008年8月には初のアメリカライブをサンフランシスコとロサンゼルスで行った。2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立し、2012年7月の長居スタジアムライブにてデビュー20周年に向けた7大サプライズを発表。この一環として、12月にシングル「JUSTICE [from] GUILTY」「運命論」を、2013年1月にオリジナルアルバム「JUSTICE」「GUILTY」を2枚同時リリースした。2月からは約25万人を動員する全国アリーナツアーがスタート。その後、5月からは香港、台北にてアジア公演を、7月には函館・緑の島野外特設ステージにて野外ライブ「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」を開催した。11月27日には函館ライブの模様が収められたDVD / Blu-rayと、通算49枚目となるトリプルAサイドシングル「DIAMOND SKIN / 虹のポケット / CRAZY DANCE」が同時発売。12月から10年ぶりのアコースティックライブを、GLAYとしては初のツアー形式で行うことが決定している。