GIRLFRIEND×清水翔太|スクールの先輩から後輩へ贈る「それだけ。」の話

未熟だけど一生懸命な女性

──清水さんから見て、この曲のポイントはどこだと思いますか?

清水 ポイントってないんですよね。やっぱり全体で聴いてほしいというか。どこか1つ欠けても困りますし。たださっきも言った通り、この曲の主人公はピュアというか、未熟なんですよ。わかりやすく言えば子供というか。僕は女の子はそれでもいいけど、男はそれじゃダメだと思っていて。未熟な女の子をどれだけ受け止められるか、成長させてあげられるかが男の力量だと思うんです。もちろん包容力があって男を甘えさせてくれる女性もすごく魅力的だし、それを否定するわけじゃないんですけど、未熟だけど一生懸命に相手を愛そうとする女性像みたいなものは、僕なりに上手に書けたかなと思います。彼女たちと同世代の女の子に聴いてほしいと思っていましたけど、意外と男に聴いてほしい曲かもしれないですね。

──この曲の女性像についてGIRLFRIENDの4人はどう感じましたか?

MIREI(Dr)

MIREI 全部いいんですけど、特にグッとくるところがメンバーそれぞれ違うんですよ。この曲をいただいたとき、ほかの3人の感想を聞きながら「みんな自分と照らし合わせているんだな」と思ってました(笑)。

──いい話ですね。それぞれのグッときたところを教えてください。

MIREI うーん……全部共感できるんですけど、最後のほうのサビの「後悔しないからどこでも連れてって 何にも決まってなくたって あなたがいればそれでいい」にはハッ!としました。私にもそういう経験があって、自分的にグッときたところですね。

NAGISA 私は2番のBメロの「バカな夢みるほど私、子供じゃない だけど割り切れるほど大人でもない」「信じるってなんだろう? 強さってなんだろう?」というところがグサッときました。私は今18歳なんですが、大人だけど子供みたいなちょっと中途半端な年齢で、恋愛に限らずそういうことを考える時間が増えたので。

MINA 私は2番のAメロの「恋が姿を変えてくのは 空のグラデーションと似てるね」というところがすごく好きです。言葉をたくさん使っているわけじゃないのに、すべてが詰め込まれてる感じがして。1番で培ってきた歌詞の世界観を、2番で絞り出すようなこのくだりが好きです。

SAKIKA 私はNAGISAと同じ2番のBメロの「あなた覗き込んだらそこに私がいた」というところです。相手を知ることによって自分を知るというか。恋愛をすることで知らなかった自分に気付けるようなことって、恋愛してる女の子はたぶんみんな共感できるポイントだと思います。

この先、この曲を歌える人に出会うことは難しい

──彼女たちの感想を聞いて、清水さんはいかがですか?

清水 初々しいですね。みんなが言ってくれたところは僕も好きです。実は今、なんでこの曲を書いたのかを思い出していたんですけど、実際にこういう状況があって「家路の途中の細い一方通行 ここにある半分壊れた街灯は」という最初のフレーズから書き始めたんです。家に向かって歩いているときに、人通りのない細い道があって、街灯が壊れてパカパカ光ったり消えたりしていて。その瞬間って、みんな世界に独りぼっちみたいな感じがするんじゃないかな。その世界を照らしてくれる唯一の灯りさえ壊れていたら、すごく寂しくて不安になるだろうし。そういうちょっとした寂しさとか不安に、恋愛の状況がシンクロするみたいな。でもそれってなんだかすごく女々しい感情というか(笑)。だから「あまりにも人通りがなくて」のあとまで書いたところで「これは女の子の歌だな」と決めてたんですけど、さっきも話したように、どんな人が歌うのがいいかがすごく難しくて。若さは前提だし、でもふにゃふにゃした人でもダメだし。芯は強いけど、ふとしたときに弱さが出てしまった、みたいなニュアンスが必要なんです。そういうバランスを持っている人ってあまりいないから、彼女たちがすごくいいなと思ったんですよ。この先、この曲を歌える人に出会うことは難しいと思ったので。

──いつもは張って歌っているSAKIKAさんがちょっと抜いて歌うというアプローチがそのお話にシンクロしますね。

清水 彼女たちの持ち味っていうのは確実にあって、仮にそれが黒だとしたら、それを表現するために前もって見せると一番いいのは間違いなく白。彼女たちの中にこういう曲がないなら、これをやることによって自分たちの持ち味がズバッと刺さる瞬間をライブとかで作りやすくなる。僕は一応そういう意図も持ってこの曲を歌ってもらったつもりなんです。自分が彼女たちに関わる意味を考えたら、今以上に多くの人に届けることが使命というか、仕事でもあるから。だから持ち味の黒に対する白を表現するのは意識しました。この曲は今彼女たちが思ってる以上に役立つ日がきっと来るはずだし、そうあるべきだし。「そうなるから心配せずに思いっきりやってね」という感じで自分は見ていました。

──おお……関係ない僕が感動してしまいました。

清水 そんな大した話じゃないですよ(笑)。

──いやいや。コントラストを付けることで、元の色がさらに際立つ効果を狙ったということですよね。

清水 そうです。

──こういう話は制作中にもされましたか?

清水 そんなにしてないよね? たぶん。

NAGISA(G)

NAGISA はい、初めて聞きました。

MIREI 感動しました……。

NAGISA 個人的な思い出なんですけど、スクールのロビーで翔太さんのライブ映像が流れてて、私はそれをソファに座ってずっと観ていたんですよ。本当にずっと憧れの先輩で。東京に出てきてデビューして3年が経って、こんな形で素敵な楽曲をプレゼントしてもらって……もう、なんて言ったらいいんだろう(笑)。もっともっとライブで大切に演奏して歌って、この曲と一緒に成長していけたらなって、すごく思いました。

MINA 最初にこの曲を聴いたとき、歌詞の世界観とか、自分たちだけでは作れない大人っぽさにすごくグッときたんです。それはもう、何回演奏してもそのたびにフラッシュバックするくらい強烈な印象で。GIRLFRIENDで「絶対にやってやる」っていう気持ちはもちろんあるんですけど、やっぱり不安も大きい時期だったんです。そんなときに尊敬する翔太さんからこんな素敵な曲をいただけて、「この曲に似合うような奏者にならないといけない」といういいプレッシャーを感じたし、刺激になりました。

SAKIKA 私たちだけでは出せなかった色の曲ですし、私たちを選んで渡してくださったのがすごくうれしいです。「GIRLFRIENDだからこそ歌える曲なんだ!」って自信を持って歌いたいし、たくさんの人に届けたいと改めて思いました。

MIREI みんなが全部言ってくれましたけど、私も翔太さんがそこまで考えてくださったことに、言葉にならないぐらい感動しました。この曲のおかげでGIRLFRIENDとしてできることが増えていくと思うし、ホンマに大事にしていきたいです。すべてにおいて「ありがとうございます!」っていう気持ちです。