ナタリー PowerPush - ゲスの極み乙女。 / indigo la End
川谷絵音、その人物像と2バンドについて
バンドが唯一前を向いて生きられる場所
──じゃあ川谷さんは音楽をやる側の人になる気はあまり……。
なかったですね。僕、けっこうブレるんで。このまま研究者として就職するんだろうなっていうフワフワした感じだったんで、バンドを始めてからも研究室の予定を優先してたし、このままどうなるんだろうって受身なことを思ってたんですけど、「スペースシャワーからCD出しませんか?」って話が来て。その後大学院を休学してからですね、音楽をやることを意識し始めたのは。でもそれも大学がイヤだったからなんですけどね。もうこの空間にいたら、俺死ぬなと思って。
──それまでなんとか大学院にいたのは?
完全なる惰性ですね。その当時、「CDが出せる」っていうのは非日常だったんで。自分が作ったものが全国に出回るっていうことだけで、すごいウキウキする内容じゃないですか? そんなんだったら大学院なんてもう辞めようと思ったというか(笑)。
──就職はしなくてよかったんですか?
就職活動も1回だけしましたけど、合同説明会に行って「戦国無双」ってゲームの画面を2時間ボーっと観てるだけで終わったんですよ。説明会のブースに入んないで、ゲームの画面を眺めてた。
──(笑)。ハナからやる気がなかった?
何に対してもやる気がないんですよ。基本的には家でボーっとしていたいし、ラクして生きていたい(笑)。
──じゃあ、今の状況は図らずもこうなった感じ?
そうですね。でもやっぱり音楽は好きだし、自分で曲を全部作ってるんで愛着もあるし、音楽をやってる自分に安心するというか。自分のことは嫌いなんですけど、唯一、バンドが前を向いて生きられる場所というか、家みたいなもんなんで。
誰にも本心は話さないです
──バンドで曲を作るまで惰性で生きてきたと言ってましたけど、やりたいことをやる瞬発力は高そうですね。
そのとき、どういう気持ちで動いてたかあんまり覚えてないんですけど、突発性みたいなものはあります。ただ、そのときに思ってることは本当でも、今の僕にとってそれが本当なのか嘘なのかはわかんない。だから僕、自分の過去の発言には責任は持ってないというか。今言ってることも、次の瞬間には忘れてるのかもしれないし。
──それって普段の人間関係にも影響しますよね。
そうですね。僕、人間関係を作っていくのが得意じゃないので、けっこうすぐ致命的なことを言っちゃったり、逆に何も言わなかったりするんです。自分の中に踏み込まれるのが苦手なので、基本的には心を閉ざしてますね。
──総じてすごく割り切ってますね。「何をそんなにあきらめてるのか?」と思うぐらい。
(笑)。誰にも本心は話さないです。別に誰かに裏切られた経験があるわけでも、人間不信でもないですけど、ただ自分のことを信じてはいるっていう。でも、曲にはけっこう本心が出てるというか……「本当はもっと人と向き合いたいんじゃない?」とか、いろんな人に言われるんです。自分でもそうは思う。歌詞でもそう書いてるし、本当はそういうふうにしたいみたいな気持ちもあるんでしょうけど、できないというか。
──確かに曲の中には”ナチュラルなあきらめ”みたいなものが出てる気がします。
そうですね(笑)。
- ゲスの極み乙女。メジャーデビューミニアルバム「みんなノーマル」/ 2014年4月2日発売 / unBORDE / WPCL-11747
- [CD] 1620円 / WPCL-11747
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収録曲
- パラレルスペック
- サカナの心
- 市民野郎
- ノーマルアタマ
- song3
- ユレルカレル
- indigo la Endメジャーデビューミニアルバム「あの街レコード」/ 2014年4月2日発売 / unBORDE / WPCL-11748
- [CD] 1620円 / WPCL-11748
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収録曲
- 夜明けの街でサヨナラを
- 名もなきハッピーエンド
- billion billion
- あの街の帰り道
- 染まるまで
- ダビングシーン
- mudai
- アリスは突然に
ゲスの極み乙女。(げすのきわみおとめ)
川谷絵音(Vo, G, Syn)、休日課長(B)、ちゃんMARI(Key) / ほな・いこか(Dr)による4人組ヒップホッププログレバンド。2012年5月に川谷を中心に結成。2013年3月に1stミニアルバム「ドレスの脱ぎ方」、同年12月にリリースした2ndミニアルバム「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」を発表し、プログレ、ヒップホップを基調とした独自のポップなメロディが高い評価を得る。2014年4月、unBORDEよりメジャーデビューミニアルバム「みんなノーマル」をリリースし、6月から7月にかけてワンマンツアー「ゲスにノーマル」を開催する。
indigo la End(いんでぃごらえんど)
川谷絵音(Vo, G)、長田カーティス(G)、オオタユウスケ(Dr)からなるロックバンド。2010年2月より活動を開始。2012年4月に、スペースシャワーミュージックが設立した新レーベル・eninalの第1弾アーティストとして1stミニアルバム「さようなら、素晴らしい世界」でデビュー。2013年5月には初のワンマンツアーを東名阪で開催する。2014年4月、約1年2カ月ぶりの新作「あの街レコード」でunBORDEよりメジャーデビュー。川谷の歌を中心に広々としたサウンドをポップに奏でている。
※アーティスト写真右端はサポートメンバーの後鳥亮介(B)。