月蝕會議「月蝕會議2019・2020年度議事録」特集 レコーディング現場潜入レポート&メンバーインタビュー|エンドウ.、Billy、鳥男、楠瀬タクヤに聞く、新作アルバムとオンラインサロンの魅力

「ロードショー」を劇的に変化させた「リロードショー」

──せっかくなので、「リロードショー」の制作過程をより詳しく教えてください。

エンドウ. 原曲の「ロードショー」は、「2 Unlimitedのサンプリングを使って欲しい」というオーダーをもとに作ったんですよ。でも今回はそのフレーズをあえて外して、まったく別の雰囲気の楽曲にしようと思って。

楠瀬 うん。劇的に変えてみようと。

鳥男 それで打ち合わせをする中で、「タイトルが『ロードショー』だから、もっとシネマティックな雰囲気を押し出していこう」という話になったんです。同時に僕らはバンドなので、アレンジをアイドルサウンドとして映えるものからよりバンドサウンドを中心としたものに変えました。

──それで、Billyさんのカッティングギターが加わったりしたのですね。

左から楠瀬タクヤ(Dr)、Billy(G)。

Billy そうですね。僕はエンドウ.さんならこう弾くだろう、ということを予想しながら自分のギターフレーズを入れています。

エンドウ. 僕はここに後日ヘビーなギターを加える予定です。月蝕會議の制作は、そうやってお互いに棲み分けができていて、探りながらフレーズを練っていくんですよ。

鳥男 このバンドのいいところは、そんなふうにどこからでも誰かに丸投げできるところ。今回は僕がベーシックアレンジを作ったんですけど、普通ならデモ音源では自分でギターまできっちり録って、ある程度仕上げて渡す必要があるんです。でも月蝕會議は全員が作曲できるから、その必要がない。今回だと「ギターはなんとかしてくれるだろう」と余白を残しておいたら、案の定Billyさんにいいものを弾いていただいて。

楠瀬 そのあたりの感覚は、月蝕會議として経験を重ねてきたことも大きいんでしょうね。

エンドウ. 昔よりもさらに安心感が増して、お互いのことがわかるようになってきましたよね。

月蝕會議は夜好性?

エンドウ. 一方でアルバムに収録される新しいオリジナル曲の1つ「ムーンステーション」は、全員でせーの!でアイデアを出して進めていった楽曲です。僕らはいろんなアーティストに楽曲提供させていただく中で、作り込んだ楽曲を提供することが多かったので、この曲ではあえてバーンと一発録りするようなガレージっぽい魅力を出そうと思って。

鳥男 「ムーンステーション」は、もともとサロンメンバーから募集したメロディをもとに仕上げたんですよ。去年、お題を引いて90分間でアレンジする作曲生配信があって、その中でK-POPらしいアレンジに仕上げたんですけど、一方でメンバー全員が「このメロディは本来、アイドルソングっぽくするよりも、ほかのアレンジにした方がいいだろう」と思っていたんです。

楠瀬 それで今回、この曲に合ったお家に帰してあげようと(笑)。

エンドウ. それで骨太のバンドサウンドに仕上げました。今回の「月蝕會議2019・2020年度議事録」では、ほかにもネット界隈で流行しているようなサウンドに挑戦した曲もあります。「こういうのもやってみたーい!」みたいなノリで(笑)。

楠瀬 バンド名に月が入っているから、僕らも「夜好性」なんじゃないかって(笑)。

──なるほど(笑)。

鳥男 なので、毎回新しいものに手を伸ばしてる感覚なんですよね。

エンドウ. そうですね。「遊び」として捉えているからこそ、新しいことをどんどん試せるというか。

楠瀬 試してよかったものはどんどん発展させていくつもりですし、サロンメンバーも含めてそれを発展させる企画も考えていこうと思っています。

──皆さんの中に「月蝕會議っぽさ」のようなものはできつつあると思いますか?

楠瀬 何か匂いのようなものはありますよね。バンドサウンドが根底にあったうえで、ポップなんだけど小難しくしたい欲があったり、少し怪しげであったり。それに僕らがやっていることの中に「こういうものが足りてない」というのがあれば、それが次のアイデアになるんですよ。「ムーンステーション」にしても、「最近こういう曲やってないよね」と思ったことが制作のきっかけだったので。

今後の展望について

──では最後に、バンドのこれからについて何か展望があれば教えてください。

エンドウ. まずは売れたい……!!

一同 (笑)。

エンドウ. もちろん、いろんな人気作品に楽曲提供をさせていただけているので、すごくうれしく思っていますが、今後は僕ら自身のオリジナル曲にもより注目していただけるようになったらいいなと。

楠瀬 「あっちでもこっちでも、月蝕會議の名前を見るよね」という状態があるとしたら、それを越えて月蝕會議自体を楽しんでもらえるようになれたらうれしいです。

Billy オンラインサロンも含めて、そのときどきで新しいものを取り入れてきたと思うので、これからも時代に合わせて変化していくだろうし、それを楽しみたいなと思います。

鳥男 僕はコロナ禍が落ち着いたら海外のアニメ系のフェスティバルに出たいです。海外の人にも僕らの音楽を知っていただけるような機会をもっと作りたい。まあ、単純に僕が海外に行きたいだけというのもあるんですけど(笑)。

エンドウ. 海外行きたいよお。シンガポールの「ANIME FESTIVAL ASIA」(シンガポールをはじめ東南アジアの複数カ所で開催されるアニメイベント)に出たい。それでカジノに行くのが目標です(笑)。

鳥男 (笑)。月蝕會議の活動って、僕らや関わってくれる人たちとの思い出作りの場でもあるんですよね。

月蝕會議

ライブ情報

月蝕會議「第二回月蝕公開會議」
  • 2021年10月30日(土)東京都 Club Mixa <出演者>
    月蝕會議
    ゲスト:野津山幸宏 / 新田恵海
月蝕會議(ゲッショクカイギ)
月蝕會議
エンドウ.(G)、Billy(G)、楠瀬タクヤ(Dr)、鳥男(B)、岩田アッチュ(Key / 非常勤メンバー)、キリン(Vo)によるバンド形態の音楽ギルド。それぞれのスキルと個性を活かし、全員が作詞・作曲・編曲を務める自身の楽曲はもちろん、アーティストや作品の音楽プロデュース、バンドサポートも請け負う。これまでにももいろクローバーZ、上坂すみれ、Hey! Say! JUMP、イヤホンズ、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」などさまざまな作品 / アーティストに楽曲提供してきた。2020年6月にオンラインサロン「月蝕會議室」をオープン。2021年10月にはニューアルバム「月蝕會議2019・2020年度議事録」をリリースする。