月蝕會議「月蝕會議2019・2020年度議事録」特集 レコーディング現場潜入レポート&メンバーインタビュー|エンドウ.、Billy、鳥男、楠瀬タクヤに聞く、新作アルバムとオンラインサロンの魅力

月蝕會議が10月20日にニューアルバム「月蝕會議2019・2020年度議事録」をリリースする。

月蝕會議は、エンドウ.(G)、Billy(G)、鳥男(B)、楠瀬タクヤ(Dr)のコアメンバー4人に、非常勤メンバーの岩田アッチュ(Key)、歌唱担当のキリン(Vo)を加えた6人組“クリエイターギルド”バンド。メンバー全員が作詞作曲でき、コライトと呼ばれるメンバー間の共同作業を生かしたスタイルで楽曲制作を行っている。「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」やHey! Say! JUMP、ももいろクローバーZ、上坂すみれ、イヤホンズなどさまざまな作品 / アーティストへの楽曲提供、木村昴とのユニット・NINJAKAIGIとして映画「G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ」のプロモーションテーマソングの制作などクリエイターチームとして人気を博す一方、「セーラームーン」20周年トリビュートへの参加や「議事録」と題した作品集のリリース、ライブ活動を通してバンドとしての存在感もアピールしてきた。

結成3周年を迎えた昨年6月には、オンラインサロン「月蝕會議室」をオープン。ここでは日々の制作風景を会員に公開しているほか、会員の意見やアイデアを取り入れた曲作りを展開している。会員がレコーディングに参加できる機会も設けられるなど、月蝕會議を中心としたクリエイター・ファンのコミュニティハブ的な機能によってバンドの可能性を広げている。

「月蝕會議2019・2020年度議事録」は、彼らの活動を定期的にまとめるCD作品「議事録」シリーズの最新作。同シリーズとしては約2年ぶり、「月蝕會議2017年度議事録」「月蝕會議2018年度議事録」に続く3作目となる。音楽ナタリーでは、そのレコーディング現場に潜入。今回の特集では音楽ライター・杉山仁がスタジオでの制作風景の模様をまとめたレポートと、エンドウ.、Billy、鳥男、楠瀬のメンバー4人に「月蝕會議2019・2020年度議事録」について聞いたインタビュー、レコーディング現場の見学に参加した「月蝕會議室」会員・ミケさんによるマンガレポートを掲載する。

取材・文 / 杉山仁撮影 / 須田卓馬

レコーディング現場潜入レポート

8月某日。この日は「月蝕會議2019・2020年度議事録」の収録曲のうち3曲のバンド演奏のレコーディングと、1曲のコーラス録りが予定されていた。昼過ぎに都内のスタジオに向かうと、12時から行われていた新曲「ムーンステーション」のバンド録音がちょうど終わったところで、エンドウ.、Billy、鳥男、楠瀬の4人で作業が進められていた。彼らは休憩を挟んだのち、ももいろクローバーZへの提供曲「ロードショー」を再解釈した「リロードショー」のバンドレコーディングをスタートさせた。

原曲となる「ロードショー」は、2 Unlimited「Twilight Zone」のシンセリフを大胆に引用した楽曲。1990年代のテクノなどの要素を生かしたポップなサウンドが印象的で、ショーの幕開けの高揚感を表現している。月蝕會議は今回、この楽曲から印象的なシンセリフを抜き取り、ストリングスなどを加えることで、より壮大でシネマティックなアレンジに変更。同時にギターサウンドを全面に打ち出し、原曲とは大幅に異なる雰囲気に楽曲を変化させていく。

まずはBilly、鳥男、楠瀬の3人がブースに入り、お互いに顔を見合わせながらレコーディングをスタート。エンドウ.は後日ギターを入れるとのことで、この曲では録音には加わらず、バンドマスターとしてコンソール卓(ミキサー)のある部屋で全体を俯瞰する役割を果たしていた。

とはいえ、印象的だったのは誰か1人が制作を主導するのではなく、全員が各々の視点からアイデアを持ち寄るこのバンドらしい雰囲気。メンバー全員が作曲作業の要を担える=全体を俯瞰して制作できるからこそ、録音自体も至極スムーズに進んでいく。

レコーディング中のため完成形がどうなるのかはわからないが、Billyによるギターのアレンジに「ファンキーでいいね」と感想を言い合ったり、エンドウ.がメタルのサブジャンルであるジェントのようなギターを加えるアイデアを出したりと、お互いに意見を交換しながら3人のバンド演奏を3テイク録音した。

最後は後日行われるコーラスの歌割りについてディスカッション。「リロードショー」は原曲がグループアイドル楽曲のため、歌唱担当のキリン1人だけではどうしても表現しきれない部分がある。この日の時点では、それを補うもう1人のボーカリストを非常勤メンバーでキーボード担当の岩田にお願いしてみようというアイデアが出ていた。また、「ロードショー」というタイトルの語感との親和性が高い、原曲にもあったオペラや合唱のようなコーラスをメンバーが練習する一幕もあった。

この日はその後、新曲「シュワーガール」のバンド録音や、「美少女戦士セーラームーンEternal」に提供した楽曲のセルフカバー「Moon Effect」の録音も予定されており、一部サロン会員もスタジオを訪れて録音に参加した。果たして完成形はどうなっているのか、楽しみにしていたい。

オンラインサロン「月蝕會議室」会員・ミケさんによるレコーディング現場見学レポート

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