沼オトコの真髄、光咲にあり
──では、ここからは新曲のお話に。「蝋燭」は、げんじぶの皆さんが主演を務めるドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call ~寝不足の原因は自分にある。~」の主題歌です。ドラマの撮影はいかがでしたか?
和人 短期間でギュッと撮ったんですけど、楽しかったです! 僕らは女性を“沼落ち”させる“沼オトコ”を演じたんですけど、「うわ、こんなこと言うのか」とか「これは確かに沼落ちしちゃうなあ」とか、演じながらもいろんな発見がありました。ドラマはオムニバス形式で、メンバーが演じる沼オトコもそれぞれキャラが違ったので「これを彼が演じるんだ!」みたいな驚きもあって面白かったですね。
空人 撮影が始まる前に、監督をはじめスタッフの皆さんと僕ら1人ずつでお話をしたんです。そのうえで台本が作られているので、役と演じている本人に共通する部分がちょっとあったりするんです。共通点を探しながら見るのも面白いと思います。どの話もすごく面白いんですけど、僕はどうしてもメンバー視点で観ちゃうので、ツッコミポイントも多くて。例えば凌大の「お話し沼」で、チルくん(凌大)が自分のことを言われてるとは知らずに「最低だねそいつ」って返すんですけど、その鈍感さに凌大っぽさを感じられたし、「不器用沼」の潤くんは、会社員っていう別の世界線の潤くんはこんな感じなのかもと思っちゃうほどだったけど、手に付いたクッキーのカスの量はさすがに多すぎだし……。あと和人も、師匠のカメラマンに言い返すときの言い方が「これ和人言うな!」って……。
凌大・光咲 めちゃくちゃ楽しんでる(笑)。
空人 はい、僕はめちゃくちゃ楽しんでます!
潤 僕言っていいですか? 光咲の回の「オーガニック沼」(第4話)のことなんですけど。沼オトコの真髄は、この回にありました!
空人 オーガニック沼に? 真髄が?
潤 いやあのね、すごいんですよ。感動しました。
一同 感動!?
光咲 いや、全然感動系の話じゃないよ?(笑)
潤 あの脚本は、本当に小泉光咲のためのものなんだってことを理解しました。映像になった瞬間に。びっくりした。
凌大 本の帯みたいなコメント(笑)。
潤 一度撮影現場に遊びに行ったり、光咲とは台本を一緒に読み合わせたりもしてたんですけど、光咲が演じた八雲はなんでこういう考えに至るのかが、自分にはよくわからない役だったんです。「全然わからない、わからないー」と思ってたら、小泉光咲が演じることによって! 沼オトコが! 完成されたという……。僕、それに感動しちゃって。4話が一番好きになりました。どの角度から見ても沼オトコというのは、こういう人のことを言うのかもしれない。
一同 おお~。
光咲 持ち上げすぎだって!(笑) 完成した映像をもらったとき、ちょうど潤くんと一緒にいたから2人で観たんですよ。そしたらめっちゃ褒めてくれて。
潤 しかも最後のほうのシーンでさ、カットかかる前にアドリブあったでしょ?
光咲 そう、ほとんどがアドリブだった。
潤 すごすぎると思って。
光咲 全然そんなんじゃないんですけど、シーンが続いてるから何かしゃべってる、みたいなことはありましたね。ここまで撮ってるんだーと思って。
和人 えー、それちゃんと観なきゃ。
光咲 八雲は“天然人たらし”っていうんですかね。それをどう演じるかは確かに難しかったんですけど、結局は自然体でいることが彼に一番近付けるのかなと思いつつ……ちょっと天然な部分があるから、かわいらしさも取り入れつつ演じたつもりです。僕は潤くんの回、めっちゃ好きだよ。
凌大 わかる~。
空人 潤くんの回の仮題、実は「大谷翔平沼」だったんですよ。
潤 「不器用」の逆だったんです。
光咲 このドラマの“沼ポイント”って、相手をキュンとさせるものがほとんどなんですけど、潤くんの回って最初から最後までずっと面白いんですよ。
空人 潤くんの不器用沼は“沼る”よねえ。ほっとけない!
潤 僕は嫌だけどなあー(笑)。撮影のことを言うと、僕はテレビ東京さんの深夜ドラマがすごく好きで、これまでもいろんな作品を観てきたんです。テレビ東京さんの深夜ドラマは笑える要素がたくさんあるのが魅力だなと思っていたので、自分が観てきた作品のように演じられたらいいなという思いがありました。
吉澤要人の挑戦
──今日はあいにく参加できなかった要人さんと雅哉さんの役のことも伺えればと思うのですが……。
空人 (要人が演じる)ぺぺの予告までは観たんですよ。なんかぺぺ、めっちゃ叫んでて。「ふざけっ……うわあああー!」って(取材は9月中旬に実施)。
一同 あはははは!
凌大 そっくり!(笑)
一同 (次々にペペのマネをして)うわあああー!
潤 いやあ、ペペ役は吉澤要人の挑戦だと思う。
空人 そう。ペペだけは本人に似てるとかじゃなくて、挑戦。
凌大 ファンの方はびっくりしちゃうかも。
空人 要人推しだけじゃなく、観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)みんなびっくりするような内容かもしれないけど、こういう沼オトコが、一番リアルに今の世の中にいるのかなって思います。
潤 いやあ、すごかったです。
空人 雅哉は僕と同じ回なのでずっと一緒に撮ってたんですけど、面白いです。普段とほぼ一緒。普段よりちょっと明るい雅哉みたいな感じでした(笑)。
和人 なるほどね。
空人 しかも僕、アイドル役の雅哉に特典会をしてもらうシーンがあるんですよ。
凌大 それ、変な感じだね(笑)。
空人 カメラの向こう側に雅哉がいてお話し会をしているシーンで、実際は一人芝居だったんですけど、スタッフさんが用意してくれたディスプレイに映ってる雅哉の顔がなぜか半目なんです。その状態で、俺はすごい真面目なことを雅哉に伝えるんですけど……なんでここってなりました。
一同 あはははは!
潤 2人の回も面白そうだなあ。
和人 楽しみだよね。
げんじぶの新しい引き出しが増えた気がして
──げんじぶの楽曲ではおなじみの久下真音さんが書き下ろした「蝋燭」は、蝋燭の灯のように揺れ動く感情を歌うチルポップナンバーです。また新たな表現に挑戦されているなと思いましたが、皆さんこの曲を初めて聴いたときはどのように感じましたか?
潤 最初に聴いたときは「え、これ本当に久下さんが作ったの?」と思ってしまいました。デビュー曲からお世話になっている久下さんですけど、こういう引き出しもあるんだ……って。おしゃれでリズムもゆったりで、ずっと聴いていても心地がいいなと思いました。
空人 まず要人が主線を担当している、彼の低音が表に出てるっていうところが、いつもと違うアプローチだと思います。「沼」がテーマになっているドラマの主題歌なので、曲の落ち着いた感じで沼の深さも表現されているんだなと思いましたし、このチルい感じがドラマにすごくハマっているなと思いました。
──空人さんがおっしゃったように、曲を再生してまず驚いたのが、要人さんの低音が主線にあって、その上にほかのメンバーが次々と声を重ねていく、という歌割りでした。1人のメンバーがほぼ全編にわたって主線を担うのも、2声のユニゾンで進行していくのも、これまでにはあまりなかった構成だと思うのですが。
光咲 そうなんです。歌割り表はメンバーカラーで色分けされているんですけど、それを最初見たとき、「おお、全部紫やん!」ってなりました。
一同 あはははは。
光咲 歌割り表の一番左の列に主メロを歌う人の名前が入っているんですけど、そこはほぼ要人の紫で、自分の白はオク上(オクターブ上)の欄に入っていたので、これは今までにないなあって感じました。2人で同じパートを歌うこともあまりないので、レコーディングが難しかったです。
空人 難しかったね。
光咲 主線の要人の歌に雰囲気を合わせつつ、要人の声を強調できる優しさを出さないとなという思いがあったので難しく感じました。あと、地声で出せるキーも裏声で歌ったりする場面が多かったので、それも大変でした。ライブに向けて、まだまだ練習しなきゃなと思ってます。
凌大 歌うときのアプローチを変えなきゃいけなかったから、レコーディングはすごく難しかったです。いつもは要人が僕たちの歌う主線にオク下で合わせてくれるパターンが多いんですけど、「蝋燭」では僕たちが要人に寄り添いながら歌うから、「合ってるのかな?」と考えながら進めていく感じでした。でも実際に完成した音源を聴いてみたら、なんだかげんじぶの新しい引き出しが増えた気がして。これができるのは要人がいるからこそだし、げんじぶだからこそだし、久下さんが作ってくれたからこそだし。すべてが重なって、今の時代感にも合ったチルな曲を完成させることができてよかったなって思いました。
自分を少し殺して、包み込むようなイメージで
──皆さんそれぞれが自分のパートでこだわったところは?
空人 僕は1番のBメロの頭の2行ですね。Aメロからリズムが変わるので、リズム感をタイトに……しかも要人とのユニゾンなので、いつもよりも優しく、声色からもチルさを出せるように意識しました。
光咲 僕はですね……。
和人 「吸って吐いても」のところ? ここ印象的だったよ。
光咲 ありがとう。僕がこだわったのは「ただ時が流れてくゆったり」から始まるDメロです。まず要人と雰囲気を合わせなきゃいけないという思いがありつつ、僕の次に歌うのが凌大なんですけど、凌大のパートも歌詞が一緒なんですよ。だから、凌大とのつながりも意識しないとなって。もちろん自分らしさも出さないとだし、いろいろ意識することがてんこもりなパートだったんです。
凌大 僕も同じDメロかな。光咲がひと回し目を歌って、僕がふた回し目に入る。同じフレーズの繰り返しなんだけど、歌う人が光咲と僕で変わるってことは、展開を作らないといけないから。光咲が流れを意識したと言っていたけど、僕はその流れを受け取って膨らませることをすごく考えていました。あとは要人の声との親和性に気を付けつつ、徐々にテンションを上げていったあと、最後の「Moonlight Yeah」の語尾を綺麗に消していく感じ……まさに蝋燭の火がゆらゆら揺れて消えていく感じをイメージして、ビブラートを入れたりだとか。特に神経を使ったパートでした。
和人 僕は2番のBメロですね。ここで要人と初めて一緒に歌うんですけど「『落ち着くその声がいい』って思ってるはずだねお互いに」と“お互い”を意識する場面なので、2人で1組のカップル、みたいな想像をしながら歌いました。要人が男性っぽい立ち位置なので、僕はその相手側。自分を少し殺して、包み込むようなイメージで。いつもよりも少し杢代のクセをなくしながら歌ったので、注意して聴いてほしいなと思います。
潤 僕はサビの主線を担当しているんですけど、ここだけはオク下も僕が歌っているんです。あと、実はもう1つのラインがあって、それはまさに今和人が話していたような“相手側”のイメージで歌うラインなんですよ。1ライン1ライン、人格を変えて歌うことを意識していました。サビはぜひ、僕の声が何声あるか、よく聴いていただきたいです。
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カマしたな~、凌大!