原因は自分にある。インタビュー|無限の終わりの先にあった“挑戦の始まり” 加速する進化スピードの中で

今年の1月28日、原因は自分にある。にとって過去最大規模のワンマンライブとなった神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールのステージ。3階までびっしりとペンライトの光が輝く客席を見つめた長野凌大は、最後の挨拶で「頭の片隅にはもっと大きなステージが見え始めている」と語った。

その言葉を証明するかのように、このほど明らかになった、げんじぶ初のアリーナ公演となる神奈川・ぴあアリーナMMでのライブ開催決定(11月5日)。さらに、3月にizkiをフィーチャリングアーティストに迎えた「Mr. Android(feat. izki)」を、4月にアニメ「デュエル・マスターズWIN 決闘学園編」のエンディングテーマに決定した「放課後ギュッと」を配信リリースするなど、7人の挑戦と進化はますます勢いを増している。

音楽ナタリーでは、メンバーの大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、吉澤要人にインタビュー。パシフィコ横浜ワンマンの思い出から、2つの新曲、さらには原因は自分にある。が持つ“7つの歌声”に関する考察まで、げんじぶの今をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 曽我美芽

なんというか、生きてる感じがしました

──先日、ぴあアリーナMMでワンマンが行われることが告知されたばかりですが、観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)さんはその発表にびっくりしたのでは?(参照:原因は自分にある。初のアリーナライブ開催「観測者と一緒に最高の景色を」

大倉空人 僕もびっくりしました!

小泉光咲 僕もです!(笑) もちろんうれしいんですけど、それよりも驚きや不安が勝つような心境で。

原因は自分にある。

原因は自分にある。

──皆さんは、この決定をいつ頃知ったんですか?

空人 パシフィコ横浜でのワンマンのちょい前くらいでした。

吉澤要人 聞いた瞬間、僕ら一斉にスマホで収容人数を調べて。パシフィコの倍のお客さんが入ることがわかって、みんな2度目の驚きで言葉が出なくなるという……(笑)。

空人 もともと、パシフィコでのワンマンを「次につながるライブにしよう」と7人で話していたので、僕らの中の決意がブレることはなかったけどね。2倍の人数となるとやっぱり驚きや不安のほうが大きくて、実際にこれからどうしていくべきか、げんじぶのこれからについては何時間もしゃべりました。SNSでの発信だったりリハーサルへの向き合い方だったり、自分たちの1つひとつの行動に対して、より意識的にならないとねって。

──今年1月にパシフィコ横浜 国立大ホールでの初ワンマンを成功させて、その10カ月後にぴあアリーナMMのステージ。成長スピードが早いですね。

光咲 デビューから4年目の2023年は、僕らにとって挑戦の年なんだなと思いました。ぴあアリーナの前に初のホールツアーもありますし、たくさんがんばってアリーナ公演を満員の観測者とともに迎えたいです。

──最年長の潤さんは、アリーナワンマンの決定についてどんなふうに思いましたか?

武藤潤 僕も最初に聞いたときは驚いたんですけど、なんというか、生きてる感じがしました。みんな誰しも、夢や目標に手を伸ばして生きていると思うんです。今の僕たちにとってアリーナ会場は手が届くか届かないか……という感じだけど、そういうものに向かって思い切り走っていかなきゃなという思いに、改めてさせられましたね。

武藤潤

武藤潤

小泉光咲

小泉光咲

ここまでやってきて、ホントに無駄なことはなかったんだな

──初のパシフィコワンマンの感想も聞かせてください。グループにとって過去最大規模となったこのライブ、終えてみての心境はいかがですか?(参照:好きになってくれてありがとう!原因は自分にある。が“夢の舞台”で示した進化と感謝、そして次の景色へ

桜木雅哉 僕は「早く大きな会場に立ちたい」と思っていたので、ライブハウスツアーから1歩前進できたことがうれしかったです。3階席まである大きな会場でファンの皆さんに僕たちのパフォーマンスをしっかりと届けなきゃいけないし、難易度はどんどん上がっていますけど、高い目標をクリアできるようにみんなでがんばる。この感じがいいなと思いながら準備をしていましたし、1日1日がいい思い出になりました。

要人 佇まいやパフォーマンス、すべてにおいて観てくれた方が「げんじぶ、もっと大きな会場が似合うんじゃないか」と思うような姿を見せることが次につながることだと思って。そう見えるようにと考えながらがんばったよね。

──実際、あのステージからお客さんいっぱいの客席を見たときはどう思いましたか?

空人 すげー!って。

光咲 ホントに、これまで経験したものと見え方が全然違ったよね。「EBiDAN THE LIVE」などでも大きなステージには立たせてもらっていたけど、観測者だけがこんなに集まってくれた感動があって……最初の曲を歌っているとき、けっこうグッときちゃいました。

長野凌大 自分の中では自信を持っていたというか、たくさんの方が応援してくれていることをわかっていたつもりだったんですけど、実際目の前にするとね。ここまでやってきて、ホントに無駄なことはなかったんだなと思えたし、パシフィコの“その先”まで見えた感覚があって。自信をもらえたライブになりました。

桜木雅哉

桜木雅哉

長野凌大

長野凌大

僕らはこの人たちを全員幸せにして帰すだけだ

──見せ場が盛りだくさんのライブでしたが、特に印象的だったシーンや思い出を挙げるなら?

要人 僕は、1曲目の「僕らの世界・物語」です。歌い出しのパートを担当しているから、自分がライブの始まりを担うことになって……マジで足が震えました(笑)。まっすぐに立っていても立ちくらみの感覚があって。下半身がぐらぐら揺れるんですよ。

光咲 それ、すごいわかる。まっすぐ立ってても斜めになってる感覚あったよね。

要人 あんなに緊張したことはなかったですし、あんなに緊張した中で歌えたことは大きな成功体験になったし、本当にいい思い出です。

空人 僕は最初のMCかな。潤が「皆さんこんにちは、原因は自分にある。です!」って言ったとき。観測者がペンライトを僕たちに振ってくれた、あの景色が忘れられないです。パフォーマンスしているときももちろん皆さんのことは見えているけど、曲の世界観に入り込んで歌い踊っていることが多いので、観測者を一番集中して見られるのってMCのときなんですよね。そのMCで1人ひとりと目を合わせたとき、こんなにペンライトを振って気持ちを伝えてくれるほど、僕らに会いたいと思ってくれていたんだなと感じて。すごくグッときて、「僕らはこの人たちを全員幸せにして帰すだけだ」と思った瞬間でした。

光咲 僕は「Lion」で今までにないような盛り上がり方をしたのがすごくグッときました。大きな会場だからこそ演出の幅も広がって、炎や音玉を使ったんですよね。そこでさらに盛り上げられた実感があったし、自分もさらに心が躍って。リミッターを解除して、曲に染まれたと言いますか。今まで以上の表現力を見せられたように思います。

雅哉 僕は「チョコループ」のサビの「あまーくて」のときに、観測者の皆さんを見て涙が出そうになりました。

──すごくピンポイントですね。

雅哉 そのときに、皆さんが振りを踊ってくれている手がしっかり見えたんですよ。客席全部でパーッと手が広がったときに「あ、大きい」と思ったのと、「一緒にライブを作ってるんだな」っていう……いろんな気持ちが重なって、一番感動しました。

 僕は「Q」ですね。「Q」という曲は、僕たちにずっと曲を提供してくださっている久下(真音)さんが、ここまでずっと見てきた僕たちのことを歌詞にしてくれた曲で。その曲で本編が終わって、「ここまでがんばって来れてよかったなあ」と思いながらステージ奥に向かっていたんです。で、最後に客席のほうを振り返るんですけど、いざ振り返ったらめっちゃ手を振ってくれている観測者の皆さんが一気に視界に入ってきて。その景色を見て「ああ、俺たちはここまで来たんだな」と思ったことがすごく印象に残っていますね。

大倉空人

大倉空人

吉澤要人

吉澤要人

彼がいることを感じられるのがうれしくて

凌大 僕は「魔法をかけて」なんですけど……パシフィコ横浜公演は、(活動制限中の)和人がひさびさにフルで出られたライブだったんです。その和人が、この曲の1Aのパートで僕の前を歌いながら通るんですね。そこで「あ、和人ちゃんといるし、歌ってるわ」と改めて思って。和人越しに(和人のメンバーカラーの)緑のペンライトが光っているのも見えて、そのときに……僕たちは和人が出られなかったツアーでも緑を振ってくれている方をずっと見てきたので、「よかったなあ。和人もうれしいだろうな」と思ったし、僕らもここまでげんじぶを守れてよかったなと思って、感動したというか。

空人 ホントだよね。

凌大 「和人がいる」という状況が当たり前じゃない時間を今は過ごしているので、彼がいることを感じられるのがうれしくて。全然泣くポイントじゃないと思うんですけど泣きそうになって、自分の歌割りを忘れるっていう……で、そこから突然焦り出した思い出がありますね(笑)。心がちょっと、ブワッとなりました。

雅哉 僕は、和人の「半分相逢傘」のソロパフォーマンスを見たときに「ああ、和人戻ってきたな」って実感した。あれはすごかったです。

空人 今回のライブは、和人が一番がんばったと思います。ホントに和人がMVPです。彼が「仮面ライダーギーツ」に出ることが決まって6人での活動が増えることになったとき、僕らは「和人が帰ってきたときに焦りを感じさせるくらい実力を付けよう」と気合いを入れたんですけど、悔しいことに追い付かれ……!

凌大 ネガティブすぎるでしょ(笑)。

空人 いや、すぐ追い付かれたのは事実だから。撮影が忙しいのに、パシフィコという大きな舞台で観測者の皆さんに素敵なパフォーマンスを届けようという一心で和人は歌やダンスをがんばって。僕たちが休みのときも、和人だけは振り入れがあったりしたんです。彼がハードスケジュールの中がんばっていたことを僕らは知っているので。本当にものすごい努力を見せたなと思いますし、僕ら的にはうれしいような悔しいような思いがありますね。

原因は自分にある。

原因は自分にある。

──ほかに、仲間の姿が印象的だった場面はありますか?

光咲 「Run away」が終わって「Q」に入る前のことなんですけど、セットの裏で潤くんが「あともう少しだ、がんばろう!」ってみんなを激励したんです。これってたぶん、パシフィコくらい広いステージじゃないとできないことだよなって。今までの会場だったらみんなに聞こえちゃうくらい大きい声でしゃべってたから。

凌大 イヤモニしてても聞こえたからね。

光咲 そうそう。だから大丈夫かな?とも思いつつ、僕らも「オス!」みたいな感じで(笑)。そこでまた一致団結して、本編最後の「Q」をしっかり披露できたなと思ってます。