いつも和人にすごくパワーをもらってる
吉澤 僕は、12曲目に収録されている「545」を。これは3部作の最後の曲なんですけど、光咲も言っていたように、等身大の僕らを……7人の青春を曲の中に残せたのが、自分的にはうれしくて。あとは歌詞ですね。「545」の歌詞にはやるせなさとか青春時代にしか感じられないような気持ちが詰まっていて、自分がこの歌詞を受け止めたとき、純粋に共感できたんです。だからこそ、曲を通してこの感覚をずっと覚えていたいなと感じました。今の僕らにしかできない「545」があると思うし、逆に大人になってからやる「545」もすごく楽しみだし。僕らと一緒に成長していく何かが、この曲にはあるのかなと思います。
長野 僕は、9曲目の「結末は次のトラフィックライト」でお願いします。これも3部作の中の1曲ですけど、ミュージックビデオの撮影をめっちゃ鮮明に覚えてて。ただただ寒かったなという……。
一同 あはははは!
武藤 あれはヤバかったよなあ!
小泉 あれ以上に寒い思いすること、この先ないと思う(笑)。
長野 という思い出もありつつ(笑)、本当に僕らの今が詰まった、あのときにしか撮れない映像になったと思います。あと、僕はサビを歌っているんですけど、最初に披露した春ツアーでは納得のいく歌い方ができなくて。だけど、いろいろ試行錯誤をしていく中で、秋ツアーで歌ったときには自分の思うように歌えたんです。ちょっとずつでも前に進めているのかなっていう……自分自身の変化を一番感じられたので、思い出の曲になりました。
──ありがとうございます。今日は和人さんがあいにく不在なので、皆さんから「この曲の和人さんが好き!」という推しポイントも教えてもらってよいですか?
大倉 俺はね、「545」の「日が落ちるみたいに 過ぎればいいのに」のところ! なんで好きかっていうと、和人が参加できなかった秋ツアーの演出で、ここになるとMVを再現するようにLEDライトがめっちゃオレンジ色になったんです。僕はそのとき上を向きながら「なんかいいなあ」と思っていたんですけど、それと同時に「ここに和人がいたらもっといいだろうな」と感じちゃって。なのでここが印象的ですね。
武藤 僕は「原因は君にもある。」で和人が言う「明らかに君のせいだよね」です。
小泉 やっぱりそこだよね!
武藤 和人が僕らの真ん中に立って言うセリフなので、彼がいるときといないときの差がありすぎて。7人そろって歌えたときに和人がここを言うと「これだよお!」って思うんですよ。
大倉 和人がいないときは音源を使ってるけど、やっぱ寂しいもんね。
長野 俺も「原因は君にもある。」なんですけど、「報われない青春だ それさえも一興」が好きですね。このパートのあとの間奏でめっちゃ踊るから、いつも和人にすごくパワーをもらっていて。自分的に、一番和人を感じられるパートなんです。だから、和人が帰ってきたときには思い切り歌ってほしいなと思ってます。
街の人を巻き込んで一緒に踊ってる
──新曲のお話に戻って、3曲目の「魔法をかけて」は「夢に唄えば」(1stアルバム「多世界解釈」収録)の続編と言えるような楽曲で、さわやかなブラスサウンドに乗せてニューヨークの風景が歌われています。
小泉 僕がこの曲を聴いた印象は、“夢の世界”ではあるんだけど、日常的な雰囲気を感じるなあって。そういう部分で、「夢に唄えば」との対比が生まれているような気がするんです。なんていうんだろう? 似てるんだけど、どこか違う。「魔法をかけて」はスキップしながら歩いている感じというか……街の人を巻き込んで一緒に踊ってる感じなの。
武藤 ああ。わかる気がする。
小泉 そこがいいなあと思って。
──光咲さんが担当しているラストサビのロングトーン、すごく印象的ですよね。
小泉 そうなんです。あそこはちゃんと魅せないと……。
長野 プレッシャー感じてるの?
小泉 難しくてけっこう練習したので、披露するときはしっかり聴かせられるように。余裕を持ってできたらいいなと思っていて。
大倉 振付は「J*O*K*E*R」(2ndアルバム「虚像と実像」収録)を振付してくださった先生が付けてくれて、ショーのような世界観が強い感じですね。パフォーマンス込みだとこの曲のよさがグッと引き立つと思います。
小泉 僕が魔法をかけて、そこから曲がスタートします!
一生うれしさが残る曲になりました……歌詞は切ないですけど
──7曲目「Run away」、8曲目「Lion」と並ぶ新曲2曲は、今回の作品の1つの聴きどころですね。
小泉 はい。ここの並びは、アルバムだからこそ聴ける2曲って感じがします。
──まず「Run away」は、届かない思いと繊細な心の揺らぎを歌う、とても切ないミディアムバラードで。
大倉 なんと言ってもこの曲では、初めて全員がサビを歌っているんです。ユニゾンじゃなくワンフレーズずつ。歌割りも、僕らは細かい歌割りが多いけど、「Run away」は大きく分けられていて。
武藤 1人のパートが長いよね。
大倉 そう。なので、しっかりと歌を聴かせる曲になっていると思います。
──サウンドも、柔らかなピアノの音色が歌声に寄り添うようなアレンジですね。
大倉 そうなんです。歌の技術が必要な曲だなって。
──それぞれに新しい挑戦があったのではと思いますが、この曲に向き合ってみていかがでしたか?
小泉 げんじぶは歌詞が哲学的だったり、解釈して答えを見つけてもらうような曲が多いですけど、「Run away」は「気持ちを届けやすい曲だな」と僕は思ったんです。だからこそ、聴いただけで情景が浮かぶ、主人公の心情が感じられるようなパフォーマンスをしたいなって。どれだけ切なく表現できるかは僕らの力にかかっているので、がんばろうと。
桜木 僕、この曲げんじぶの曲の中で一番好きですね。
小泉 へえ、そうなんだ!
桜木 バラードがマジで好きで。大好きだから全部歌いたいくらいです(笑)。僕はサビ前のパートを担当しているんですけど、これまでサビ前を歌ったことって実はあまりなかったから、そこでまずうれしさがあって。サビ前もサビも歌えたし、レコーディングでは感情もすごく乗りました。
大倉 俺もすごく感情を入れて歌いました! 「掛け違えてたボタンみたいに 間違えた場所からやり直せたら」というパートは特に……自分自身も過去に戻ってやり直したいことはいっぱいあるので(笑)、感情が乗せられたかなと思います。レコーディングに立ち会ってくれた久下さんも「うまいね」と言ってくださってうれしかったです。
長野 それを言うと、僕は2人と正反対でした。歌は“どこまで感情入れられるか勝負”だと思っていたし、この曲はバラードなので、余計に「どれだけ気持ちを表現できるか」という思いを持ってレコーディングに臨んだんです。だけど、久下さんからは「感情をもっと引いてくれ」と言われて。それがすごい新鮮でした。
──そうだったんですね。
長野 なので、レコーディング中は歌っている気がしなかったです(笑)。だけど、完成したものを聴いてみるとすごくいいバランスになっていたから「久下さんすごいな」って。「こういう歌い方もあるんだ」という新しい発見があった曲でしたね。
吉澤 僕はこの曲で、初めてオクターブ下じゃなく原キーでサビを歌っているんです。それがうれしくて、自分の中では一生うれしさが残る曲になりました……歌詞は切ないですけど!
一同 あはははは。
吉澤 実際音源を聴いたときには「ヤバい、俺どこ歌えるかな……?」と心配になったんですけど、まさかのサビを歌えることになって。しかも、最初に歌詞を読んだときからすごく好きだった一節を歌わせてもらえることになって、ホントにうれしかったんです。普段は低音域でパフォーマンスすることが多いけれど、実際録ってみて、高い声でも見せられるときが来たんじゃないかな?って……。
長野 最高だったよ。
大倉 マジ最高。要人はラップとかオクターブ下を担当することが多いけど、ちゃんと音が取れるし、歌ったら絶対うまい人だと思ってたから。「ついに!」って、俺らもうれしい気持ちでいっぱいです。
武藤 僕はラストサビの転調前の「こっちを見ないように祈るけれど 君は気づかない」というフレーズを歌ったんですけど、「振り返らず前に進んでほしい」という思いがありながら、でもやっぱり気付いてくれないんだなという気持ちを表現できたらいいなと考えながら……。
小泉 何かあったの?
武藤 いや、なんもないけどさ(笑)。なんかね、親はこういう気持ちになったりするのかな?とか思って。子供が上京するときとか。そんなことを思いながら歌いましたね。
次のページ »
まあ……待ってましたという感じで