“実像”から原因は自分にある。の世界へ
──ここからは、東名阪ツアー「げんじぶ空間:case.3」のお話を聞かせてもらえたら。ツアーファイナルの東京公演はこれからになりますが、今回のツアーはどのような感じになっていますか?(取材は4月初旬に実施)
大倉 昨年末の「case.2」とはライブの作り方が違うというか。「case.2」のときは、「原因は自分にある。の世界観はこうだよ」と、僕ららしい世界観を見せてから等身大の“実像”を出していくという流れでセットリストを組んでいたんですけど、今回は“実像”をスタート地点にげんじぶの世界観が広がっていくようなセトリなんです。だから、観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)の皆さんもいつものげんじぶのライブとは違った感覚になったと思いますし、僕ら自身も新鮮な気持ちがあって。
杢代 僕らのライブって、どこか不気味な雰囲気から始まって、怪しげで見入ってしまうような演出に緊張感が高まったところで徐々にギャップも見せていって、最後は観測者と“距離感近め”で終わるというのがテンプレだったじゃないですか。だけど今回は「Overture」に朝をイメージするような日常の音を使っていて、1曲目の新曲の「青、その他」で自然体のさわやかな僕たちを観てもらう。「case.2」とは真逆だよね。
小泉 あと、今回のセトリは起伏がすごいよね。曲の世界観強めな「嗜好に関する世論調査」の次に、かわいらしい「ジュトゥブ」が来たり、ギャップを見せることを意識した構成なんじゃないかなと思います。だから僕らも表情の切り替えとか、特に意識していますし。
杢代 中盤の流れもすごいよね。「豪雨」でしっとりさせたあとに攻撃的な「J*O*K*E*R」が来て、「夢に唄えば」で華やかな雰囲気になったと思ったら「嗜好に関する世論調査」でまたギアが一段変わるという。一定のテンションでは観られない構成になっているので、これまで僕らのライブに何度も来てくれている方もびっくりすると思います。
僕たちにしかできない挑戦
──今回のツアーで、皆さんにとって新たな挑戦はありますか?
杢代 今回、僕らのアバターが登場するんですよ! アバターがモニタの中で踊るんですけど、そのダンスは僕らが実際に踊ったものをモーションキャプチャしたものなんです。だから、その2次元のキャラクターも、ある意味リアルな僕たち。これは本当に挑戦というか、僕たちにしかできないことだと思っています。アバターが盛り上げている間、僕らは衣装替えをしているので、ホントに彼らに「任せた!」ってバトンタッチしている感覚なんです(笑)。で、そのあとには2次元の僕らと3次元の僕らが一緒にライブを盛り上げる場面もあって。7+7の12人で……。
武藤 14人ですね。惜しい、2人足りないぞ!(笑)
大倉 足りないの誰だ?(笑)
杢代 間違えたの! とにかく、14人でライブを作り上げるところもあるので!(笑) なんだか、すごく未来が楽しみになる感覚もあります。
長野 確かにね。
杢代 もっと技術が進化したらアバターができることも増えるだろうし、すごく可能性が広がったというか。僕たち、まだまだ可能性あるなと思えるよね。
──人数も、増やそうと思えば無限に増やせますしね。
杢代 そうなんですよ! 僕をもっと増やして“杢代7人編成”でもできますから!
小泉 それ、どんな曲だよー(笑)。
杢代 杢代をたくさん引き連れてソロ曲とか!
武藤 面白そう(笑)。
小泉 いやあ、でも、モーションキャプチャの撮影って黒くてピタッとしたスーツを着て、そこにつぶつぶを装着して踊るんで……ちょっと恥ずかしかったです。
長野 ほぼ全身タイツですよ。
杢代 だから、ファンの皆さんは流し見するのだけはやめてほしいですね。ホントに僕らがんばったんだぞ!と。ちゃんと僕らの分身だと思って観てほしいです(笑)。
小泉 2ndアルバムのタイトルが「虚像と実像」(2021年12月リリース)ですけど、これこそ虚像と実像を感じる演出だよね。
長野 まさにそうだよね。
なんか……持ってかれた感がありました
──大阪公演と名古屋公演を終えた現状で、印象に残っていることはありますか?
武藤 僕は「キミヲナクシテ」という新曲をリリース前に披露したことですね。ライブで初披露って、ファンの皆さんへのサプライズみたいでいいなって。東京公演が終わった次の日に配信されるので、その反応も楽しみで。
杢代 ファンのみんなのリアクションはどうなの?
武藤 ええと、マスクしてるからちょっとよくわからない……。
長野 違うよ、潤くん、歌うときに斜め上を見てるからわかんないんだよ(笑)。
一同 あはははは!
武藤 そ、それもあります(笑)。
──(笑)。要人さんはいかがですか?
吉澤 あの、「半分相逢傘」の僕のパートで、「これでどっちも悪いね」っていうセリフがあるじゃないですか。
──観測者さんを射抜くキラーフレーズですね。
吉澤 名古屋での2公演は、そのセリフを和人と潤くんが言ったんです。なんか、なんか……持ってかれた感がありました。
小泉 あはははは!
吉澤 和人はすごく和人らしい感じで言っていて、潤くんはいつもの潤くんっぽくない感じで言っていて、それがまたファンのみんなの心を……。
大倉 そう、潤くんマジですごかったよね。
長野 あれはエグかった。
吉澤 ファンの方も「わあー!」となっていたんで……。
──要人さん、前回のインタビューでは「ほかのメンバーが言っているところも見てみたい」と言ってましたよね?(参照:原因は自分にある。「虚像と実像」インタビュー)
吉澤 や、見たかったんですけど、いざ見るとちょっと……。
一同 あはははは!
吉澤 そのとき、後ろを向いてないといけないんですよ。「ああ、持ってかれるんだろうなあ」と思いながら背中で聴いていたんですけど、もう、ちゃんと持っていかれました(笑)。
武藤 あはははは。
吉澤 いや、でもせっかくなら、全メンバーのバージョンを見たいっす(東京公演第1部では桜木が、第2部では吉澤がセリフを担当した)。
杢代・小泉 見たいねー!
大倉 やー! 俺はいいや(笑)。
──セリフを言ったお二人はいかがでした?
武藤 要人の代わりに言うの、急に決まったんですよ。だから「半分相逢傘」になった瞬間「俺だ俺だ、この公演は俺だ……!」と自分に言い聞かせて(笑)。
大倉 実際、「潤くん言い忘れるんじゃないか?」ってみんな心配だったもんね(笑)。
武藤 頭の中がいっぱいだったので、言った瞬間のことは覚えてないです(笑)。セリフを言い終わったあとも、言えた安心感が強すぎて。ただ、サビ入り忘れたかもしんない……!
一同 あはははは!
杢代 潤くんはサビを歌うからね(笑)。僕はレコーディングのときからこのセリフを担当したかったんですよ。自分が言いたすぎたんですけど、要人がやることになっちゃって。だから、本番は歌割りを決めたディレクターさんに向けて「俺でもよかったんじゃないの!?」って思いを込めて言いました!
一同 あはははは!
僕ら、ステップアップできているんだな
小泉 自分も「半分相逢傘」のことになっちゃうんですけど、前回の「case.2」では音源を使っていた僕のセリフパートを、今回は1人で歩きながら、生で言っているんですよ。ここで観測者が沸いてくれるのが……とても気持ちいいです!
一同 あはははは!
杢代 そういうことは自分で言うな!(笑)
小泉 みんな声は出せないけど、動揺して少し声が漏れちゃうのが……うれしいですよねえ。
杢代 急に饒舌すぎる(笑)。
──和人さんはいかがでしょう?
杢代 自分はオープニングですね。「Overture」のあとに僕がステージに出ていって「行ってきます」と言うのが、今回のライブの始まりなんです。自分1人でライブをスタートさせることなんて過去にない経験なので、毎回ドキドキしながら言ってます。スタッフさんに「すごく明るく言って」と言われるんですよ。本番前には“行ってきます練習”もあって……。
桜木 やってるね、練習。
杢代 しかも、なかなかの人数が見守る中で。スタッフさん全員集合してるくらいの場所で練習するんですよ(笑)。
大倉 スタッフさんもスタッフさんで「おお、それそれ! いいね!」みたいな感じで盛り上げてて(笑)。
杢代 あとにも先にもこういうことはないんだろうなあと思いながら。毎公演、ベストスコアを出せるようにがんばっています。
小泉 東京でベストスコア出してね。
杢代 練習だと完璧な「行ってきます!」が出せるんだけどなあー!
──では、凌大さんは?
長野 今回のツアーでは、裏動線とかステージセット下の動線を作れているんです。そこを通ると「僕ら、ステップアップできているんだな」と思えてうれしくて。僕は小学校6年生のときからこの活動をやっていて、いろんな先輩のライブやほかの事務所さんのグループのライブ映像を観ては「チームっていいな」って憧れていたんで……自分たちも徐々に憧れを現実に変えていけている、ちゃんとアーティストとして舞台に立てていることがすごくうれしいんです。だからもう、どの瞬間もめちゃくちゃ楽しいです(笑)。
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やっぱ7人じゃないとな