MCバトル「激闘!ラップ甲子園」決勝大会レポート|まさに激闘!10代ラッパーたちの頂上決戦

高校生世代ラッパーの日本一を決めるフリースタイルMCバトル大会「激闘!ラップ甲子園」の第1回決勝大会が、4月3日に東京都内で開催された。この決勝には、応募総数400を超える中からオーディション審査で選ばれた32名による予選大会を勝ち上がった8名に加え、追加オーディションを通過した8名が参戦。計16名の若きラッパーたちがトーナメント方式で覇を競った。この特集では栄えある初代チャンピオンが誕生した決勝大会の模様をレポートする。

なお、決勝大会の模様はTOKYO MXの次世代ラッパー発掘番組「激闘!ラップ甲子園への道」でもオンエアされているので、そちらも併せてお楽しみいただきたい。

取材・文 / ナカニシキュウ

初戦は混戦模様に

大会ルールはいたってシンプル。対戦は1対1で行われ、1試合につき8小節×3ターン(決勝戦のみ4ターン)でフリースタイルラップを競い合う。パフォーマンス終了後に8名の審査員がそれぞれ優勢と判断した競技者の札を上げ、より多くの札が上がった者の勝利となる。判定同数の場合は延長戦が行われ、決着がつくまで繰り返されるレギュレーションだ。なお、先攻・後攻はコイントスによって対戦直前に決定する。

審査員席上段左からNAIKA MC、DJ TATSUKI、Gucci Prince、KEN THE 390、下段左からT-Pablow、呂布カルマ、S-kaine、Authority。右側はMCを努めたカミナリとえまぽち。

審査員席上段左からNAIKA MC、DJ TATSUKI、Gucci Prince、KEN THE 390、下段左からT-Pablow、呂布カルマ、S-kaine、Authority。右側はMCを努めたカミナリとえまぽち。

決勝大会の審査員は、T-Pablow、呂布カルマ、KEN THE 390、Authority、NAIKA MC、S-kaine、DJ TATSUKI、Gucci Princeの8名。レフェリーはDJ TY-KOHが務め、DJ AGETETSUがDJを担当した。なお、本大会で使用されたオリジナルビートは「激闘!ラップ甲子園 ORIGINAL BATTLE BEAT VOL.1 Beat By SALTWATER」として配信リリースされている。気になる人はチェックしておこう。

大会MCを務めるカミナリとえまぽちが開会の挨拶および審査員陣の紹介を終えると、さっそく1回戦がスタート。いずれの出場者にも序盤は硬さが見受けられ、本来の実力を発揮しきれていないようにも映る滑り出しとなったが、それぞれターンを重ねるにつれてペースをつかんでいく。ラッパーとしての基礎体力に関しては全員が申し分ないものを持っているだけに、随所にキラリと光るフレーズが飛び出すなど対決は徐々に熱を帯びていった。

1回戦の対戦表

1回戦の対戦結果は上記の通り。東西2ブロックで行われた予選大会でそれぞれ1、2位の好成績を残してきた苺梨、Chance、TAKERU、Sirogarasの4名が順当に勝ち上がったほか、東日本予選ベスト4通過のshinも1回戦を突破。追加オーディション組からは「ハイスクールダンジョン MONSTER TOURNAMENT」で優勝経験のあるNERVE、「東京の10代トップ」を自称するKampf、そしてABEMA「ハイスクールダンジョン」の“モンスター”として知られるMCリトル aka anjiの3名が2回戦進出権を勝ち取った。

トーナメント方式の宿命として、ここで早くも半数の8名が敗退。しかしながら、仏教ワードを駆使する独自の世界観で勝負した盧舎那や、パンクロック精神を胸にステージ狭しと暴れ回ったモヒカンラッパー・PUNK THE KOTOBUKI、闘争心を剥き出しにした攻撃的なラップでカミナリや審査員らをうならせたLil oddyなど、判定上敗れはしたものの強烈なインパクトを残した者も少なくなかった。

徐々に本領を発揮する出場者たち

2回戦の対戦表

1回戦を経たことでエンジンが暖まったと見え、2回戦では各人ともに表現力をより高めたパフォーマンスを披露した。苺梨はアプローチの手数で相手を圧倒したが、ビートとの親和性で上回るNERVEに惜しくも後塵を拝する。Sirogarasは得意のユーモラスな返しがうまくハマり、Kampfによる“愛あるデブいじり”を制して勝利。Chanceは都会的なセンスを生かしたラップを繰り出し、安定感抜群のMCリトルを総合力でねじ伏せる。そしてshinはリラックスムードで余裕のバトルを展開し、倍音を生かしたフロウを織り交ぜるなど技術力の高さも存分に見せつけてTAKERUを退けた。

これで準決勝進出の4名が決定。東西予選の覇者・苺梨とTAKERUが早くも姿を消すという波乱の中、NERVE(大阪)、Sirogaras(兵庫)、Chance(東京)、shin(埼玉)と、奇しくも東西から同数の2名ずつが勝ち残る結果となった。