音楽ナタリー PowerPush - GEEKS
ルーツを重んじ王道を鳴らす 孤高のバンド
流行りの音楽みたいなのは嫌
──“方向性を変えないようにする”というバンドのスタイルがあるものの、今作ならではの部分はありますか?
エンドウ. 今回のアルバムでも音楽性の部分では特別に新しいチャレンジはしないようにしています。でも自分たちが退屈しないようにはしたいと思っていて。
ミツ “新しい”ってなんだろうとも思ってますからね。
エンドウ. アルバムの前にシングル「INVADER ROAD」を出したんですけど、それは宇宙っぽい世界観がテーマなんです。といっても宇宙の歌を歌うとかではなくて、スペーシーな雰囲気を出してる感じで。今回のアルバムはその延長で作っていますね。スペーシーって僕らの中ではメカっぽいものだったりもするので、ジャケットの感じもそれに合わせて。僕らの中で少し挑戦はしているんです。
──スペーシーな音楽を表現するためには何をしているんでしょうか?
エンドウ. 自分たちのトラディショナルなロックなサウンド、ギターとベースとドラムは変えないようにして。キーボードがいろんな音色で世界観を出そうとしています。
カオル 今まではどちらかというとオルガンとかピアノ、ストリングスといった生楽器の音を出すことが多かったんですけど、今回はシンセの割合を多くしています。あとはロックバンドではあまり使わないようなループ音源を持ってきたり。そういうちょっと変わった音は前作より増えているんです。
エンドウ. ただあんまピコピコしたシンセの音を増やすと、最近の流行りの音楽みたいになっちゃうから、そういうのは嫌だなと思っていて。
──世間で流行している曲に似たものは作りたくなかった?
エンドウ. そうなんです。だから60~70年代のアナログシンセサイザーでも再現できるような音というか、ルーツの延長にある音を入れたいと思ってやりました。なので、もしかしたらそんなにスペーシーな音楽にはなってないかもしれないです(笑)。
10年経っても同じ音楽をやってる
──エンドウ.さんの書く詞には「踏み潰せ」とか「息の根を止めろ」といった、強い表現が目に付きます。なぜこういった攻撃的な表現を多用するんでしょうか?
エンドウ. 自分の中ではそんなに強い表現って意識はないんです。例えば中高生の頃聴いていた、洋楽の歌詞の和訳ってこんな感じだったかなって。
ミツ 「父母ありがとう」とか「同じ空の下で」とか、俺たちが聴いてきた音楽ではあんまり見なかったよね。
──強い言葉が多用されていますけど、例えば1曲目「VERMIN KILLER」は歌詞をよく読むと片思いを歌っていますよね。
カオル キレイに言うと片思いですね(笑)。
エンドウ. 片思いというか、完全にストーカーの歌ですけど。ちょっと後味が悪くなるような曲を書きたかったんです。
──「DECREPIT BUS」では「お前が泣けば俺も泣こう」といった歌詞が出てきますし、曲の根底にあるメッセージは必ずしも残酷なものではない印象を持ちました。
エンドウ. そうですね。世の中の人に向けては「クソ」だとか言いますけど、GEEKSを聴いてくれるような人には共感してもらえるだろうって思ってるんです。僕らの音楽を聴いてくれる人たちって、社会のルールとかもそうですけど、人間の輪からはみ出てるようなヤツらなんじゃないかって、勝手になんとなく想像していて。そういう人たちに伝わる曲を書こうとしています。
──ストレートに恋愛や感謝の気持ちを歌うことはないんですか?
エンドウ. 世の中には「がんばろう」とか、「ありがとう」みたいな曲が多いじゃないですか(笑)。だから同じような曲をやらないように。
ミツ 周りを反面教師にしているかっていうとそうでもないんですけどね。僕らは10年経っても同じ音楽をやっている気がするんです。GEEKSに似た音楽が流行しても、同じことをやってるかな。
エンドウ. 周りから比べれば僕らの歌詞は強い表現かもしれませんけど、僕らは“強い”と思っていないんです。それこそSlayerとかのほうがよっぽど強いわけじゃないですか。バンド名がもう「大量虐殺」なわけですから。
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収録曲
- VERMIN KILLER
- ANATOMY RHAPSODY
- THUMBTACK PROMA DONNA
- GEEZER JERK
- GALLANT VAGRANT
- CHICAGO TYPEWRITER
- ROAD ROLLER
- 125MONOLOGUE
- PENNY BLACK
- BUCEPHALUS
- DECREPIT BUS
- VERMIN KILLER(TeddyLoid's Reworked Mix)
GEEKS(ギークス)
エンドウ.(G, Vo)、ミツ(B, Vo)、カオル(Key, Vo)、キョウヘイ(Dr, Vo)の4人からなるロックバンド。洋楽由来のメロディとぶ厚いコーラスワークを特徴とする。2008年の活動開始以降、精力的に音源を発表をする一方で2度にわたる東京・渋谷ハチ公前のゲリラライブ開催や、アメリカ・テキサス州のフェス「SXSW」に2年連続で出演するなど枠に捉われないバンド活動を続ける。2014年11月ニューアルバム「ALKALOID」をリリース。さらにアルバムの発売を記念した全国ツアー「投げナイフツアー」を開催している。