GARNiDELiA|“踊っちゃってみた”が切り拓いた世界への活路

僕の性格も明るくなったんじゃないかな(笑)

──メイリアさんは先ほど軸が2つになったとおっしゃいましたが、“踊っちゃってみた”シリーズで得られたものってほかにありますか?

メイリア このシリーズはコンセプト出しから何から全部自分たちだけでやってるので、プロデューサー的な視点が養われたかもしれないですね。普段のMVと違って定点カメラで、しかも「極楽浄土」以降は基本的に白バックで撮ってるので、そこでいかに曲の世界観を表現するかを考えなきゃいけないし。みうめの振り付けに関しても、やっぱり“踊っちゃってみた”はみんなに踊ってもらってこそなので、難しすぎてもいけないんですよ。

──大衆性がないといけない。

メイリア そうなんですよ。それがこだわりポイントの1つでもあって。尖りすぎずに、老若男女、誰が観ても聴いても体を動かしたくなる動画を目指してます。

──それは曲作りも関係してくる部分ですよね?

toku このシリーズの曲はやっぱり、なんか明るいっすよね。

──ざっくりですね(笑)。

toku 今までだったら、ちょっとメロディや構成を凝ったり、変わった音入れたり、そういうのがカッコいいと思ってたんです。だけど踊りありきだと、わかりやすく盛り上がれる曲が求められるわけじゃないですか。それって自分にとってはシンプルすぎて「これでいいのかな?」っていう不安がすごい大きかったんですね。ずっとメイリアに「ここ、なんかバカみたいじゃない?」とか聞いてたし(笑)。

メイリア 別の言い方をすれば「ダサくない?」ってことですよね。ダサいかダサくないかのせめぎ合いみたいなのがあって。でも、このギリギリのダサさが逆に耳に残るし、逆にカッコよくて、なんだかんだでライブですごく盛り上がるのって“踊っちゃってみた”シリーズの曲たちだし、みんながわかりやすくノれる曲って強いんだなって思ったよね。

toku うん。「極楽浄土」とか「桃源恋歌」は、中国に行くとストリートミュージシャンがカバーしてたりとかするし。

メイリア ラジオ? みたいなのでもめちゃくちゃかかってたよね。

toku そういった意味ではすごく、意識は変わりましたね。このシリーズではストレートに楽しめるような楽曲を目指すようになったし、なんか、僕の性格も明るくなったんじゃないかなって(笑)。

“踊っちゃってみた”の集大成的な曲「響喜乱舞」

──アルバムの冒頭2曲は新曲ですね。まず1曲目にしてタイトルトラックの「響喜乱舞」は和がモチーフ。で、「狂喜乱舞」の「狂」の字を「響」に置き換えています。

メイリア “踊っちゃってみた”シリーズの作品たちが世界中に“響”いたことで、たくさんの人たちが私たちを知ってくれて、そのおかげでアジアツアーが実現したり、こうしてアルバムを出すこともできたんですね。そしてこのアルバムでさらに自分たちの音を“響”かせたいと思って「響喜乱舞」にしました。ついでに言うと、このシリーズの曲をライブでやるとステージからみんなの笑顔がよく見えて、“喜”びが会場に充満していく感じがするんです。で、“乱舞”は言わずもがなですね。

──「響喜乱舞」の歌詞は、序盤で「花の色は移りにけりな」「祇園精舎の鐘の声」と、「古今和歌集」に収録された小野小町の歌および「平家物語」の書き出しが引用されています。いずれも無常観が表れていますが、これは“和”という意味でも、この曲のメッセージを伝えるという意味でも非常に効果的ですね。

メイリア ありがとうございます。まさにこの世は無常なんだから、今この瞬間は踊らにゃ損損!ということで。その無常観というか、例えば桜はあっと言う間に散ってしまうからこそ美しさが際立つみたいな、儚さを愛する感覚ってすごく日本的だと思うんですよ。そういう日本的な美意識を曲に乗せつつ、「ライブでは一瞬一瞬を思い切り楽しんでね!」という気持ちを込めました。もう、この曲はライブの定番曲にするぞって決めてたし、コール&レスポンスもがっつり音源に組み込んでみんなで一緒に歌えるようにアレンジしてたりするので。

──曲も、その「平家物語」の引用のあたりまではしっとり切なげなんですけど、そのあと少し長めの間奏から……。

メイリア そう。突然ね、様子がおかしくなるんですけど(笑)。

toku ははは(笑)。

メイリア この前半をめちゃくちゃ落としてサビで「いくぞー!」みたいに一気にアゲる手法って、ガルニデの曲の1つのパターンかなって。そういう意味では“踊っちゃってみた”シリーズの集大成的な曲でもありますね。

もっとゴリゴリ踊れるやつがいい

──tokuさんも、今メイリアさんがおっしゃったようなことを意識して作曲されたんですか?

toku とりあえず、サビはもうなんでもいいんだろうなって。

──先ほどからコメントがわりと雑(笑)。

toku もちろん雑に作ってるわけではなくて(笑)。サビに持っていくまでのストーリーをどう作っていくかを一番考えたかなあと思って。おそらくサビは四つ打ちで、お祭り的な感じにしようかなっていう構想はすでにあったので、そこに至るまでにダンスをかっこよく見せつつ、1曲の中でテンポチェンジがあるような構造にできたらいいなと。それからこの曲はパートがいっぱいあって、サビは繰り返すけど、いわゆるAメロとかBメロに相当するパートは繰り返さないっていうのも面白いんじゃないかなって。

メイリア そうだね。

toku 加えて、ポストEDMのヒップホップのテイストみたいなのを入れることで、ガルニデと今の世の中で流行っている音楽とがリンクできるようなものを意識して。あとはメイリアの言葉が引き立つような展開を作れたらなっていうのが僕のテーマでしたね。

メイリア 引き立つメロディでしたね。ありがとうございます!

──同じく和がテーマの「極楽浄土」と比較して、サウンド的にはよりゴリゴリになっていますよね。

toku 「響喜乱舞」は、アルバム「G.R.N.D.」の「Poppin'Trip」でコラボしたHEAVYGRINDERのKATFYRくんにトラックダウンをお願いしてしてるんですよ。あの低音の感じがこの曲にも欲しくて(参照:GARNiDELiA「G.R.N.D.」インタビュー)。

メイリア 「響喜乱舞」は「極楽浄土」や「紅葉愛唄」(2018年2月5日投稿)に続く3つ目の“和”の作品なので「次は新しいやつやりたいんだよね。もっとゴリゴリ踊れるやつがいい」って話してて。前の2曲はわりとはんなりしたイメージだから、もっと男らしいブリンブリンの、ダウンでリズムをとるみたいな感じで。だから、イントロとか前半部だけ聴いたら「あ、また“和”ね。はいはい、はんなりはんなり」みたいに思うかもしれないんですけど、さっきもちょっと言ったように後半から様子がおかしくなって……っていうのが狙いだったりもして。そういうストーリーがある曲なので、最後まで聴いてもらって完成するかなと。

GARNiDELiA「響喜乱舞」
2018年9月26日発売 / SACRA MUSIC
GARNiDELiA「響喜乱舞」初回限定盤

初回限定盤 [CD+フォトブック]
3000円 / VVCL-1296~7

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GARNiDELiA「響喜乱舞」通常盤

通常盤 [CD]
2500円 / VVCL-1298

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収録曲
  1. 響喜乱舞
  2. アブラカダブラ ~avra K'Davarah~
  3. 紅葉愛唄
  4. Girls
  5. Love Swing
  6. Lamb.
  7. PiNKCAT
  8. Hysteric Bullet
  9. 桃源恋歌
  10. 極楽浄土
GARNiDELiA「stellacage Live House Tour 2018 "glow"
  • 2018年7月7日(土) 埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2018年7月8日(日) 茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2018年7月14日(土) 千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2018年7月15日(日) 長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2018年8月4日(土) 京都府 KYOTO MUSE
  • 2018年8月5日(日) 兵庫県 神戸VARIT.
  • 2018年8月11日(土・祝) 香川県 DIME
  • 2018年8月12日(日) 広島県 CAVE-BE
  • 2018年8月18日(土) 岩手県 Club Change WAVE
  • 2018年8月19日(日) 秋田県 Club SWINDLE
  • 2018年9月29日(土) 東京都 Zepp DiverCity TOKYO(※追加公演)
GARNiDELiA(ガルニデリア)
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、さまざまなアーティストへ楽曲提供を行うtoku(Compose, Key)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月、アニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマのシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。2017年6月に映画「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌「SPEED STAR」をシングルとして発表する。海外での活動も活発で、2017年5月には初の海外単独公演を中国・上海で行い、秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題しアジアツアーを開催。2018年1月にアニメ「BEATLESS」のオープニングテーマとして書き下ろした「Error」をシングルとして、3月に3rdアルバム「G.R.N.D.」を発表した。9月に“踊っちゃってみた”動画シリーズで話題となった楽曲を集めた企画盤「響喜乱舞」をリリース。9月29日には「stellacage Live House Tour 2018 "glow"」追加公演の東京・Zepp DiverCity TOKYO公演を開催する。