音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA

哀情の青、熱情の赤 2つが融合した「Violet Cry」

ミスマッチを散りばめたアルバムになった

──11曲目の「My little hapiness」はビートダウンハウス的な、いい塩梅にBPMゆるめのダンスナンバーですが、シンセベースがものすごい自己主張してますよね。

メイリア tokuさんはベースをブリブリさせるの好きですよね。

toku 今回はかなり低音重視ですね。マスタリングをparasight masteringの滝口博達さんにお願いしたんですけど、理想の音に仕上げてくださいました。「My little happiness」は2種類のベース音を使っていて、普通に人間の耳に聞こえる低音と、テーブルに置いたグラスがブブブブブって震えるレベルの重低音を混ぜてるんです。まあ、自己満足と言われればそれまでなんですけど、こういうのもやってみたくて。

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──いやいや、このベースの厚みというか丸みは非常に心地よいです。これも、先ほどの「NEON NIGHT」のノイズじみたシンセと同じくつい入れてしまった“変な音”ですか?

toku そうですね。作曲をする上で、常にミスマッチを探しているところはあります。それは単純な音のミスマッチだけではなくて、例えば「Cry」のイントロは、最初にバーンと盛り上がってからフッと静かになるんですけど、普通は逆で、静かなパートから盛り上がるパートに移行しがちですよね。そんなふうに「それはないだろう」っていうことを率先してやってるので、僕としては、このアルバムはミスマッチを散りばめて作れたかなと。それがどこまで伝わるかはわからないですけど(笑)。

──そして、この「My little happiness」は日常の中に隠れた奇跡を噛みしめている女性の歌です。やはり「BAD BOY」で悪い男にハマる女を描いた人が書いた歌詞とは思えない。

メイリア 「My little happiness」はラブソングですけど、この歌詞の内容は恋愛以外にも当てはまると思っていて。例えば家族と一緒に食べる朝ごはんだって、毎日繰り返してると見落としがちだけど、また明日の朝も一緒に食べられる保証なんてどこにもないじゃないですか。今日の夜に誰かが入院してしまうかもしれないし。そんなふうに、今起こってることは実は小さな奇跡の連続の上に成り立ってるんだって考えるタイプなんですよ。そうは見えないかもしれないんですけど。

──いやいや、2ndシングル「grilletto」のカップリング曲「キミとボクが出会う確率」でも、その種の奇跡について書いてらっしゃいましたし。

メイリア そういう意味では、この「My little happiness」の歌詞が素の私に一番近いかもしれませんね。ここには友達の意見も入ってないし(笑)。

ファンへのメッセージが詰まった「変わらないモノ」

──ダンスゾーンを抜けて12曲目の「変わらないモノ」は、GARNiDELiAの楽曲としては比較的ストレートでさわやかなギターロックになっていますよね。

メイリア さわやかナンバーです。ここまで重かったんで、さわやかな曲もやりたいよね、みたいな感じで。

toku アルバムの中ではこれが一番前向きな曲だよね。

メイリア この曲は、今の私の素直な気持ちを詞にしました。ここまで来るのにいろんなことがあって、失敗もたくさんしたけれど、でもそのおかげで今があるから。と同時にファンのみんなに向かって言いたいことが一番詰まってるんですけど。

──歌詞の主語も「僕ら」ですし。

メイリア はい。だからこれは私たち2人だけじゃ書けなかった曲。みんながいたからできた曲です。ライブだったらアンコールに持ってきて、「みんなで一緒に前に進んで行こうね」っていう感じになったらいいなと。

toku これはメイリアがいつも言っていることというか、ファンに向けるメッセージは昔から変わってなくて、それを曲にするんだったらこれくらいの明るさと突き抜け感があったほうがいいのかなと。ただ、この曲もやっぱりちょっと変というか、展開が多くて。Aメロ、Bメロ、CメロだけじゃなくてD、E、Fくらいまであるんですよ。それを4分30秒に収めたのはすごいなとか自分で思ったり(笑)。

メイリア 自画自賛(笑)。

──曲名でもある「変わらないモノ」というのは、GARNiDELiAそのものでもあるのかなと。

toku たぶん変わってないですね。

メイリア ね。「Violet Cry」では新しい表現にも挑戦していて、それってみんなからしたら変わったように見えるかもしれないけど、音楽が好きなことと、私たちがなんで音楽をやってるのか、みたいな本質的なところはずっと変わってないので。それはこれからも同じです。

2017年はツアーをやるぞ!

──そんな変わらないお二人の今後の活動は?

メイリア 2016年は海外でのライブが多かったので、2017年はもっと日本のみんなに会いに行きたいですね。

──やはりライブを軸に活動していきたいと。こうしてアルバムができて、また“答え合わせ”(参照:GARNiDELiA、“答え合わせ”の2ndワンマン大成功)をしないといけませんしね。

メイリア はい。東京ではできるんですけど、地方のみんなの反応も見てみたいなって。私たちはツアー形式のライブをまだやったことがないので、そろそろ、というか、2017年は絶対に全国ツアーやるぞ!

toku たぶん僕らが一生やっていきたいことって、ライブをして、そこでお客さんにもらったものを楽曲にフィードバックして、それをまたライブで披露してっていう、その繰り返しだと思うんですよね。そういう活動の中で、例えばノンタイアップのシングルを切ってみたり、ミニアルバムを作ってみたり、今までとは違った形でテーマ性を打ち出して、自分たちの音楽とリンクさせた作品を発表していきたいですね。

2ndアルバム「Violet Cry」 / 2016年12月14日発売 / SME Records
初回生産限定盤A [CD+Blu-ray] / 3980円 / SECL-2087~8
初回限定盤B [CD+DVD] / 3580円 / SECL-2089~90
通常盤 [CD] / 3100円 / SECL-2091
CD収録曲
  1. EXXXTASY
  2. REAL
  3. 約束 -Promise code-
  4. Burning Soul
  5. LIFE
  6. 祈りの歌
  7. Cry
  8. 極楽浄土
  9. NEON NIGHT
  10. BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER-
  11. My little happiness
  12. 変わらないモノ
  13. MIRAI
初回限定盤A Blu-ray収録内容
  • 「Cry」Music Video
  • 「約束 -Promise code-」Music Video
  • 「MIRAI」Music Video

<stellacage vol.III @ TOYOSU PIT 2015.11.7>

  • True High
  • Steps
  • PiNK CAT
初回限定盤B DVD収録内容
  • 「Cry」Music Video
  • 「約束 -Promise code-」Music Video
  • 「MIRAI」Music Video

<特典映像>

  • 「紫苑」リリックビデオ
  • メイキング映像
  • 「MIRAI」ショートフィルム
GARNiDELiA(ガルニデリア)

モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1台と歌で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後、数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。