音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA
哀情の青、熱情の赤 2つが融合した「Violet Cry」
「攻めすぎ」と思うか、「いいぞ、もっとやれ」と思うか
──アルバム2曲目の「REAL」も、ライブでのキラーチューンになりそうですよね。切なげなピアノのイントロが流れた次の瞬間、ダーティなギターリフが被さって、しかもリズムはドラムンベースだし。
メイリア しっちゃかめっちゃかですよね(笑)。
──それをタイトにまとめたデジロックでありながら、非常にキャッチーです。まさに「キルラキル」(GARNiDELiAのデビューシングル表題曲「ambiguous」は同アニメ第2期オープニングテーマに採用)のようなハイテンションなアニメのオープニング映像にばっちりハマりそうな。
toku 採用してほしいよね(笑)。
メイリア ねえ。リリース後でもいいですよ(笑)。
toku ナタリーさんのインタビューでは毎度「ガルニデらしさとは何か」みたいな話になって、毎度明確な答えを出せないでいるんですけど、今おっしゃったようにアニソンふうのメロの主張があるっていうのは“らしさ”の一部になってるのかなと思いますね。
──続く3、4曲目はいずれも既発曲ですが、「約束 -Promise code-」はシングルリリース時のインタビューで「史上最高速度を更新した」とおっしゃっていましたし(参照:GARNiDELiA「約束 -Promise code-」インタビュー)、「Burning Soul」も同様にスピード感のあるナンバーです。そして5曲目の「LIFE」はテンポこそ落としているものの、エモい展開をみせるヘヴィロックと、リスナーとしては息つく暇がない。
メイリア ひと息もつかせない(笑)。でも、この流れを「攻めすぎ」だって思う人もいれば、こっちのほうがなじむというか「いいぞ、もっとやれ」って思う人もいる気がするんですよ。
toku 僕らのファンって、アニメから入ってきた人もいれば、ニコ動やネット経由の人もいるし、メイリアのファッションに興味を持ってくれた人もいる。だから全方位に向けたサウンドは作りづらいかもしれないんですけど、やっぱり以前の僕らを知る人にとっては新しくないといけないし、これから聴いてくれる人にとってはインパクトのある1枚であってほしいんですよね。それが曲の流れや、こうしたアゲっぷりにも表れているのかなと思います。
tokuならではのSF設定の「祈りの歌」
──6曲目の「祈りの歌」は、ようやくひと息つけそうなミディアムバラードです。この曲だけ作詞がメイリアさんとtokuさんの共作になっていますね。
メイリア 「祈りの歌」はデモを聴いたときに、例えば「SPiCa」とか「ARiA」みたいな、インディーズ時代のGARNiDELiAの曲に近いなと思ったんですよ。当時はtokuさんが作詞してる曲が多くて、その内容も星や宇宙をテーマにした壮大なものだったんです。
──SF的ですね。
メイリア そうなんですよ。私はどちらかというと自分にとって身近なものをテーマに詞を書くタイプなので、インディーズ時代のサウンドに通じるこの「祈りの歌」にはtokuさんの詞が合うんじゃないかと。それで作詞をお願いしたんですけど、あるとき「どんくらい進んでんのー?」って私がチラッと見たら、「サビはできたんだけど……」みたいになってて。このアルバムは時間との戦いでもあったので「じゃ、一緒に書くか」と(笑)。
toku お手数おかけしました(笑)。
メイリア テーマとしては、やっぱりtokuさんらしいSF的な舞台設定があって、架空のSF映画の主題歌を書くようなノリで。ざっくり言うと、愛する人が別の惑星で戦っていて、その人の帰りを待つ人の気持ちを歌った曲ですね。
──「祈りの歌」は、バラードといえどもギターの音はブ厚く重く、全体としてタフなアレンジをされていますね。
toku 僕らのライブにはバンドが入るので、それを想定するとこういうアレンジのほうがハマるのかなと。なので、ギターも特に重くしようという意識はなくて、このくらいがちょうどいいと思って作ってたんですけど、言われてみれば重いかもしれませんね(笑)。
どん底にいる人にも寄り添える歌を
──そして7曲目はリード曲であるバラード「Cry」です。
メイリア アルバムを「Violet Cry」に決めてから、じゃあみんなが共感できるような、リアルで普遍的な体験ってなんだろうってtokuさんと話し合った結果、大切な人との別れじゃないかって。そうして悲しい別離の歌になったんですけど、歌詞をスタッフさんに見せたら「メイリアちゃん失恋したの?」と言われ(笑)。
──ええ、そう言いたくなりますとも。
メイリア ですよね。でも全然そんなことはなくて。なんというか、気分がどん底まで落ちてるときって、「がんばろう」とか「大丈夫だよ」とか言われても、大丈夫じゃないし。
──「もうがんばってるし!」ってなりますよね。
メイリア だから、どん底にいるときも寄り添えるような歌にしたいなって。私は歌詞を書くとき、悲しい曲であっても最終的には希望を見出せるような詞を意識してるんですけど、「Cry」は珍しくどん底のまま終わってます。希望がまったく見えないときだってあるから。
──わかります。自分が落ち込んでるときに、明るい人を見るとムカつくみたいな話ですよね。
メイリア そうそう、眩しくて。女子会的な集まりでも、失恋した子がいると、とりあえずカラオケに行って一緒に泣ける曲を歌うことがけっこうあるので、「Cry」もそういうときの選曲リストに加えてもらえたらなと。
toku この「Cry」は、実はアルバムの最後に収録されたシングル曲のバラード「MIRAI」と、ほぼほぼ同じコード進行で作ってるんですよ。要は、同じコードにメロディが乗っかっているのに、歌詞が違うだけでこんなにも対極にある感情を表現できてしまう。サウンド以外の部分で、これだけ感情の色合いが変わるっていう、その対比を感じてもらえたらなっていう裏メッセージもあったりするんですけど。
メイリア 「MIRAI」はハッピーソング代表ですから色で言えば赤で、「Cry」は悲しみの青。この2色が混ざったのが“Violet”なので、その二面性を表す2曲でもありますね。
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- 2ndアルバム「Violet Cry」 / 2016年12月14日発売 / SME Records
- 初回生産限定盤A [CD+Blu-ray] / 3980円 / SECL-2087~8
- 初回限定盤B [CD+DVD] / 3580円 / SECL-2089~90
- 通常盤 [CD] / 3100円 / SECL-2091
CD収録曲
- EXXXTASY
- REAL
- 約束 -Promise code-
- Burning Soul
- LIFE
- 祈りの歌
- Cry
- 極楽浄土
- NEON NIGHT
- BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER-
- My little happiness
- 変わらないモノ
- MIRAI
初回限定盤A Blu-ray収録内容
- 「Cry」Music Video
- 「約束 -Promise code-」Music Video
- 「MIRAI」Music Video
<stellacage vol.III @ TOYOSU PIT 2015.11.7>
- True High
- Steps
- PiNK CAT
初回限定盤B DVD収録内容
- 「Cry」Music Video
- 「約束 -Promise code-」Music Video
- 「MIRAI」Music Video
<特典映像>
- 「紫苑」リリックビデオ
- メイキング映像
- 「MIRAI」ショートフィルム
GARNiDELiA(ガルニデリア)
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1台と歌で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後、数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。