音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA

哀情の青、熱情の赤 2つが融合した「Violet Cry」

GARNiDELiAがオリジナルアルバムとしては約2年ぶりとなる2ndアルバム「Violet Cry」をリリースした。

本作にはアニメ「ガンスリンガー ストラトス」エンディングテーマの「MIRAI」、オンラインゲーム「Soulworker」主題歌の「Burning Soul」、アニメ「クオリディア・コード」エンディングテーマの「約束 -Promise code-」、動画共有サイトで“踊っちゃってみた”動画が大ヒット中の「極楽浄土」に、新曲9曲を加えた全13曲を収録。新曲にはアメリカ・ロサンゼルスのDJユニットHeavygrinderとのコラボ曲「BAD BOY」や、大阪発のジャズバンド・カルメラのメンバーを迎えたナンバー「NEON NIGHT」など、これまで以上に多彩な楽曲群がひしめいている。

1stアルバムリリース後、国内外のフェスやライブに多数出演してきたGARNiDELiA。その経験から導き出されたニューアルバムのテーマとは? メイリア(Vo)とtoku(Key, Compose)に話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝

どんどんキツくなるアルバム制作スケジュール

──過去の音楽ナタリーでのインタビューを振り返ると、GARNiDELiAのアルバム制作はスケジュールがカツカツだなあという印象なのですが(参照:GARNiDELiA「Linkage Ring」インタビュー)。

メイリア あはは(笑)。そう、今回も、というか今回が一番カツカツだったかもしれません。

toku うん。「これ、もう出ないかもね」みたいに2人で話してたからね(笑)。

──ホントですか? 1stアルバム「Linkage Ring」は新曲7曲書き下ろしで2カ月、ベストアルバム「BiRTHiA」はインディーズ時代の楽曲、すなわち既存の曲を収録したとはいえ全15曲を新たにレコーディングし直して1カ月という制作期間でしたよね?

メイリア はい。今回は、1カ月で新曲を9曲収録してます。

toku しかも、制作期間中の週末は全部イベントが入っていたので、本当に時間との戦いでしたね。

──相変わらずワーカホリック気味なんですね。

メイリア ただ、時間がなくてあわあわしたのは事実なんですけど、楽曲制作そのものに関しては産みの苦しみみたいなものはそんなになかったんですよ。

toku 最初にアルバムタイトルでもある「Violet Cry」っていうテーマを決めた時点で、それに沿うとこういう形になるんじゃないかなっていうのはわりと明確に見えてたので、その通りにできたかなって。

心理的にも身体的にもファンとの距離を縮めたい

──では、そのテーマについてお聞きしましょうか。

メイリア 「Violet Cry」の“Violet”は紫色で、紫は青と赤が混ざった色ですね。で、感情を色に例えると、青は悲しみや切なさに、赤はハッピーな気持ちや熱情、あるいは怒りになると思うんです。

──なるほど、紫は混ざり合った感情を意味している。

メイリア はい。今までの私たちは、特にシングルではポジティブな曲を歌うことが多かったんですよ。でも、生きてれば悲しいときもつらいときもあるし、怒りたくなっちゃうときもあるから、そういういろんな感情に寄り添えるような詞をたくさん書きたいなって。その“Violet”に、このアルバムを聴いてくれた人が、例えばライブで一緒に泣いたり叫んだりするみたいに、感情を解放してほしいっていう思いを込めて“Cry”を付けて「Violet Cry」というタイトルに。特にリードナンバーの「Cry」は、もう、ただただ暗く、最初から最後まで悲しい曲なんですけど。

──痛いくらいですよね。

メイリア ガルニデでここまで深い悲しみを表現したことってたぶんなくて。MVを公開したときに「びっくりした」っていう声をいただいたりもしたんですけど、今回のアルバムではそんな私たちの新しい一面も見せていきたいなと。

toku 今メイリアが言ったように、歌詞面では感情に寄り添うっていう狙いもあるし、サウンド面ではライブでより一体感を得られるというか、心理的にも身体的にもファンの皆さんとの距離を縮めていくっていうのがお互いの意図としてあったと思うんですよ。それが、アルバムを作っていく中で「そういうことだよね」って一致しました。

海外ライブで揉まれまくった

──アルバムの構成を見ると、基本的には1stアルバムの流れを踏襲していますよね。要は、景気のいいダンスナンバーで幕を開け、序盤は全速力でかっ飛ばし、一旦ミディアムからスローテンポの曲で落ち着いて、ダンスゾーンを挟んで終盤に再加速してバラードで締める。

toku そうですね。僕らのアルバムって、ライブのセットリストをイメージしてるので。でも、今ってアルバムを1枚通して聴いてくださる方って、そんなに多くないかもしれない。

メイリア シャッフルするか、曲単位で買うか。

toku ただ音楽との付き合い方というのを考えたとき、僕らの場合その“目的地”はライブかなと思っていて、それをCDという形で具現化してる感じですね。

──実際、まず1曲目の「EXXXTASY」はバキバキのEDMで、これまでのGARNiDELiAにもEDM的な手法を取り入れている曲はありましたが、この曲はよりビルドアップとドロップを意識してらっしゃいますよね。それは曲名の通りエクスタシーへと上り詰めるイメージと重なると共に、のっけからフロアのテンションをピークに持っていける曲になっている。

toku ありがとうございます。

メイリア 「Violet Cry」はオリジナルアルバムとしては2年ぶりの作品になるんですけど、この2年の間にものすごい数のライブやイベントに出させていただいて、そこで揉まれたのが大きかったですね。

──2016年は東南アジアやアメリカなど海外でも積極的にライブを行っていましたね。

メイリア 海外のイベントでは新しい刺激をたくさんもらったし、お客さんのテンションも違うし、あとアフターパーティが当たり前のようにあるんですよね。アニメ系のイベントでも、アフターパーティではアニソンは全然かからなくて、普通にトレンドのクラブミュージックに合わせてコスプレをしたお客さんが踊ってるんです。

──めっちゃ楽しそうですね。

メイリア めっちゃ楽しかったし、そういう環境にポンて置かれて「音楽ってこういう楽しみ方もできるよね」と。つまり、歌詞をよく聴いて共感するみたいな楽しみ方ももちろんあるし、私も大好きなんだけれども、歌詞とか関係なく「ウエーイ!」みたいに盛り上がる楽しみ方もあって、そういうのも私たちのライブでも提示できたらいいなって。

toku 1stアルバムを作ったとき、自分としてはけっこう振れ幅の大きな楽曲群になったと思ってたんですけど、ライブをやっていくうちに、もっと振らないと海外のお客さんはノッてくれないかもしれないと感じ始めたんですよね。だから振れ幅的には前作よりパワーアップしてるし、そうすることで日本のお客さんも今まで以上に楽しんでもらえるのではないかと。この2年間の活動を集約したような、ライブで「こんなときはこういう曲がほしいな」と思ったものを作りました。

2ndアルバム「Violet Cry」 / 2016年12月14日発売 / SME Records
初回生産限定盤A [CD+Blu-ray] / 3980円 / SECL-2087~8
初回限定盤B [CD+DVD] / 3580円 / SECL-2089~90
通常盤 [CD] / 3100円 / SECL-2091
CD収録曲
  1. EXXXTASY
  2. REAL
  3. 約束 -Promise code-
  4. Burning Soul
  5. LIFE
  6. 祈りの歌
  7. Cry
  8. 極楽浄土
  9. NEON NIGHT
  10. BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER-
  11. My little happiness
  12. 変わらないモノ
  13. MIRAI
初回限定盤A Blu-ray収録内容
  • 「Cry」Music Video
  • 「約束 -Promise code-」Music Video
  • 「MIRAI」Music Video

<stellacage vol.III @ TOYOSU PIT 2015.11.7>

  • True High
  • Steps
  • PiNK CAT
初回限定盤B DVD収録内容
  • 「Cry」Music Video
  • 「約束 -Promise code-」Music Video
  • 「MIRAI」Music Video

<特典映像>

  • 「紫苑」リリックビデオ
  • メイキング映像
  • 「MIRAI」ショートフィルム
GARNiDELiA(ガルニデリア)

モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1台と歌で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後、数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。