最終的には自分が好きな音を探す

──今回のシングルは、とにかくメロディを強い3曲にしたとtokuさんはおっしゃいましたが、どうしてそういう思いに至ったんでしょうか？

toku　ライブでアコースティックセットをやったときに、メロディがどれだけ強いかで曲の印象が変わるというのを感じて。秋元康さんが「スーパーのスピーカーで流れていてもメロディが生きている曲こそがすごい曲だ」ってどこかで言っていて、それって重要だなと。それで、メロディが生きるアレンジや、その曲を歌うシンガーの声が生きるべきメロディを作っていきたいなっていうところに原点回帰したというか。

──でもメロディだけにフォーカスしてるわけではないですよね。「約束 -Promise code-」だったらバンドでやってる熱量みたいなものをパッケージしているし、「極楽浄土」だったらダンスミュージックとしての機能性みたいなところを追求したアレンジもしてるし。でもスーパーのスピーカーなんかだとアレンジは届かないから、メロディを強くしなきゃいけない……。そのバランスを取るのは難しいし、どこまでいっても悩みは尽きなさそうですね。

メイリア　尽きないですねえ（笑）。

toku　そのほかにもハイレゾ音源用にはこういう音にしようとか。考える時間はもっと欲しいですね。

──でも、そういうふうに悩むのはGARNiDELiAの曲がいろんな場所で流れるからですよね。フェスの巨大PAシステムでもテレビの小さなスピーカーでも再生される。例えばGARNiDELiAが、ハードコアパンクバンドだったら、小箱のライブハウスを想定したラフなアレンジやダイナミズムを追求するでしょうし。

toku　聴きたいヤツだけ聴けばいいじゃんって発想になるかも。

──となると、GARNiDELiAの音の正解ってなんなんだろうという。

toku　難しいですね、ホントに。何に合わせるのが正解なのか。

メイリア　最近はどこに着地させるのかは悩みますね。どの音を目立たせればリスナーの耳に残るのかとか。聴かれる環境によって印象が変わってきちゃうじゃないですか。そうなってくると、もう自分を信じるしかない（笑）。

──最後はそこですか。

メイリア　そうですね。自分が聴いてて気持ちいい音にする。

toku　もちろん曲を作っているときにCDプレイヤー付きのラジカセ、ハイレゾ対応のコンポ、スピーカーやヘッドフォンなんかで聴き比べますけど、人それぞれ“いい音”の定義は違うからね。だから試行錯誤しながらも、最終的には自分が好きな音を探す方向になりますね。

新しいことに挑戦していきたい欲が止まらない

──さて2016年も後半戦ですが、このあとどうしていきましょうか？

toku　このあとClariSさんとコラボした曲があって、それが9月リリース予定かな？

メイリア　あとは“みんなとじゃなきゃできないこと”を、今年中にもう1発やりたいなと思ってるんですよね。

──要はライブですね。

メイリア　はい（笑）。私たちの中でライブというものがすごく大事なものになってきて、これからみんなとじゃなきゃ作れない場所をもっと増やしていきたいんです。その思いを伝えられる2016年後半戦になればいいなと。「約束 -Promise code-」のリリースに合わせてフリーライブツアーをやりますけど、冬ぐらいにも何かできるといいなあ……みたいな。

──楽しみにしてます。GARNiDELiAとしてシングルをリリースするのはひさしぶりですけど、お二人共忙しいですよね。tokuさんは井口裕香さんのプロデュースをしたり、楠田亜衣奈さんに曲を提供したり……。デビューした年からずっとワーカホリック気味だっておっしゃってますが。

メイリア　2人とも自分たちを追い込みがちなんですよね。忙しいときにもっと忙しくするみたいな。

toku　でも、何かやるたびに研究課題が出てくるし、それを踏まえてやりたいことも増えるし。

メイリア　新しいことに挑戦していきたい欲が止まらなくて。tokuさんも私もずっとこの調子でワーカホリックな状態だと思います（笑）。