ナタリー PowerPush - GARNET CROW
新たな扉を開いた「Nostalgia」
今年3月に行ったツアー「GARNET CROW livescope 2012 ~the tales of memories~」を経て、2012年初アイテムとなるシングル「Nostalgia」をリリースするGARNET CROW。今作は4つ打ちのデジタルサウンドを全面に取り入れたナンバーで、これまでの彼らのパブリックイメージを大胆に裏切る仕上がり。メンバーも心機一転、“リスタート”の思いで制作に臨んだという。
同日発売のDVD、9月30日と10月6日に行われるファンクラブイベントの話も含めて、中村由利(Vo, Songwriting)と岡本仁志(G)の2人に語ってもらった。
取材・文 / 川倉由起子
最もGARNET CROWらしくない曲
──「Nostalgia」は昨年末発売のアルバム「メモリーズ」以来の作品となりますが、本作はどういった経緯で制作されたんですか?
中村由利(Vo, Songwriting) 3月のツアー後は楽曲制作期間に入ってたんですけど、そこでできた数曲の中から次のシングルを決めようという話になって。いろんなカラーの曲があったんですけど、わかりやすく言うと“最もGARNET CROWらしくない曲”を選びました。
──それは、あえての変化球ですか?
中村 はい。今回はイントロからシンセが入ってたり、サビに4つ打ちのクラブミュージックっぽい雰囲気も混ざってるんですが、とにかくファンの人がアッと驚くようなものを出したかったんです。久々のシングルというのもありますし、3月のライブまでは割と「メモリーズ」を引きずっていたので一旦リセットというか。自分たちの中でも、リスタートという感じがありますね。
──確かにイントロを聴いただけでは、GARNET CROWの曲と想像しにくいかも……。
中村 まさにそれが狙いなので。いつものGARNET CROWらしい曲だねって思われるより、「なんでこんな曲を持ってきたの!?」っていう驚きを持ってもらえるとうれしいです。
岡本仁志(G) ちなみにそれはみんなで話し合って決めたわけじゃなく、自然に自分たちが新鮮に感じられる方向へ進んでいった結果というか。リスタートという思いは4人が共有してた気がしますね。
──少し話は戻りますが、ファンをアッと言わせたかったというところからどうしてデジタルなナンバーを選んだのですか?
中村 自分たちらしさを全面に出す曲よりも、新しさやチャレンジ、冒険といったものを目指したかったから。これまでのGARNET CROWのパブリックイメージにないものを聴かせたかったんですよ。実はデジタルな曲自体は「メモリーズ」にも入ってたり、ライブでも少しやってるんですけど、かなり盛り上がるんです。歌ってても楽しいし、会場の盛り上がりも一気に最高潮になる感じがあって。そういう場面を何度か見てきたというのもあって、この曲をシングルにしても皆さんに受け入れていただけるんじゃないかと思ったんです。
──なるほど。
中村 でも実は、2曲目のバラード「風の中のオルゴール」と最後までA面を迷ったんですよ。最終的には、私の中でバラードじゃなくバンドの別の表情を見せたいという思いが強かったので「Nostalgia」がA面になりました。
GARNET CROW流のデジサウンド
──実際の制作中は、どんなことをイメージして作ったんですか?
中村 元々のデモは8ビート寄りのロックポップスというか、ちょっと懐メロっぽい感じで作ったんです。でも、そこを古井(弘人 / Key)さんがグッとデジタルに寄せてみたら、「あ、なんかカッコいい!」って感じになりまして。当初のイメージとは大きく変わったんですけど、こういうサウンドのほうがクールで締まるかなって。
──でも、どこか懐かしさみたいなものもちゃんと残っていますよね。
中村 メロディラインやコード自体は最初と変わっていないので、そこはGARNET CROWらしさが残ったのかなって。サウンドが変わっても、哀愁漂うメロディだったり少し切ない感じは味わってもらえるのかなと思います。
──メロディアスなギターソロはGARNET CROWらしいですね。
中村 そうですね。でもそのへんが自分たちの“らしさ”というか、歌うギターソロ、泣けるギターソロも持ち味のひとつなので、それも損なわずに表現できたのは良かったです。生かしたい従来の良さは生かして、できるところはデジタルに変換してっていう……そのへんがGARNET CROW流のデジサウンドなのかなって思います。
──でもこれだけいろんな要素が入ってると、そのバランスに悩んだんじゃないですか?
中村 いや、自分たちもすごく新鮮だったので一気に集中してできました。飽きずに作れたし、歌もサウンド自体の新鮮さがあったから惰性にならずに歌えた。最初から最後までずっと新鮮な気持ちで歌ったので、それがうまく皆さんにも届いたらいいなと思います。
──ボーカルは、サビ頭からインパクトがありますよね。
中村 今回は抜け感や艶感、ハリ感みたいなものが一番重要だと思っていたので。曲が始まってすぐのサビ頭もそうですけど、サビは全体的にすごく丁寧に、かつ力強く歌いました。
──ギターフレーズはどんなイメージで作ったんですか?
岡本 間奏は従来どおりメロディを重視したギターソロなんですが、それ以外は結構引っ込んでますね。
──ギターとデジタルサウンドとの融合に難しさは感じましたか?
岡本 曲によって違うんですけど、主に調整するのは(音の)明るさなんですよね。でも、もうだいぶわかってきたし、今回も特に苦労したことはなく自然にできたので良かったです。
- ニューシングル「Nostalgia」 / 2012年9月26日発売 / GIZA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1365円 / GZCA-7168
- 通常盤 [CD] / 1260円 / GZCA-4136
CD収録曲
- Nostalgia
- 風の中のオルゴール
- Happy swallow(通常盤のみ収録)
- Nostalgia -instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- 「Nostalgia」ビデオクリップ
DISC 1収録内容
- Misty Mystery
- Rhythm
- 創世記I
- Naked Story
- メモリーズ
- 夜深けの流星達
- Go For It
- 英雄
- 静寂の concerto
- 涙のイエスタデー
- 君 連れ去る時の訪れを
- 海鳴り
- nonsense
- ロンリーナイト
- wish★
- 廻り道
- live
- Fall in Life ~Hallelujah~
- Smiley Nation
- JUDY
- 今宵エデンの片隅で
- スパイラル
DISC 2収録内容
- 一緒に暮らそう
(「GARNET CROW Special Countdown Live 2011-2012」より) - Smiley Nation
(「GARNET CROW Special Countdown Live 2011-2012」より) - ロンリーナイト
(「GARNET CROW Special Countdown Live 2011-2012」より)
GARNET CROW(がーねっとくろう)
中村由利(Vo, Songwriting)、AZUKI 七(Lyrics, Key)、古井弘人(Arrange, Key)、岡本仁志(G)からなる音楽クリエイター集団。全楽曲の作曲を中村が、作詞をAZUKI 七が手がけている。2000年3月にシングル「Mysterious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」の2タイトル同時発売でデビュー。デビュー直後は制作およびリリースのみに専念していたが、2002年10月からはライブ活動を開始する。その後も順調にリリースを重ね、2010年にはデビュー10周年を記念してベストアルバム「THE BEST History of GARNET CROW at the crest...」を発表。2012年2月にはカップリングベストアルバム「GOODBYE LONELY ~Bside collection~」を発売し、9月にニューシングル「Nostalgia」とライブDVD「GARNET CROW livescope 2012 ~the tales of memories~」を同時リリース。