ナタリー PowerPush - GARNET CROW
話題の人気アニメOPテーマを語る
日々、精力的に制作活動に没頭しているというGARNET CROWから、夏の終わりをクールに飾る33枚目のニューシングル「Misty Mystery」が到着。
アニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとしてオンエア中の本作は、デジタルサウンドを駆使したミステリアスで力強いダンスロックナンバーに仕上がっている。随所にGARNET CROWらしいフックを散りばめながらも、鮮烈にハジける新たなサウンドスケープを感じとることができることだろう。
制作にまつわるエピソードをボーカル・中村由利と、ギター・岡本仁志の2人に訊いた。
取材・文 / もりひでゆき
中村の声の存在感が自由な振り幅を与えてくれる
──前作からわずか2カ月でのリリースですね。
中村由利 早いですね(笑)。今はいろんなバリエーションの曲にどんどんチャレンジして作品として残していきたいモードになってきていて。この曲はそういう空気の中で書きました。
──「Misty Mystery」はデジタルサウンドが前面にグイッと出ている曲。「おお!」という驚きがありました。
中村 はい。そこを意識的に狙って作った感じです。1回目のアレンジが上がってきたときはね、もっとミディアムテンポのメロウな感じになってたんですよ。まあそれでも別におかしくはなかったんですけど、今回はどうしても低音の強いデジタルロックが歌いたいっていうビジョンがあったので、その方向でアレンジを変えてもらったんですよね。
──アレンジ担当の古井弘人さんに投げ返したと。
中村 そうそう。投げ返して(笑)。そしたら古井さんのほうもエンジンがかかったみたいで、私のイメージよりももっと振り切った、この形ができあがってきたんです。
──最終的には想像以上の球が返ってきたわけですね。
中村 イントロの走り出しの部分とか低音の感じとか、すごく勢いと強さが前面に出たクールな音になったので、これは良かったなあと思って。
──うん。ものすごくカッコいい仕上がりだと思います。
中村 イントロだけ聴くと誰の曲かわからない感じですけどね(笑)。
岡本仁志 最初に聴いたとき、「これ誰の曲?」「CD間違えたんじゃない?」ぐらい衝撃的でしたね。でも歌が入ってくると「あ、GARNET CROWだな」って思えるというか。きっとファンの方も僕と一緒のリアクションになるんじゃないかな。すごく、いい意味で期待を裏切る曲ができたと思います。
──確かに中村さんの歌が入ると一気にGARNET CROWらしくなるというのは納得ですね。だからこそサウンドで思い切り遊べるという部分もあるのでは?
岡本 そうなんですよ。自由な振り幅を与えてくれるのが、中村の声の存在感なんですよね。サウンドでどれだけGARNET CROWから離れたことをやってみても、声が入ればシュッとGARNET CROWになる。すごいですよね、声の力は。
──中村さんはその辺りどう感じてます?
中村 自分ではあんまりね、声とか歌に関しての意識はないんですよね。それよりも、例えば今回の曲で言うと、韻を踏んだ歌詞の面白みとか、幻想的なイメージのあるキーワードとか、そういう部分で私はGARNET CROWらしさを感じるんです。曲は強い印象のデジタルロックですけど、よく聴くとガットギターを使ってたりとかね、そういうちょっと柔らかいアンニュイな部分もあるっていうところで、自分たちらしさが滲み出てるのかなって。そこがGARNET CROWのひねくれてるところだったりもするし。
岡本 確かにこういうデジタルデジタルした音のときには、アコースティックギターとかガットギターとかを割と使いますね。逆にこの手の曲では決してエレキでキュンキュンやらないっていう。そういうところもGARNET CROWっぽくはありますね。
中村 そういう音色が入ることで美しくなる感じがあるんですよね。普通のデジタルロックなダンスナンバーっていうだけじゃない、そこにプラスアルファで美しさとか妖艶さとかっていう要素が入ってくる。違うグループだったらプログレになりそうな要素でもあるけど(笑)。
ダンスができないのが残念だわ
──今回のボーカル録りにはどんな気持ちで臨みました?
中村 引きが強いサウンドなので、やっぱりそれに負けない強さを声でも表現できるようにしましたね。ずっとテンションをぴんと張ってないといけないので、その辺は大変だったというか。サビもね、結構たたみかける感じでずっと続いていくんで、ちょっとしんどかったです。とは言え、この手の楽曲は珍しいのですごく新鮮に楽しんで歌えましたよ。ダンスができないのが残念だわ、と思いつつ。あははは(笑)。
──サウンド的にはダンスが似合いそうですもんね。そこへのトライは?
中村 いやねえ、踊りばっかりは(笑)。理想はヘッドセットして踊るっていうのが似合うとは思うんですけど。一応、歌入れのときにはそういう姿を思い浮かべました(笑)。
岡本 今回は打ち込み主体のアレンジなので、ダンスにトライしてくれたらそれを眺める余裕はありますよ、ほかのメンバーはね(笑)。
中村 あはははは(笑)。
──楽器チームにも踊ってほしいところですが。
岡本 ええ? 楽器陣はムリっすよ! 絶対ムリっすね。
中村 ステップ踏むのも結構間違ってるもんね。
岡本 ……ああ。
中村 ボックスステップも怪しいぐらい。右からって言ってるのに左から踏んで思いっきりズレてるもんね。自分も含め、みんなそのレベルなんで(笑)。
岡本 まあでも踊らないにせよ、ライブでやるとどんな感じになるのかが楽しみですね、この曲は。
CD収録曲
- Misty Mystery
- live
- Misty Mystery -Instrumental-
DVD収録内容
- Misty Mystery -Music Clip
CD収録曲
- Misty Mystery
- live
- I can't take...
- Misty Mystery -Instrumental-
GARNET CROW(がーねっとくろう)
中村由利(Vo, Songwriting)、AZUKI 七(Lyrics, Key)、古井弘人(Arrange, Key)、岡本仁志(G)からなる音楽クリエイター集団。2000年3月にシングル「Mysterious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」の2タイトル同時発売でデビュー。全楽曲の作曲を中村が、作詞をAZUKI 七が手がけており、ファンタジックな作風とダークな色合いを持つサウンドスケープで、独特の世界観を確立している。デビュー直後は制作およびリリースのみに専念していたが、2002年10月に1stツアーを行い、その後活発なライブ活動を開始。2010年にはデビュー 10周年を迎え、コンプリートベストアルバム「THE BEST History of GARNET CROW at the crest...」、シングル「Over Drive」を発表。さらに12月に、バンドの新しい一面を提示する最新アルバム「parallel universe」を発売した。2011年に入ってからも精力的なリリースが続き、6月にシングル「Smiley Nation」とDVD「GARNET CROW livescope 2009 ~夜明けのSoul~」「GARNET CROW livescope 2010+ ~welcome to the parallel universe!~」、8月にシングル「Misty Mystery」を発表。