ナタリー PowerPush - GARNET CROW
みんなを笑顔にするナンバー「Smiley Nation」完成
PVでは結構素に近い感じが出てると思う
──そんな明るいオーラに包まれた「Smiley Nation」ですが、実はGARNET CROWらしいテイストも随所に盛り込まれていますよね。その辺のバランスがすごく絶妙で面白かったです。
そうなんですよね。曲調はGARNET CROWとしては珍しいタイプのアップテンポではあるんですけど、結構転調をしていたりとか、メロディが跳ねていたりとか、根底には今までのGARNET CROWっぽさがいろいろ入っていると思います。ちょっとひねくれてるというか。だから、メンバーの間でも「シングルになったから今後のライブでやらざるを得ないよね?」「しんどいよね、どうする?」って相談を今してるんですけど(笑)。
──しんどいっていうのは?
テクニカルな部分で、コードがすごくめまぐるしく変わるし、サビでは1音1音にコードがついていたりもするので、演奏する人はすごく大変なんですよ。実際、レコーディングでも大変だったみたいだから、演奏陣は。でも、もちろんライブでやらないわけにはいかないので、ちょっと腹くくってる感じはありますね(笑)。
──曲が生まれた発端を考えれば、ライブでやってこそですからね。
そうなんですよね。この曲は1人でも多くの人に聴いてもらってこそ成立すると思うので、笑顔の皆さんと一緒に歌ってみたいなって思いますね、うん。ただ、歌うのもちょっと難しい曲なので、全部歌うのがムリだったらタイトルの部分だけでも一緒に歌ってほしいです(笑)。
──今回はジャケット写真でも、リスナーから募った写真を散りばめて構成したPVでも、メンバーの皆さんが笑顔を見せてくれていますね。
はい。笑わせていただきました(笑)。こういうさわやかなイメージの中で笑うのは、GARNET CROWにとって初めてのことなので、最初はみんな「どうしよう!」っていう感じでしたね(笑)。でもだんだん慣れてくると笑かす人が出てきたりして。PV撮影も和気あいあいとして楽しかったですよ。
──個人的にはキーボードの古井さんの笑顔がかなり貴重だなーと思ってPVを観ていたんですけど(笑)。
うん、貴重だと思いますよ(笑)。ライブなんかだとけっこうアグレッシブに動くほうですけど、普段は寡黙なイメージなので。いい味出してますよね。現場では一番ハジけてましたし(笑)。そういう意味では、このPVでは結構素に近い感じが出てると思うんですよ。いつもはみんなで笑ってしゃべったりしてるんで、そのままの感じが出せたかなって思います。
「Smiley Nation」とのギャップで楽しんでほしい「八月の夜」
──そしてカップリングには「八月の夜」という曲が収録されています。こちらは、いわゆる今までのGARNET CROWらしいミディアムテンポのナンバーですね。
こっちを聴くと安心されるファンの方も多いんじゃないかなって思いますね。いつもどおりのGARNET CROWサウンドなので。やっぱりこういう切なさとかはかなさとか憂いを持ったミディアムチューンも好きなものだから、ずっと崩さずやっていきたいことではあるんですよ。同時に新しいチャレンジもどんどん取り入れていきたいなとも思うし。
──「Smiley Nation」とのギャップで、シングルとしてすごく楽しめる内容にもなっていますよね。
「Smiley Nation」がかなりハジけた曲なので、その対照としてグッと落としたものがあると、より心に染みるかなと思って。イメージとしては、昼間に聴くのが「Smiley~」で、カップリングは夜。1日の終わりのリラックスしたときに、こういう淡々とグルーヴが続いていく曲を聴いたら泣けるんじゃないかなって。そういう対比で楽しんでもらえたらうれしいですね。
DVDに収められたライブは対照的、でもどっちもGARNET CROW
──シングルと同日に、ライブDVD 2作品もリリースされます。「GARNET CROW livescope 2009 ~夜明けのSoul~」と「GARNET CROW livescope 2010+ ~welcome to the parallel universe!~」をそれぞれ収録した内容で。
2つのライブはホントにステージングが全然違うので、比較して観てもらうと面白いと思いますよ。2009年のほうは非常にソリッドで楽曲を聴かせるもので、色で言うとブラックな感じ。2010年のほうはファンタジックで、クリスマスを意識したコンセプチュアルな世界観になっているので、キラキラなホワイトがイメージカラーになっています。同じ人たちがやってるとは思えないぐらい演出が違うんですけど(笑)、どっちもGARNET CROWなので両方楽しんでいただければ。
──それぞれのライブを今、振り返ってみていかがですか?
2009年は初めてライブハウスを廻ったツアーだったんですね。なのでホールとはまた違って、お客さんが近いし、ライブハウスならではの親密感や一体感をものすごく感じられたんです。DVDでもそういう空気感が出ていると思うので、その辺を楽しんでもらえたらなって思います。
──もう一方のライブは昨年末。記憶もまだ鮮明だと思いますが。
そうですね、うん。みんなずっと笑ってる感じだったのが印象的ですね。2009年から2010年にかけてライブをたくさんやったことで、ライブっていうのはただ音楽を聴かせるのではなく、お客さんと一緒に作り上げていくものなんだなっていう意識に変わったんです。なので、このDVDに入っているライブではそういった感じがすごく出てるんじゃないかなって。「みんなで一緒に楽しみましょう」っていう気持ちがより出てると思います。
GARNET CROW(がーねっとくろう)
中村由利(Vo, Songwriting)、AZUKI 七(Lyrics, Key)、古井弘人(Arrange, Key)、岡本仁志(G)からなる音楽クリエイター集団。2000年3月にシングル「Mysterious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」の2タイトル同時発売でデビュー。全楽曲の作曲を中村が、作詞をAZUKI 七が手がけており、ファンタジックな作風とダークな色合いを持つサウンドスケープで、独特の世界観を確立している。デビュー直後は制作およびリリースのみに専念していたが、2002年10月に1stツアーを行い、その後活発なライブ活動を開始。2010年にはデビュー10周年を迎え、コンプリートベストアルバム「THE BEST History of GARNET CROW at the crest...」、シングル「Over Drive」を発表。さらに12月に、バンドの新しい一面を提示する最新アルバム「parallel universe」をリリース。