ナタリー PowerPush - GALNERYUS

10周年イヤーの総括と11年目の布石

音楽の素晴らしさを今度は視覚的にも伝えていきたい

──では今回のライブ作品にも収録された昨年10月の渋谷公会堂ライブの話題に移りたいと思います。改めて映像で観ましたが、3時間におよぶ壮絶なライブでしたね。

Syu(G)

Syu そうですね。練りに練られて考え込まれた演出の、けっこう計算尽くのライブと言いますか。曲によっての立ち位置とかMCのタイミングとか、そこまで考えてショーアップしたライブは初めてだったので、いい経験にもなりましたし。GALNERYUSというバンドはビジュアルで売ってるバンドではなく……まあ初期の頃は鎧を着たりしてましたけど(笑)、今は音楽で勝負するバンドであって、その音楽の素晴らしさを今度は視覚的にも伝えていきたい。渋公でやったことはそのほんの1つにすぎなくて、映画のいいシーンに使われているサウンドトラックみたいな、目をつぶって聴いたら風景が浮かぶ音楽を追求していきたいんです。渋公のライブではオーケストラを使ったりCO2みたいな特効を使ったり、そういうものを導入できたのはよかったですね。

──今おっしゃったように、ライブハウスでやるライブとまた違った、計算されたショーとして進行していて。観ていて3時間あっという間でしたね。

Syu あんまりメンバーが動かなくても、ライブで感動させることはできるんだなって。今までのGALNERYUSのライブっていうのは、僕らが一生懸命ステージ上を動き回って「いいだろ? 超気持ちいいよね!」って言ってるようなライブだったけど、渋公を経てからライブに対する考え方がちょっと変わってきたんです。もちろん動きはするんですけど自分たち以外の仕掛けをたくさん用意して、テーマパーク的なステージにしたいって方向にシフトチェンジしつつあるんです。なのでこれからのライブはどんどんショーアップされたものが多くなっていくんじゃないかと思ってます。

──メジャーデビュー10周年イヤーの締めくくりとなる大きなライブで、今後の指針になるようなものが見えてきた?

Syu はい。特にストリングスを使えたというのはすごく大きなことで、感動的な一幕になったと思うんです。ステージ後方から弦楽器隊が出てくるだけで「うわあーっ」って感動的な気持ちになりますから(笑)。どちらかというとミュージカルに近い感覚ですよね、僕的には。そういう、感動して涙がボロボロとこぼれ落ちそうになる感じのことはずっとやりたかったんで、すごくいいですね。

──じゃあこのライブが決まった時点で、ストリングスは導入しようと考えてたんですか?

Syu そうです。VAPさんからのリクエストとステージスタッフの行動力あって実現したんですけど、「今回のライブ、ストリングスを入れられるの? いいの?」っていうところから始まってますから。この映像はぜひBlu-rayで観てほしいですね!

小野 あははは(笑)。

Syu ホントにね、VHS世代の人にはわかってもらえると思うんですけど、VHSを標準で録画するのと3倍で録画するのとの差ぐらいありますからね、Blu-rayとDVDは。DVDももちろんキレイな映像なんですけど、Blu-rayの映像って実際に目の前で演奏してるような感覚じゃないですか。

YUHKI(Key)

小野 DVDでも十分キレイだと思ってたんだけど、Blu-rayの映像に慣れちゃうとDVDの映像はぼやけてるように見えて気持ち悪いんだよね。ハイビジョンを初めて観たときもそうでしたよね、生々しい絵で。

──Blu-rayのキレイな映像を観てしまったあとの慣れって怖いですよね。

Syu 本当にね。Blu-rayが普及して、次はどんなメディアになるんでしょうね。

小野 実際に家まで行って演奏しますか(笑)。

Syu あはははは(笑)。

「ホールでGALNERYUSが観られる」という熱

──今作はBlu-rayのほかにも、ライブCDとDVDが同梱された仕様も用意されています。

Syu Blu-rayはまだ完全に家庭に普及しているとは言い切れないし、DVDならパソコンでも観られるくらいに普及してると思うから。それに音だけで楽しみたいという人のためにCDがありつつ、家庭で観やすいDVDと、Blu-rayプレイヤーを持ってる人はぜひ高画質のBlu-rayでという、いろんな選択肢を用意したかったんです。

──しかもライブCDは、映像版とは音処理が異なるんですよね?

Syu 映像版は絵ありきの音作りをしていて、CDは音だけに集中できるようマスタリング処理で音像を少し変えてます。

──なるほど。ちなみに皆さんはライブアルバムというものに対してこだわりはありますか?

Syu ライブアルバムは好きですね。なるだけそのときの熱さを封じ込めることができれば、すごくいい作品になると思います。でもめちゃくちゃいいライブをしたときに限って、録音してないんですよね(笑)。

Jun-ichi(Dr)

小野 そうなんですよねえ(笑)。

Syu 去年7月の新宿BLAZEのライブもね、激アツの素晴らしいライブだったんですよ。あのライブもフルで録音できてたらよかったなと思うんですけどね。渋谷公会堂のライブはあれだけハッキリ、クッキリと歴史に残すことができたんで、すごくうれしいというかありがたいことですよね。

──MCでも皆さん、かなり熱い言葉を残してましたよね。Syuさんも「1つ大きな夢が叶った」と言ってましたし。

Syu あー、そうだそうだ。僕ね、あれを言い始めたら涙腺が緩んできて(笑)。「ダメだ、これ以上しゃべれない!」ってなってしまったんです。

小野 うれしいですよね、あの感じはやっぱり。あくまで自分の感覚ですけども、あの日は「ホールでGALNERYUSが観られる」というお客さんの熱が伝わってきて、最初の歓声を聞いたときにはちょっと熱いものを感じましたね。

ツアー情報
"WELCOME TO OUR EVOLVING IRONHEART!" TOUR 2014
  • 2014年4月5日(土)沖縄県 7th Heaven Koza
  • 2014年4月12日(土)北海道 cube garden
  • 2014年4月19日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2014年4月20日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2014年4月27日(日)東京都 Zepp Tokyo
GALNERYUS(がるねりうす)

Syu(G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。現在のメンバーはSyu、小野“SHO”正利(Vo)、TAKA(B)、YUHKI(Key)、Jun-ichi(Dr)。2003年に1stアルバム「THE FLAG OF PUNISHMENT」でメジャーデビューを果たし、パワフルなヘヴィメタルサウンドと新人離れした演奏力で注目を集める。2009年に小野、TAKAが加入し現編成となり、翌2010年に6thアルバム「RESURRECTION」を発表。同アルバムの収録曲「A FAR-OFF DISTANCE」がテレビアニメ「RAINBOW -二舎六房の七人-」のエンディングテーマに起用され、幅広い層にアピールすることに成功する。2013年にはメジャーデビュー10周年を迎え、5月にセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」、9月にリメイクアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 2 : REFORMATION SIDE」をリリース。同年10月には渋谷公会堂でのワンマンライブを成功させた。このライブの模様を収めたライブ映像作品「RELIVING THE IRONHEARTED FLAG」が2014年3月に発売される。