ナタリー PowerPush - Galileo Galilei
"10代バンド"としての覚醒を示すニューシングルの全貌を語る
今年2月のメジャーデビュー以来、10代ならではのみずみずしい感性を生かしたサウンドで着実に人気を集めてきたGalileo Galilei。彼らの2ndシングル「四ツ葉さがしの旅人」が、9月22日にリリースされる。
2007年に北海道稚内市で結成し、翌年出場した10代限定フェス「閃光ライオット2008」でグランプリを受賞。結成からわずか3年で瞬く間に人気バンドとして名を上げた彼らだが、ここに至るまでの道のりやバンド内の人間関係は決して順風満帆ではなかったようだ。今回のシングルには、そんな彼らの思いと壁を打ち破った勢いが詰め込まれている。「復活の作品」と言う新作について、メンバー4人に話を訊いた。
取材・文/高橋美穂
ここまでポップなことをできるんだって知ってほしかった
──「四ツ葉さがしの旅人」はいつ頃できた曲なんですか?
尾崎雄貴(Vo, G) これは今年の8月にできた曲で。CDショップで予約が始まるぐらいにやっと作り始めたぐらいなんです。曲はいっぱいあって、どれもいいものなんですけど、何か違うなと思って。なので、話し合いを重ねて、もう1曲作ってみることになったんです。作るのはそんなに時間がかからなかったんですけど、アレンジにわりと時間がかかって。でも、1週間で曲作りからレコーディングまでできたのはいい経験になりました。
──ストックの中から曲を出す時期ではない、と思ったんでしょうか?
雄貴 そうですね。ストックの曲はシングルになり得るような曲も多いんですけど、もっとあとで出すべきじゃないかって話になったんです。どんどん驚いてもらえるような作品をリリースしていきたいので、出す順番が大事だと思ってて。あとは、このタイミングで俺がすごく好きなスウェディッシュポップの要素を取り入れた曲を出しておきたくて。ここまでポップなことをできるんだって知ってほしかったんです。
──スウェディッシュポップというと、THE CARDIGANSとか?
雄貴 そうですね。あとはCLOUDBERRY JAMとか、THE WANNADIESとか。
──みなさんが育った北海道とスウェーデンの空気って、近いものがありますよね。
雄貴 そうですね。スウェーデンやデンマークのバンドは、例えばPVなんかを観ると出てくる景色や色合いが北海道に似てるんで、親近感も覚えるし、俺らにとって自然で、一番心に響くんです。
ドラムをパーツごとに録って理想の音に
──ところで先程アレンジに時間がかかったと言ってましたけど、なぜそうなっちゃったんでしょう。
雄貴 今回は面白いレコーディング方法を試したんです。主にドラムについてなんですが、普通はドラムってフルセット揃った形で録るんですけど、今回はパーツごとに録っていったんですよ。セットで叩くと、それぞれの楽器が反響しちゃって、マイクにその音が入るから、シンバルの音やハイハットの音だけを上げたいのに、一緒にバスドラの音も上がっちゃったりするんですよ。そのごちゃごちゃしちゃう感じも“バンド感”だったりもするんですけど。
──なるほど。
雄貴 俺がリッチー・コスティっていうプロデューサー兼エンジニアの録る音が好きなんです。ドラムの音が特徴的なんですよね。あの音はどうやって録ったのか気になって、レコーディング映像を探して観てみたら、ドラムを別録りしてたんですよ。なので、同じようにドラムをパーツごとに録ればもしかしたらあの音になるんじゃないかって予想して。でも、レコーディングに4倍くらい時間がかかるんですよ。だから時間がない中で、かなりプレッシャーはあったんですけど、やっていくうちに、どんどん自分たちのイメージする音になっていって、これだって思えました。
──いろいろ手探りしながらサウンドを煮詰めていったと。
雄貴 はい。あとはギターも、リフはいつも岩井くんに任せるんですけど、今回は俺が弾くコードバッキングを岩井くんに作ってもらって、リードを俺が作るっていうふうに、役割を交換してみました。それも気まぐれからだったんですけど(笑)。短い期間の中で柔軟なレコーディングができたと思ってます。今回ほんと分業でやったんですよ。俺は歌詞とメロディを考えて、アレンジはほぼ3人に丸投げして。スウェディッシュポップがバンド内で一番好きなのは俺なんで、ちょっと押し付けたっていうか(苦笑)、曲を聴かせてお願いして。ときどき3人の様子を見に行ったりしてたんですけど、どんどんいいものができあがってて、ちょっと悔しくなったりして(笑)。それぞれができることを精一杯やったレコーディングだったんで、バンドとしてぐっと進化した感じはありますね。
Galileo Galilei(がりれおがりれい)
2007年に北海道・稚内で結成された4ピースロックバンド。メンバーは尾崎雄貴(Vo,G)、岩井郁人(G)、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)。もともと音楽や映像が大好きだった雄貴&和樹の尾崎兄弟が、自宅のPCでさまざまなライブ動画を観たことをきっかけに自宅にあった楽器に触れるようになる。この"遊び"が母体となり、佐孝とともにGalileo Galileiを結成。バンドオーディションに送ったデモテープがきっかけとなり、5,000組超の参加者の中からファイナルステージまで昇りつめグランプリを獲得する。2009年11月に岩井が加入し現在の編成に。同年末に屋内フェス「COUNTDOWN JAPAN 09/10」に初出演を果たし、翌2010年1月にはデビュー前にもかかわらず「ハマナスの花」がau「LISMO!」CMソングに起用される。この曲を含むミニアルバム「ハマナスの花」で、同年2月にメジャーデビュー。春には高校卒業を機に、活動の拠点を稚内から東京に移した。3月に東京と大阪で開催した初のワンマンライブのチケットは一般発売直後にソールドアウト。人気・実力ともに急上昇中のバンドだ。