レコーディングが楽しすぎた
──では収録曲について聞きましょう。5カ月連続リリース曲のうち、「アールビーワイ」「Do Do tz Dotz」「グッデイ・バッデイ」のお話は前回のインタビュー(参照:学芸大青春ついに素顔解禁、“アーティスト”としてまっすぐに音楽と向き合う覚悟をした5人の思いとは)で伺っているので、まずは残りの2曲について。O-liveさんが手がけた「ふたり」はR&Bテイストの楽曲ですね。
陽介 歌詞の内容が友達以上恋人未満の関係を描いたものだったので、曖昧な2人の関係を表現するために、あまりハキハキと歌いすぎないように意識しました。あとはサウンドにしっかり乗って、グルーヴィにリズムを取りながら歌うことを大事にしたかな。
将綺 蓮からは「黒人アーティストのようなグルーヴで歌ってほしい」というオーダーがあって。それがなかなか難しくて、かなりもがきましたね。結局、メンバーのことを考えながら楽しく歌ったら、「それいいじゃん」と言われました。オーダーに応えられなかったという意味では不本意ですけど、でもいい仕上がりになったと思います。
優輝 レコーディングが楽しすぎたので、勝手に合いの手をいろいろ入れていたんですよ。そうしたら、「それめっちゃいいから、どんどんやってみて」と言われて。最終的に僕のアドリブがたくさん入ったし、冒頭にはもともと入っていなかったラップまで加わることになりました(笑)。この曲のおかげでアドリブの引き出しはかなり増えましたね。
──「ひまわり」は歌詞も曲も、蓮さんとO-liveさんとの共作です。“戦争”をテーマにした内容に胸打たれました。
蓮 僕は広島出身なので、子供の頃から平和について学ぶ機会が多かったんです。だから去年起こったロシアのウクライナ侵攻は自分なりに思うことがいろいろあって。そういったテーマを扱うことへの葛藤もあったんですけど、芸術というものは自由であるべきだと思ったので、思い切って曲にしてみました。音楽だからこそ言いにくいことが言える部分もありますしね。歌詞の世界観に合わせて、ベートーヴェンの「悲愴」をサンプリングしているのもこだわりです。
陽介 正直に言えば、蓮のように戦争に対してリアルなイメージを思い浮かべることは僕にとって難しかったんです。ただ、去年の春にツアーで広島に行ったとき、蓮に誘われて平和記念公園に行ったんです。そのときに、今の自分たちが平和に生きることができているのは、過去につらい思いをした人たちがいたからなんだということを知ることができて。その経験があったから、「ひまわり」を歌うときに感情をしっかり込めることができたと思います。
勇仁 レコーディングではとにかく魂を込めて歌うことだけを大事にしていましたね。蓮の強い意志が注がれた曲だと思うので、ここでは自分なりの表現を意識するというよりは、蓮からもらったイメージを大切にしながら歌いました。僕らの歌を聴いて、少しでも何かを感じてもらえるきっかけになればいいなと思います。
優輝の神輿、急なロック、ブイブイの挑発
──ミニアルバムには3つの新曲も収録されています。リード曲になっているのは青春を感じさせるラブソング「Ylang Ylang」で、優輝さんが作詞に参加されていますね。
優輝 これは学生の男の子が恋に落ちる瞬間を描いた楽曲になっています。「ここではまだ自分の恋心に気付いてないかな?」「この瞬間に恋に落ちたんだろうな」みたいなストーリーを自分なりに考えてリリックに落とし込んでいきました。
陽介 優輝のラップがメインになってくる曲なので、いかに優輝のラップを目立たせ、彩れるかを意識して歌いましたね。いいサポートができたんじゃないかな。
将綺 この曲は彼(優輝)が神輿ですから。
勇仁 みんなで担ぎました(笑)。
優輝 担がれるのは最初で最後かもしれないですね(笑)。
──蓮さんはどんな気持ちで歌いました?
蓮 僕はこの歌詞みたいな青春時代を過ごしたことがないんですよ(笑)。だから必死に妄想して、この主人公になりきって歌いましたね。
陽介 かなり甘酸っぱい内容だからね。僕も主人公とはけっこう真逆なタイプなんですよ。もどかしい感じになるのではなく、男子も女子も関係なく「イエーイ!」って絡めちゃう人間なので(笑)。僕も自分なりに想像しながら歌ったかな。
──「すぐいくから…」は、1曲の中で展開が大きく変わるのが印象的ですよね。ピアノと歌のみで静かに始まったかと思ったら、急に激しいビートとギターが鳴り始めて。作詞は蓮さん、作曲は蓮さんとURUさんの共作になっています。
蓮 この曲は「ひまわり」とセットで聴いてほしいと思っていて。悲しさや怒りを表現した「ひまわり」を経て、「それでも僕はがんばるから」という思いを歌っているのが「すぐいくから…」なんです。もともとはピアノだけのバラードとして作っていたんですけど、レコーディング直前になって急にロックにしたくなって(笑)。ギターとベースも自分で弾くという新たな挑戦もしています。
勇仁 このレコーディングは楽しかったな。僕は昔バンドをやっていたし、ロックが大好きなので、こういうタイプの曲をずっとやりたかったんですよね。最初の静かな蓮の歌を受け継ぎつつ、サウンドとともにガラッと世界観を変えることをイメージして歌いました。歌詞の内容的には悲しさを想像する部分もあったけど、でも僕はしっかり前を向き、空を見上げるような強い歌を心がけました。サウンドに負けない叫びを乗せた感じですね。
将綺 ロックだなー!
──この曲がライブでどう披露されるのかも楽しみですよね。どんなダンスがつけられるのか。
優輝 そうですね。「Ylang Ylang」で神輿として担がれた僕は、この曲では落とされて歌ってないんですけど(笑)。
将綺 いやいや、そういうことじゃないから(笑)。
優輝 冗談です(笑)。この曲は4人で歌って、僕はダンスでしっかり見せる曲にしたいという狙いがあったんです。頭のビートがない部分のダンスは果たしてジャズテイストになるのか、それともコンテンポラリーテイストになるのか。期待していてください。
──そしてミニアルバムのラストに収録されているのは「煽句- Trash Talk -」です。作詞は蓮さんとShawさん、作曲は蓮さんとURUさんの名前がクレジットされています。
蓮 もともとはバスケの試合中にトラッシュトークをするという内容の歌詞を書くつもりだったんですけど、プロデューサーと話している中で、ぱっと見、戦国武将が言い合っているような雰囲気にしたら面白いんじゃないかというアイデアが出て。ちょっと面白い歌詞の書き方ができた気がしています。トラッシュトークっていうのは相手を煽ると同時に、自分自身を鼓舞する意味もあるので、この曲をきっかけに勇気をもらったり、部活の試合前に「がんばるぞ!」みたいな気持ちになってくれたらうれしいですね。
──聴き方によってはジュネスがほかのボーカルグループに対して挑発してるようにも受け取れますよね。
将綺 あーいいですね、それ(笑)。この曲はホント大好きっすね。自分が部活をやってるときに聴きたかった(笑)。ちなみにこの曲では初めて僕がラップパートを担当させていただいてまして。蓮はもちろん、優輝にもレコーディングには立ち会ってもらい、いろいろ技術的なアドバイスをもらいました。初めてにしたらいい感じなんじゃないかと思うんですけど……どうですか?
陽介 よかった! すごくよかったよ!
蓮 レコーディング前に、「出来が悪かったら将綺は外す」ってプロデューサーが言ってたもんね(笑)。
将綺 そうそう。ちょっとハッパかけられたんですよ。外されないでよかった(笑)。
陽介 重低音がブイブイ鳴ってるトラックもめちゃくちゃカッコいいよね。僕はそういう曲がすごく好きなんですけど、自分の声質的にはちょっと心配もあったんです。僕はあまり太い声ではないから、サウンドに負けてしまうんじゃないかって。なのでできる限り声を太くして、サウンドに寄り添えるようにがんばりました。
ジュネスを支えてくれるすべてのファンのための1年に
──学芸大青春の新たなフェーズのスタートを感じさせる本作を引っさげ、春には全11公演のツアーが開催されます。今年の活動にも期待が膨らみますね。
優輝 去年はメンバー全員で「ジュネスらしさとはなんなのか?」を徹底的に考えることができたので、今年はそれをしっかり形として提示していこうと思っています。“ピアノダンス”というテーマを持ち、顔を出して回るツアーは初めてでもあるので、自分たちとしてもすごく楽しみですね。
蓮 ジュネスとしては今までで一番長いツアーになるので、きっと初めて会うことができる人もたくさんいると思います。ジュネスを支えてくれているすべてのファンの方のための1年にするつもりなので、今年もよろしくお願いします。
将綺 「Piano Dance」というミニアルバムができたことで、ライブでの表現の幅は間違いなく今まで以上に広くなるはず。1本のライブの中で物語を作りやすくなる部分もあると思うし。上半期はツアーがメインの活動になると思うので、まずはライブに遊びに来ていただいて、学芸大青春の“ピアノダンス”を存分に楽しんでください!
勇仁 「この人たち音楽をめちゃくちゃ楽しんでるじゃん!」とか「この人たちの音楽っていいな」と思ってもらえるような活動をしっかり見せていける1年にします。元気じゃないと会えなくなっちゃうので、お互いに体調には気を付けましょう。
陽介 そうだね。まずは11公演を乗り切れるように体調管理と体力作りをしなきゃ(笑)。各会場で最高のパフォーマンスをお届けできるように、「煽句 - Trash Talk -」を聴きながら走り込みしまーす!
ツアー情報
学芸大青春 5th LIVE TOUR「ダンス! ダンス!! ダンス!!!」
- 2023年3月11日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2023年3月21日(火・祝)宮城県 Rensa
- 2023年4月1日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2023年4月8日(土)兵庫県 神戸VARIT.
- 2023年4月22日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2023年4月23日(日)大阪府 ESAKA MUSE
- 2023年4月29日(土・祝)福岡県 BEAT STATION
- 2023年5月5日(金・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2023年5月7日(日)東京都 WWW
- 2023年5月28日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2023年6月17日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
プロフィール
学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)
“現実世界とメタバースを行き来する”をコンセプトに活動する、相沢勇仁、内田将綺、仲川蓮、星野陽介、南優輝の5人からなるダンス&ボーカルグループ。キャラクター化された“2次元”と、実在のメンバーによる“3次元”の活動を行っており、2次元のキャラクターデザインはイラストレーターの冨士原良が手がけている。2019年9月に配信シングル「JUNES」で歌手デビュー。2020年1月からTwitterとYouTubeで配信された3Dショートドラマ「漂流兄弟」で主演を務めた。同月に主題歌「JUST」を配信し、9月に1stアルバム「HERE WE ARE !」をリリース。2021年6月に初の全国流通シングル「Hit the City!!」、12月に2ndアルバム「PUMP YOU UP!!」を発表した。2022年8月に5カ月連続新曲リリース企画をスタートさせ、9月に東阪で行った3周年記念ライブで3次元の素顔を解禁した。2023年2月に3rdミニアルバム「Piano Dance」をリリース。
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