学芸大青春インタビュー|顔出しリミッター解除の5人が“ジュネスらしさ”を武器に放つ自信の「Piano Dance」

学芸大青春が3rdミニアルバム「Piano Dance」をリリースした。

現実世界(3次元)での生身の姿と、メタバース(2次元)でのキャラクターの姿を行き来しながら活動している学芸大青春。デビュー以来、3次元の姿においては顔を隠していた彼らだが、昨年9月に大阪・グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)で開催された活動開始3周年記念ライブで素顔を解禁し、グループとして新たな一歩を踏み出した。さらに8月からは“ピアノダンス”という独自の音楽スタイルを提示し、新曲を5カ月連続で配信リリースするというプロジェクトも完遂した。そんな学芸大青春の2023年の幕開けを飾るのが「Piano Dance」だ。5カ月連続でリリースされた5曲に加え、「Ylang Ylang」「すぐいくから…」「煽句 - Trash Talk -」という新曲も収録。バラエティに富んだ楽曲群からは、彼らの新たなアイデンティティとなる“ピアノダンス”が秘める無限の可能性を強く感じとることができるはずだ。

音楽ナタリーでは通算10回目となるメンバー全員インタビューを実施。2022年の充実した活動の振り返りと本作収録曲の制作にまつわるエピソード、そして春からスタートする全国ツアー「ダンス! ダンス!! ダンス!!!」についてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 曽我美芽

首出しで顔バレ

──学芸大青春にとって2022年は大きな変革の1年だったように思います。まずは昨年の活動を振り返って、どんなことを感じますか?

南優輝 本当に新しいことが多い1年でしたね。特に大きな出来事だったのは、素顔を出して活動するようになったことだと思います。顔出しするかどうかを含め、みんなでたくさん議論を交わしました。

星野陽介 何が正解かわからない中、いろいろなことに対してもがき続けた1年でもあったけど、優輝が言ったように、メンバー同士はもちろん、プロデューサーやマネージャーさんも含めて、自分たちの未来に向けてたくさん話ができたのはすごくよかったと思うんですよね。それによって顔出しすることにもなったし、“ピアノダンス”という自分たちなりの音楽性も提示できるようになった。まだ目に見える結果は出ていないとは思うけど、少しずつ自分たちの理想に向けて成長できているんじゃないかなって今は感じていますね。

内田将綺 顔出ししたことで、グループとしてのリミッターが外れたというか、自分たちが解き放たれた感覚はありますね。学芸大青春としての表現が各段に増えた実感もあるし。ファンの方たちは今まで以上に僕らのことを深く感じてもらえるようになったんじゃないかな。

アクロバティックなポーズを決める星野陽介、南優輝、内田将綺(左から)。

アクロバティックなポーズを決める星野陽介、南優輝、内田将綺(左から)。

左から相沢勇仁、仲川蓮。

左から相沢勇仁、仲川蓮。

相沢勇仁 顔出しをしたことで自分の夢が1つ叶ったんですよ。それが街中で声をかけてもらうことだったんですけど。ようやく「俺、芸能の仕事やってるんだな」と実感できるようになりました(笑)。

全員 あははは!

陽介 どんなふうに声かけられたの?

勇仁 「首が長いから勇仁くんかなと思いました」みたいな感じで。あ、首でわかるんだ、みたいな(笑)。

優輝 首でバレるなら顔を隠してても一緒だよね(笑)。

陽介 顔出し関係なくね?(笑)

勇仁 確かにそうなんだけど。顔を出していれば目元とかでより特定されやすくなるんだと思う。

相沢勇仁

相沢勇仁

──ほかの皆さんも顔バレするようになりました?

優輝 日常生活の中ではあんまりないですけど、ツアーとかに行くと、その場所に僕たちがいることがわかっているので、ファンの方にはときどき声をかけていただくことはあります。

陽介 顔バレしすぎて街中を歩けなくなるくらいにまでなるのが夢!

優輝 普通に街中を歩けなくなるのはちょっと嫌かもなあ(笑)。でも、ジュネスをそれくらいまで大きくしたい気持ちは間違いなくありますね。

──先ほど優輝さんから出ましたけど、“ピアノダンス”という学芸大青春独自の音楽ジャンルを打ち出したのも2022年の大きなトピックでしたよね。

優輝 はい。去年は「学芸大青春の音楽ってなんなんだろう?」ということを見つめ直した期間でもあったんですけど、そこでたどり着いた1つのテーマが“ピアノダンス”でした。メンバーの(仲川)蓮は20年ぐらいずっとピアノをやってきているので、それをまずジュネスの武器にしたかったんです。さらに、そんな蓮のピアノの入った曲で俺たちがゴリゴリに踊りまくることで、ほかのボーイズグループとの差別化もできるんじゃないかなと思って。デビュー以来、作家の方に書いていただいた曲を歌うことがほとんどだったんですけど、去年からは蓮が作詞作曲した曲がかなり増えたこともあり、音楽的な面でのジュネスらしさをより打ち出せるようになったと思いますね。

南優輝

南優輝

仲川蓮 自分で作詞作曲をすることはずっとやりたかったことの1つだったので、そこに挑戦する機会をいただけたのはすごくうれしいことでした。去年はいろいろと大変なことも多かったんですけど、僕としてはやりたいことが叶ったので、楽しい1年でもありましたね。

勇仁 メンバーが生み出す音楽をやることがアーティストとして根本的に必要な要素だと僕は思っていたので、今の流れはすごくいいなと思っています。自分たちが伝えたいことをリアルに届けるという意味においても、蓮が曲を作ることは重要になってくると思うし。“ピアノダンス”に対しての思い入れはすごく強いし、1曲ずつ大切に届けていきたい気持ちが強いです。

将綺 自分たちで曲を作り上げたいという気持ちは結成当初からありましたからね。その夢が意外と早く叶ったなという思いが僕個人としてはあります。今後は優輝が振付を手がけるようになったりとか、さらに自分たちから生まれる表現を突き詰めていきたいですね。

陽介 ジュネスとして目指している形に近付いてきてはいるけど、去年3周年記念ライブで客席を埋めることができなかったグランキューブ大阪とLINE CUBE SHIBUYAを満員にしてリベンジしたいとか、実は課題や目標もまだまだたくさんあって。なので、ここからもメンバー5人で力を合わせながら、もっともっと力を蓄えていきたいなと思います。

学芸大青春

学芸大青春

──ちなみに学芸大青春は5人で共同生活を送っていますが、蓮さんが曲作りをする際には自室にこもる感じですか?

 そうですね。あとはけっこう電車に乗ってるときとか、移動中にイメージを膨らませることも多いです。

優輝 曲作りをしてるときはすぐわかりますよ。一切部屋から出てこなくなるので。そういうときは蓮が集中できるようにできるだけ話しかけないようにして。

将綺 心なしか空気がピリッとしてる感じがあるからね。

陽介 まあ僕は平気で蓮の部屋に入りますけど(笑)。

勇仁 おい(笑)。

 あははは。でもこの5人で一緒にいるからこそ生まれるものも確実にあると思うので。大丈夫です(笑)。

優輝 もう第2の家族みたいなもんだからね。

 うん。楽しいことは何倍にもなりますし、しんどいときはみんなと共有することで乗り越えられるので。一緒にいることで気持ちが楽になる部分はすごくありますね。

仲川蓮

仲川蓮

蓮に「ありがとう!」の気持ちでいっぱい

──昨年8月からは“ピアノダンス”をテーマにした楽曲が5カ月連続で配信リリースされましたね。

将綺 なかなか大変でしたね。去年の後半はずーっとレコーディングしてましたから(笑)。「わ、今日もまたレコーディングだよ!」みたいな。でも、ジュネスとしては大きな経験になったと思います。

優輝 そうだね。正直、自分たちで“ピアノダンス”というテーマを決めたけど、最初はどんな楽曲をやることになるのかイメージできていない部分があったんですよ。でも、リリースを重ねていく中で、だんだんイメージも固まっていったというか。いろんな可能性があることに気付いて、ワクワクする気持ちがどんどん高まっていったんですよね。

将綺 毎曲がサプライズでしたね。蓮が作ってくれた曲に関しては、「お、やるやん!」みたいな。蓮のことを初めてすごいと思いました(笑)。

優輝 いやいや、みんないつもすごいと思ってますよ(笑)。

 あははは。僕は“ピアノダンス”というテーマが決まったときに、わりといろんなことができそうだなっていうイメージがすぐに膨らんだんです。偉大な音楽家が作ったクラシックの曲を現代の音楽に重ねたら面白いものになるだろうな、とかいろいろと妄想が膨らんで。それを具体的に形にしていく難しさはありましたけど、制作はずっと楽しかったですね。

陽介 蓮の発想はとにかく斬新なんですよ。僕からしたら、クラシックとJ-POPを結び付けるなんてアイデアはまったく思い浮かばないですからね。どの曲もパフォーマンスしていてすごく楽しいし、聴いてくれる人に対して「学芸大青春は“ピアノダンス”という音楽をやっているんだよ!」と自信を持って言えるようになったこともうれしくて。蓮に対しては「ありがとう!」の気持ちでいっぱいです(笑)。

星野陽介

星野陽介

──そして今回、「Piano Dance」というタイトルを掲げたミニアルバムがリリースされることになりました。収録されているのは5カ月連続でリリースされた楽曲に新たな3曲を加えた全8曲で、本当に多彩な楽曲が詰め込まれています。

 全部にピアノが入っているから、聴き心地的に一貫性がありながらも曲のテイストが違うし、それぞれのストーリーがあるので、ぜひ1曲ずつ噛み締めながら通して聴いてほしいと思います。

将綺 みんなが知っているようなクラシックのメロディをフィーチャーした曲からロックなニュアンスを持った曲、ストレートなポップスで青春を表現した曲まで、本当にいろんな形の“ピアノダンス”が表現できたからね。

優輝 うん。あと個人的な話で言うと、僕は今までソロ曲では作詞をしたことがあったんですけど、このミニアルバムでは全体曲での作詞を初めてやらせてもらって。そういった部分では、自分の成長につながる1枚になったと思います。

将綺 レコーディングもやりがいがあったよね。歌に対して、蓮からのオーダーがめちゃくちゃ細かいんですよ。ときには「ちょっと休憩させて!」って思う瞬間もあったんですけど(笑)。

内田将綺

内田将綺

 あははは。レコーディングの前に、僕の頭の中にある歌のイメージを長文にしてLINEで送っておいたんですよ。僕が伝えたことをみんなしっかりこなしてくれるので、僕としてもすごくやりがいがありました。

優輝 でも、歌い方を押し付けるわけでは全然ないからね。僕たちが提案したものはちゃんと試させてくれるし、こっちのほうがよければ採用してくれたりもするので。すごく柔軟に対応してくれます。

将綺 ただ言いなりになってるだけではダメですからね。自分なりのニュアンスもちゃんと盛り込もうと意識したところはありました。

勇仁 今まで以上にレコーディングに深く関われるようになったことは本当に幸せでした。僕はそもそも歌うこと自体が好きだから、レコーディングは毎回楽しい時間なんです。でも今回は仕事以外の部分まで知ってくれている蓮が、歌を通してメンバー全員と真剣に向き合ってくれたわけですからね。それが本当に幸せ。

将綺 勇仁はいつも「幸せ」って言ってるよな。

勇仁 なんかうれしいんですよ、蓮とやりとりしてると。自分でも気付いていないような歌い方の癖や個性まで指摘してくれるから、「あ、そんなところまで知ってくれてるんだ」ってすごく思う。だからこそ自分たちはよりのびのび歌えるし、客観的に聴いたときによりよい歌になってるっていう。今回の作品を通して、いろんな引き出しを開けてもらった感覚もありました。でもそれはもちろん100%蓮のおかげということではなく、自分たちのがんばりもありますけどね(笑)。

将綺 はい、蓮を持ち上げるタイム終了ー!

 あははは。