選択が正しかったか間違っていたかを決めるのは将来の自分
──MVは映像作家の加藤マニさん、女優の新條由芽さんとのコラボで制作されました。
秋月 実は感覚ピエロにとって、これが一番の挑戦だったんです。と言うのも、今までのMVは全部同じ監督に撮ってもらってたから。監督を変える気はあんまりなかったんですけど、こういう企画なら根本から振り切った挑戦をしてみようと。マニさんは面白い人だなと思っていたんですが、感覚ピエロを撮ったらどうなるのか最初はまったくイメージできなかったんですよね。だから最初は怖かったけど、今回の撮影は僕らとしては大きな経験になったと思います。
滝口 監督だけでなく撮影クルーも全員違うから、メンバー以外はほぼ全員はじめましてだし、全部が新鮮でしたね。
西尾 撮影の進め方とか撮り方も全然違ったしな。
横山 でも、今回のMVはすごくしっくりくる作品になってると思います。マニさん含め関わってくださった皆さんから「この曲を聴いて演出したいものがしっかりあって、それでこの部分にこだわっているんだ」という空気をひしひしと感じたので。
秋月 マニさんはちょっと心配になるぐらいおっとりしてますけど(笑)、発言は明確だし、現場の空気感を捉えるのがすごくうまい人だなって感じました。由芽ちゃんも初めて一緒にやったんですけど、「こうやったほうがよくないですか?」みたいな意見を自分から言ってくれて、自分たちの作品をみんなで作ってくれてるような感覚になってすごくありがたかったです。
──このMVは進路に悩んでいたり、夢を追いながらも何を目指していいのかわからないでいる人を描いていますよね。
秋月 そうですね。もがきながら、迷いながらも、自分がなりたい人に進んでいくという。マニさんとは“選択”という言葉をキーワードにしたいということは共有していたんです。選択の結果をパラレルワールドとして描けたらいいよね、みたいな。
横山 物語を受け取った人が、自分の人生にどう照らし合わせるかっていうところが、このMVのポイントだと思います。これをどう感じ取ってくれるのかは人それぞれだけど、今回のMVが聴き手にとっての挑戦につながってくれたらいいなと思ってます。
──季節的にも、今は多くの人々が人生の選択を迫られている時期ですよね。読者の中にもきっとそういう人がいるかと思いますが、ご自身の経験を基に何かアドバイスはありますか?
横山 2つある選択肢のどちらかを取らなきゃいけない場面って人生に必ずあると思うんです。でも、そのときに自分が選んだことが正しかったか正しくなかったかというのは単なる結果論であって、その選択に意味を与えるのは将来の自分だと思うんですね。例えば僕の場合、バンド活動を選ばずに就職していたら、普通に手当てや退職金があって……まあ、うち(JIJI INC.)もすごくしっかりした会社なんですけど(笑)。
秋月 わはは(笑)。
横山 でも会社員になった僕がもしバンドを続けてる僕を見て「辞めなければよかった」と思ったとしたら、それは選択ミスなわけですよ。逆に「就職したほうが安定してたかも」と思うこともそう。自分の選択をよかったとするか悪かったとするかは、自分の考え方や行動次第だし、何かを選んだら振り返らずにがむしゃらに突っ走ってほしいなと思います。今回の曲で描いているのもそういうことだし。
このバンドの生き様は、挑戦そのもの
──インタビューの最初にも話題が出ましたが、例えばメンバー自ら会社を起こすなど、感覚ピエロは常に“挑戦”を続けているバンドですよね。今も11月に開催する幕張メッセワンマンに向けて 挑戦の真っ最中だと思いますし。
秋月 そうですね。“挑戦”というコンセプトを聞いたときに、僕らが一番ふさわしい企画なんじゃないかと勝手に思ったりしたので(笑)。参加させていただいて本当にありがたいです。
──「過去にこういう挑戦をした結果、今の自分がある」みたいなエピソードは何かありますか?
横山 僕の場合は曲作りです。「どうやったらいろんな人に振り向いてもらえるのか」みたいなことを考えて、みんなのリアクションを確かめながらいろんな曲を作るのは、1回1回が挑戦です。この挑戦を積み重ねながら11月の幕張、そしてその先まで行けたらいいなと思ってます。
西尾 “続けること”ですかね。僕もバンドと就職のどっちを取るか迷ったんです。通ってた短大で、就職しないのは僕1人だけだったんですよ。いい条件の就職先もいっぱいあったから会社員という未来も描けてたんで、最後の最後まで迷ってて。だから苦しいほうを選んだわけなんですけど、しんどくても続けてきてよかったです。続けるのって難しいし、挑戦ですよね。
滝口 僕も同じく“続けること”ですね。僕は感覚ピエロに入る前まで、バンドを組んでは解散して、新しいバンドに加入してまた解散して、みたいなことを繰り返していたので、「もう諦めて就職して結婚して家庭を持とう」みたいなことを考えてた時期もあったんですよ。そんなときに声をかけてもらって「たぶん最後のバンドやろな」と思いながら入ったのが感覚ピエロでした。これまでの周りの人たちはモチベーションが保てなくなったり就職を選んだりしてどんどんいなくなったんですけど、そのときはシュンとしながらも辞めなかったのは、自分にとって挑戦だったなと。
秋月 僕はこのメンバーをバンドに誘ったのが挑戦ですかね(笑)。
横山 それはギャンブルだよ(笑)。
秋月 あとは、あまり周りがやってないスタイルの活動を、自分たちの力で成し遂げてきたこと。音楽業界への反骨心をむき出しにしたこのバンドの生き様は、挑戦そのものだなと常々思ってます。
西尾 このバンドはホンマそうやわ(笑)。でもそれを僕らに挑戦だと思わせないのが琢登のすごいところなんですよね。
滝口 僕らは必至になって走ってるだけだから。琢登にケツ叩かれて「はい走って!」って言われながら(笑)。
8カ月かけてみんなに伝えたいこと
──幕張メッセワンマン以外に、今後挑戦してみたいことはありますか?
横山 作ってみたい曲があるんですよ。それを作ることで、幕張メッセにどういうお客さんが来てくれて、どういうリアクションをしてくれるのかが楽しみで。
──おお、面白そうですね。
横山 あまり具体的に言っちゃうと自分の首を絞めることになるけど(笑)、ちょっとだけ噛み砕いて言うと、今年はよりこの4人のカラーをそれぞれ単品で強く出す1年にしたいと思ってるんです。この4人のキャラがどれだけ濃いのかを、残り8カ月かけてみんなに伝えたいというのが、自分の中で今掲げている挑戦です。
秋月 曲作りは確かにね。次の曲がどんな曲になるか、自分らで楽しみにしてるしね。
西尾 できることはなんでもしたいよな。
秋月 うん、枠にハマらずなんでもやりたいですね。どんどんアグレッシブになって。47都道府県ツアーとかもやってしまったので、もっと何か面白いことをやりたい。常に面白いことをするバンドでありたいので。2020年は海外に行こうかと思っていたりいなかったり……な感じです(笑)。
- 公演情報
感覚ピエロ「感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019』
~奮い立たせてなんぼでしょ~」 -
- 2019年5月8日(水)大阪府 梅田CLUB QUATTRO ※ワンマンライブ
- 2019年5月10日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO ※ワンマンライブ
- 2019年5月14日(火)神奈川 横浜BAYSIS
- 2019年5月15日(水)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2019年5月17日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO ※ワンマンライブ
- 2019年5月23日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2019年5月28日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2019年5月30日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2019年6月1日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2019年6月7日(金)京都府 KYOTO MUSE
- 2019年6月8日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2019年6月14日(金)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2019年6月15日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2019年6月16日(日)香川県 DIME
- 2019年6月26日(水)熊本県 熊本B.9 V2
- 2019年6月27日(木)福岡県 DRUM Be-1
- 2019年6月29日(土)岐阜県 CLUB ROOTS
- 2019年6月30日(日)三重県 M'AXA
- 2019年7月5日(金)岡山県 CRAZYMAMA 2nd room
- 2019年7月7日(日)広島県 CLUB QUATTRO
- 2019年7月13日(土)山梨県 KAZOO HALL
- 2019年7月14日(日)東京都 マイナビBLITZ赤坂
- 2019年7月15日(月・祝)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2019年7月19日(金)愛知県 DIAMOND HALL
- 2019年7月20日(土)大阪府 BIGCAT
- 感覚ピエロ「感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』
~幕張ヴァージンはあなたのもの~」 -
- 2019年11月4日(月・振休)千葉県 幕張イベントホール
-
各プレイガイドにてチケット一般発売中。