ナタリー PowerPush - FUZZY CONTROL

3年2カ月ぶりアルバム完成! その名も「SUPER FAMILY CONTROL」

今を信じることが今日生きていくための糧

──3年2カ月ぶりの今作は、その間のバンドのいろんな転機も物語ってると思うんです。1曲目の「GONNA MAKE A LOVE SONG」では「今見えているものを信じられたら」という言葉がすごく今の時代に響くものになったという感じがしたんですけど。

JUON これは満場一致で1曲目でしたね。

インタビュー風景

SATOKO そうですね。この曲は良すぎましてね……って(笑)。全部いいけど、トップにふさわしい曲だよね。アルバムのレコーディングをしてるときにまさに地震があって、いろいろなことを考えたんです。うちらはミュージシャンであって、誰かに何かを教えてあげる人とか博士とかでもないし、政治家でもないんだけど、自分たちの音楽が好きな人たちにとって、なんかすげえいい相談相手だったりいい友達でいられたらいいなっていうのは、歌詞を書いてるときとかに常に思ってるんですね。でもすっごい辛いことがあった人に言えることって少ないし。

──そうですね。

SATOKO 今はあんまりいい時代じゃないからね。詞を書くときに、なんていうか……言葉を見つけていくことが大人になればなるほど難しくなっていく。それでも、自分は今見えてることを信じることしかできないって思ったんですよね。今できることとか、今自分が絶対に楽しいとか、絶対に好きだって思ってるものを信じていくしかないし。時代が変わっていく音がしてるじゃないですか、あちこちで最近。そんな中で、自分が今見えてるものを信じながら生きていくことが、とりあえずの答えっていうか。今日生きるための糧だって、そういうことを言いたかったんですよね、歌詞の中で。今まではそんな風に思ったことなかったんですけど。

──うんうん。そして今見えているものの中に、周りにいる大切な人たちのことが含まれてるのかな。

SATOKO そうですね、「SUPER FAMILY」たちですね(笑)。

──しかもこの「GONNA MAKE ME A LOVE SONG」という曲は、メロディの掛け合いとかがわりと洋楽っぽいというか。こういう曲ってあんまりないですよね。

SATOKO ないですよね。そこを聴いただけで天才だって思いましたね。亀田さんも、「これ、超ヤバい! この曲やりたい」って言ってて。しかもアレンジもほとんど変えずにね。

JUON これもどっちかというと「SWEET RAIN~」が出てきたときの感覚とすごく似てて、考えずに自然と出てきた曲なんですよね。

ベースは世界一いい音で録れた

インタビュー風景

──そして「COOKIE IN A JAR」も亀田さんと一緒にアレンジされていますね。スローなアコースティックサウンドがまた新鮮で。

JUON これは亀田さんに「ちょっと1曲、2人でやってみない?」って言われて、事務所で2人でアコギを持ってディスカッションしながら作っていったものです。いいフレーズが出たら、「それいいじゃない! もうちょっとテンポ速めにできないかな?」「こんな?」「あ、いいねいいね! じゃあBメロどうするかな」みたいな感じで。ああいうやり方は好きですね。しかもそんなに時間かかってないっていうのもミソで。お互い良いなと思ったメロディが出てきた瞬間、2人ともニコってするんですよ。「あ、これだったんだ!」みたいな感じで。お互い同じ目線で作業できたのが成功の鍵です。

SATOKO しかもJOEくんのベースは今までで一番いい音で録れたんでしょ?

JOE うん。世界一いい音だと思ってます、ホントに。生のベースを初めて使って。やっぱ難しいんですよね、タッチとかが。でも、そのJUONと亀田さんのやり取りがあり、この歌詞があり、それを踏まえた上で感情が入ったいい音で録れたなと思います。

──手触り感みたいなものが音に入ってますもんね。

SATOKO 生々しいんだけど、なんか心地いい。

JUON そうだね、安心感があるしね。

「甘いもの」が歌詞のキーワード

──そして歌詞では「甘いもの」や「優しさ」もキーワードになってますよね、今回のアルバムは。

SATOKO デモの段階で結構「SWEET」とか「HEART」とか、そういう甘ーい単語が入ってたの。もう既に最初から。

インタビュー風景

JUON 言いたくてしょうがないっていう(笑)。

SATOKO そう、疲れてたから糖分を摂取したいとか、そういうことだったらしいんだけど「あ、これいいな、かわいいな」と思って。なんか服装でも、いきなり超ガーリーなの流行ったりとか、いきなりジーパンと白シャツが流行ったりするじゃないですか。そういうものと同じで、JUONのそのときの流行りは甘いものだったみたいです。

──特に「SWEET HEART」は糖度高めですね、蜂蜜とか砂糖とか出てきます。

SATOKO そうですね、激甘ですね。

──でも、それが女性であるSATOKOさんが書いてるからじゃなくて、JUONさんのデモをもとにそういう歌詞に仕上がってるのが面白いですね

SATOKO そうですね。だって私、甘いもの全く食べられないですから。

──あはははは!(笑)

JOE メロドラマ嫌いだもんね。

SATOKO うん、恋愛映画とか大嫌いだし。塩辛とか乾いたホタテとかが好きなんで。

一同 (爆笑)

ニューアルバム「SUPER FAMILY
CONTROL」 / 2011年10月19日発売 / 2500円(税込) / DCT records / POCS-21030

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CD収録曲
  1. GONNA MAKE A LOVE SONG
  2. X
  3. SWEET RAIN SWEET HOME
  4. COOKIE IN A JAR
  5. latest
  6. BEAUTIFUL
  7. TIME
  8. BIG DEAL
  9. あ・あ・あいやいや・あ・あ!
  10. TOUCH
  11. SWEET HEART
  12. SUNSET
FUZZY CONTROL(ふぁじーこんとろーる)

JUON(Vo, G)、SATOKO(Dr, Vo)、JOE(B, Vo)からなる3ピースバンド。2003年にシングル「SHINE ON」でメジャーデビュー。2004年には米テキサス州で開催されるアメリカ最大級のフェス「SXSW」に出演するなど頭角を現し始める。その後もリリースやライブを重ね、2009年9月にはDREAMS COME TRUEとのコラボシングル「その先へ」も発表。2011年10月に5thアルバム「SUPER FAMILY CONTROL」をリリース。日本のロックの王道を行くダイナミックな楽曲が特徴で、3ピースとは思えないエネルギッシュなライブパフォーマンスも魅力。