ナタリー PowerPush - FUNNY VILLAGE

お台場×ライブ×オールナイト 出演者による見どころ解説

DE DE MOUSE インタビュー

エンタテインメントの深いところに食いついてほしい

──これまでジョイポリスのような遊園地でライブをしたことはありますか?

実は去年、ここで開催されたOTODAMA主催のオールナイトイベントに出演しているんです。STUDIO APARTMENTの森田(昌典)さんにイエーガーか何かをさんざん飲まされた思い出があって(笑)。あと覚えてるのは、プロジェクションマッピングがステージに投影されてたことかな。プロジェクションマッピングってそれなりにお金をかけて見せているものなのに、一般の人から「だから何?」って感じで見られてしまうこともあると思うんです。僕らのような作り手と、観る人たちそれぞれの気持ちの温度差っていうのに僕はすごい興味があって。ちょっと話が飛ぶんですけど、バンダイがスマホでプロジェクションマッピングが再現できる食玩を出したじゃないですか。

──「ハコビジョン」ですね。上にスマホを乗せると、箱の中に映像を投影できる。

そうそう。それも結局「だから何?」程度にしか思われなかったりする。ちょっとアートに興味がある人なら「これがスーパーで売ってるんだ。すごいな」って手に取るけど。でも実はプロジェクションマッピングのようなアート的なものに興味がある人って、ロックフェスとか今回の「FUNNY VILLAGE」みたいなイベントにはなかなか足を運ばないのかなって思うんですよ。

──確かにそうかもしれません。

観る人たちの温度差も、日本はすごいあるんです。東京駅でのプロジェクションマッピングくらい大きいことをすれば、みんな観ますよね。でも知識がないと「あっ、建物に映像を映すんだ」っていうだけで終わっちゃう。許可を取るのがどれだけ大変かとか、オブジェクトとプロジェクターの距離を全部計算しなきゃいけないとかが伝わらない。例えばプロジェクションマッピングの技術的な知識みたいなものを学校の授業で教えてくれればいいんですけど(笑)。もう少し知識の面とかでエンタテインメントの深いところに食いついてくれるといいのにって思うんです。

──DE DE MOUSEさんはライブでも音だけじゃなく、映像にすごくこだわっていますよね。

VJのrokapenisくんと、映像作家の山口崇司くんと一緒にライブをやらせてもらってて。rokapenisくんとはライブでやる曲を一緒に聴きながら打ち合わせをしています。例えば「この曲はこの映画のサンプリング使いたいね」とか自分が伝えたいイメージをけっこう緻密に共有する。音楽も同じだけど、1つのことをストイックに突き詰めすぎるとお客さんって付いてこなくなっちゃうから。音楽に映像とパフォーマンスを交えて見せることを意識してやってます。

──バランスがすごく難しそうです。

僕はライブに来てくれる人たちに自分の作品だけじゃなくて、自分が好きなものも教えていかなきゃいけないなと思っているんです。言い方は悪いけど“教育”していくというか。ファンが求めるものばっかり提示していくと、どんどんほかのことがやれなくなってしまうから。僕は今35ですけど、音楽を作り始めたのは17歳か18歳くらいのときで。これからさらに35年くらい音楽活動やろうかなって考えるとこれまでの2倍は活動していかなきゃいけない。求められるものばっかり作っていくとなるとやっぱりキツくなっちゃうし。

とにかく盛り上げる感じにします

──DE DE MOUSEさんの音楽のドリーミーなサウンドって、ジョイポリスという場所に合ってると思うんです。

DE DE MOUSE

僕もそう思います(笑)。僕の音楽を聴いてくれるドリーミーな感じが好きな人って、たぶん満たされない寂しさを抱えてる人たちが多いと思うんですよ。でもそういう人たちにとって、ジョイポリスみたいな遊園地はとてもじゃないけど敷居が高くて(笑)。

──ははは(笑)。

「1人じゃ行けない」とか「どうせ周りはリア充ばっかりでしょ」とかいう被害妄想が強いんですよ。僕はその気持ちもすごくわかる。でもそういう人たちにも来てほしいなって思ってるんです。

──ちなみに今回のDE DE MOUSEさんのステージはソロですか? バンドですか?

ソロです。ダンスセットというか、ちょっとDJっぽくとにかく盛り上げる感じにします。深夜帯のときはお客さんを楽しませて帰るようにしていて。僕のライブセットはいくつかあって、ダンスミュージックでとにかくアゲて帰るっていうセットと、映画館とかプラネタリウムで座っている人にとにかく聴かせるためのセット。で、もう1つがバンド。あとフルートとかクラリネット、ギターを入れた座って観る感じのコンサート形式のものもありますね。

──見せ方だけでもこんなにあるのに、そこに映像まで足していくんですね。

コンサートホールで演奏する人たちも、ライブハウスでライブをするバンドも演奏だけっていうのが多いですよね。だから映像をプラスするだけで、けっこう差別化が図れるんです。意識はしないかもしれないけど演奏と同時に映像って入ってくるから、観る人たちの頭の中でいろいろ補ってもらいながらそれぞれのストーリーを描いてくれたらいいなって思って、映像を付けるようにしています。

──セットがいっぱいあって大変ではないですか?

アウトプットの方法がたくさんあるってだけで、大変だとはあまり思いません。これも好きだし、あれもやりたいって考えたとき、ライブだったらその場だけの表現で作品にも残らないからってことで気軽にやってます。まあ自分が飽き性だからかもしれないけど(笑)。

かける曲で媚びは売らない

──じゃあ最後に、来場者へのメッセージをお願いします。

僕のワンマンってわけでもないので、とにかく楽しんで帰ってもらえればいいなって思ってます。僕はみんなが盛り上がるようなことはするけど、まあかける曲で媚びは売らないぞっていう(笑)。やっぱり僕はファンが知らなかった曲でも反応させたいんです。Nirvanaとか椎名林檎とかみんなが知ってる曲ばっかりかけると、もうそっちのほうが盛り上がっちゃって。僕の作品かけると「あれ?」って感じになって、自分的にもキツくなるし。

──ははは(笑)。

だからそこがやっぱり僕の立ち位置の難しいところなんです。何か1つのジャンルにこだわったDJをやってるわけじゃなくて、ハードミニマルでもジャングルでもなんでもいいって思ってる。それでいて硬派かっていうとそうでもないから……。

──確かに硬派というのともちょっと違いますね。

ある意味中途半端な立ち位置にいるからこそ、どんなイベントでも呼ばれるようになったのかな。ロック、ダンス、映像系、リスニング系とか。いろいろ呼ばれるようになると、どうやってお客さんに観せようとかすごく考えなきゃいけないけど、ライブってその場限りの自由なものだからやりたいことをやりたいようにやってます。

「FUNNY VILLAGE」2014年6月21日(土)東京都 東京ジョイポリス / OPEN/START 24:00
earth floor
CTS / DE DE MOUSE / DAFTY / 80KIDZ / tofubeats / 高木完
moon floor
南壽あさ子 / 植田真梨恵 / 大知正紘 / fantaholic / 1% Groovies / Kitchen
Performer
三代目パークマンサー / すらぷるため
Opening Act
NEN / no entry
料金
男性 3000円
女性 無料(※オフィシャルサイトで事前予約が必要です)
謎解きイベント +1500円(※謎解きイベントのみの受付はできません)
SKY VILLAGE(VIP席) 5000円(※入場チケットが別途必要となります)
DE DE MOUSE(デデマウス)

遠藤大介によるソロユニット。緻密に重ね合わせたオリエンタルなメロディとドリーミーで聴きやすいサウンドで、幅広い層からの人気を獲得している。自主制作で発売したCD-R「baby's star jam」が各方面で話題になり、2007年1月にExt Recordingから1stアルバム「tide of stars」を発表し、好セールスを記録。2008年3月にavex traxへのメジャー移籍を発表し、5月にメジャー第1弾となるアルバム「sunset girls」を発売。その後自主レーベル「not records」を設立。レーベル第1弾となる4thアルバム「sky was dark」を2012年10月に発売した。 ライブではソロでのステージのほか、DE DE MOUSE + Drumrollsとしてツインドラムと2人のVJを加えた編成でパフォーマンスを行うなど、多彩な演出で人気を博している。