ナタリー PowerPush - FUNKIST
メンバーの死を乗り越え語る新曲に込めた意味と思い
ゲームをする子供たちに覚悟を決めたものを書こうと思った
──タイトル曲になっている「SHINE」のテーマが「友情」というのもなんだか運命的な感じがしますよね。
染谷 ゲームの内容が、過去の主人公たちが力を合わせて戦うっていうものだったので、そこからの発想ではあったんですけど、ゲームをする子供たちにFUNKISTとして何を届けるかっていうところで、中途半端なものではなく、覚悟を決めたものを書こうと思ったんです。「絆って最高」とか「友情って熱いぜ」といったものではなく。
──うん、ものすごく真摯で説得力のある言葉が並んでいます。
染谷 僕は小学校、中学校のときにイジメられていた経験があって、すごく苦しんでいた日々があったんです。でも、その中で今のバンドメンバーたちと出会ったことでそこから抜け出せた。だから今、実際にそういう苦しみを味わって、真っ暗な場所にいる子たちに、絶対その先で大切な人と出会えるんだ、1本の光がそこには差してるんだぜっていうことを届けたかったんですよね。ただ、それを曲にする段階でメンバーに伝えるのはかなり照れくさかったですけどね。「俺にはつらい過去があったけど、お前らに出会えたじゃん!」みたいなことを面と向かって言わなきゃっていう。で、それを聞いて、みんな「ほお」みたいな(笑)。
宮田 悪い気はしないですよね、やっぱり(笑)。特に僕は染谷とは6歳からの付き合いだから、イジメられてたことも知ってるし。だから、こいつが心を開いて伝えてくれたことは一方通行じゃなくて、「いや俺らもそうだよ」っていう。で、そういう思いでギターを弾けば、その思いが詰まった曲にちゃんとなるっていうかね。いやあ、照れくさい話ですけど(笑)。
ヨシロウ で、俺らはそういうことをステージ上でも表現したいんですよ。「こんなにギターがうまいんですよ」「こんな素晴らしい音楽やってますよ」っていう部分を見せたいわけじゃなくてね。そういう意味で「SHINE」は、直接的な言葉と曲で、FUNKISTとして目指してるものをひとつの形にするっていうことがうまくできたと思うんですよね。
宮田 俺ら以外のメンバーでこの曲やろうって言っても絶対できないだろうしね。
染谷 うん。あと今になって思えば、このタイミングで「友情」っていうテーマの曲を作ることになって、俺の人生にはいろんなことがあったけど、それは全部あなたに出会うためだったんだよって陽子ちゃんにもちゃんと伝えられたのもすごく良かったなって思うんです。すごくかけがえのない時間になったなって。
「SHINE」は7人ならではの音がすごく強い曲
──「SHINE」では疾走感のあるロックサウンドがメッセージをより痛快に響かせてもいますよね。
JOTARO(B) 今までのFUNKISTからすると、ちょっと激しいロックサウンドなんで最初はどうなるかなって思ったんですけど、できあがればそれはちゃんと優しさとかあったかさとかもあるFUNKISTサウンドになったし、新しい部分もちゃんと見せることができたなって。この曲はベーシックを録るのがものすごく速かったんですよ。あっという間に一体感が出ましたね。ライブでは既にやってるんですけど、みんなニコっとしながらノッてくれているので、目指してたところは間違ってなかったなって思いました。
住職(Dr) 攻撃的な部分っていうところで、疾走感をより出すためにいつも以上の気合を入れて叩いたところはありましたね。いつも以上に熱が伝わるように。
染谷 いつも以上にドラムがアタック感を出して、JOTAROがドライブ感を出しているけど、そっちにリズム隊が突っ走れるのはやっぱりフルートの優しさが一方にあるからっていうのも大きいんですよ。その信頼感というか。だからこそやっぱり7人ならではの音っていうのがすごく強い曲ではあります。
──「♪ラララ」のコーラスもすごく良かったです。ライブでは心地良い一体感が生まれそうですね。
ヨシロウ あれはみんなでブースに入って、わーっと歌ったんですよ。
染谷 さしてうまくもないコーラスになってますけど(笑)。
オガチ キーが怪しいヤツがいるっていう。へたなのにみんな前に前に行くんだよね。俺の声、俺の声みたいな感じで(笑)。
──アハハハ。でもその不揃いな感じがまた味になってると思います。
JOTARO だからこそお客さんも親近感というか、近い距離でノッてもらえると思うんですよ。ぜひ一緒にラララってもらいたいですね。
FUNKIST盤 CD収録曲
- SHINE
- NEW DAYS
- Brave
- Waiting for your call
テイルズ盤 CD収録曲
- SHINE(OPテーマ)
- NEW DAYS(EDテーマ)
- Brave(挿入歌)
- スペシャルミニドラマ
FUNKIST(ふぁんきすと)
染谷西郷(Vo)、宮田泰治(G)、ヨシロウ(G)、JOTARO(B)、オガチ(Per)、春日井陽子(Fl)、住職(Dr)による7人組バンド。2001年結成以来、年間100本を越えるライブで、多くのファンの心を掴んできた。インディーではアルバムを3枚、シングルを4枚のほか、染谷の母親の故郷である南アフリカでのツアードキュメンタリーDVDをリリース。2008年7月にシングル「my girl」でメジャーデビューを果たした。2009年2月にはメジャー1stアルバム「SUNRISE 7」を発売。同年4月には2度目となる南アフリカツアーも実施された。しかし、7月から春日井が体調不良のためバンド活動から離脱。その後は6人で活動を続けてきたが、2011年10月に春日井が逝去。バンドはそのまま残された6人でバンド活動を継続している。2012年2月には、春日井もレコーディングに参加した7人で最後のシングル「SHINE」をリリース。