音楽ナタリー Power Push - ふくろうず

開き直って原点回帰 エバーグリーンな新作完成

「アイラブユー」とかどんどん言いたい

──ところで今回の歌詞はいつにも増してロマンチックな気がするんですけど。

内田 まったく意識はしてないんですけど、でも強いて言うならいつも失恋っぽい曲ばっかりだからたまにはうまくいってる曲も書いたらって言われて、「うららのLa」とか「ラジオガール」とかはそういうつもりで書いてみました。でもやっぱ読み返すと100%うまくいってる感じにはならなかった(笑)。

──例えばラブソングを書くときに、自分の気持ちを書くラブソングと、誰かの気持ちを代弁するラブソングがあると思うんですが、内田さんは前者ですよね。

内田 うん、私はやっぱり自分が思ってることを素直に書きたいんですよね。あとラブソングでも人を好きになったり別れたりっていうだけじゃなく、その途中でふと思うこと、みたいな気持ちは織り交ぜたくて。

──完全なフィクションではない?

内田 ないですね。自分が思ったことしか書いてないと思う。

──内田さんの歌詞はラブソングに限らずそうですよね。

ふくろうず

内田 それしか書けないんです。私の場合は100%フィクションだと全然いい歌詞にならない。あと抽象的な言葉も使えないし、風景描写みたいなのもすごく苦手で。そういうの向いてないんだと思います。日記までいかないけど詩ではない。それが私なりの歌詞ってことなんだと思うんですけど。

──なるほど。

内田 あ、でも「エバーグリーン」とかは自分の気持ちを素直に書いて、メロディとか曲調も相まって、結果として風景とかも見えるような曲になったんじゃないかな。そういうときはうまくいったなって思う。

──そのほか歌詞を書くときに心がけてることはありますか?

内田 自分っぽさがないのはダサいと思います。あと「アイラブユー」とかそういうことはどんどん言っていきたいです。

素直さを突き詰めればバンドはよくなる

──最後に今後の展望について聞かせてください。

内田 今はもっともっと「これが私です」っていうのを出していけるようになりたいですね。以前はやっぱ自分に自信がなくて、人にどう思われるかを気にしちゃうタイプだったんですけど、それをやめたらもっといい作品ができると思うので。だからこれからはもっと心を開いてポジティブにやっていきたい。それがバンドをやるうえでも生きていくうえでも大切なんじゃないかなって思ってます。

──前向きですね。

内田 うん、今までは自分がやれることが無限にある気がしてたんですよね。ポップスもできるし暗い曲も書けるし、打ち込みとかもできる。どんな曲でも書けるような気がしてたんですけど、そんなことはないってことに思い至りまして。今は自分が得意なことを伸ばしていきたいなっていう気持ちです。

──得意技を磨いていく?

内田 そう、そしたらもっといい感じでやれて、もっとモテるんじゃないかって思うので(笑)。

安西 その素直さの追求みたいなとこは僕も内田とまったく一緒で、自分がいいと思うことを自然にやってればそれでいいんだなって、素直に思えるようになりましたね。そこをさらに突き詰めていけばバンドももっとよくなると思うし。

──素直にやるっていうのは、ある意味開き直って“やりたいことをやる”ということですよね。

内田 そうですね。昔からのファンの人に「ふくろうず開き直ったな」って思ってもらえたら、それが一番うれしいかもしれない。

──ライブも楽しみですね。

内田 こういう素直な気持ちのままライブをやれたことがない気がするので。この気持ちのままステージに立ってそれを表現してみたいなって思ってます。

ふくろうず
ニューアルバム「だって、あたしたちエバーグリーン」 / 2016年7月13日発売 / 2500円 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ / TKCA-74384
ニューアルバム「だって、あたしたちエバーグリーン」
収録曲
  1. 白いシャトー
  2. メリーゴーランド
  3. うららのLa
  4. マイノリティ
  5. ラジオガール
  6. ダイナソー
  7. ファンタジック/ドラマチック/ララバイ
  8. 春の王国
  9. 夏のまぼろし
  10. 思い出か走馬灯
  11. エバーグリーン

だって、あなたたちエバーグリーンツアー

2016年11月17日(木)
愛知県 池下CLUB UPSET
2016年11月18日(金)
大阪府 OSAKA MUSE
2016年11月23日(水・祝)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO
ふくろうず
ふくろうず

2007年に東京で結成。内田万里(Vo, Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B, Vo)からなる3人組バンド。2009年12月に初の音源「ループする」をライブ会場などで限定発売し、その後2010年4月に2曲を加えた全国流通盤として再リリースした。このミニアルバムをきっかけに人気は全国区に拡大し、2011年6月に3rdアルバム「砂漠の流刑地」でメジャーデビュー。2016年7月には5thアルバム「だって、あたしたちエバーグリーン」を発表する。ボーカルの内田はソロ名義で弾き語りライブも行っている。