ナタリー PowerPush - ふくろうず
ここから本気出す宣言「テレフォン No.1」
もっといろんな人に届けたい
内田 あの、だいぶ前なんですけど、いきものがかりの人がすごくいいこと言ってて。
──はい。
内田 なんかのインタビューで「間口を広げることに命をかけてる」みたいなことを言ってて、それを言い切れるの超カッコいいなって思った。その言葉は胸に残りました。
──そういえばレーベルメイトですよね。
内田 そう、同じ3人組だし(笑)。
──じゃあ動物つながりでもあるし、ふくろうずは“裏いきものがかり”的な存在として(笑)。
内田 そうですね(笑)。
安西 裏じゃダメじゃん……。間口閉じちゃってるよそれ。
内田 いきものがかりが狙ってないとこを全部狙いに行く感じで(笑)。もっと幅広くいろんな人に届くといいなと思います。
安西 そういう音楽のほうが好きだからね。
内田 そう、たくさんの人に聴いてもらいたいとか、お金持ちになりたいとかも18%くらいはあるんですけど(笑)。何よりもそういう音楽のほうが好きだっていうことです。
1カ月前に自覚が出てきた
──ところで内田さんの中でキーボードプレイヤーとしての自分って、どれくらいの比重を占めてるんですか?
内田 1%くらいです。
──あはは(笑)。即答しましたね。
内田 歌うこととキーボードに関しては、ほぼ興味がないですね。
──え、歌にも興味がない?
安西 でも歌のほうが大切だっていう自覚はあるでしょ。
内田 そうそう。大切だっていう自覚はある。もっと自覚を持たないとって思ってる。
──内田さんの声がふくろうずの大きな個性になっていると思うんですが。
内田 ふふふ(笑)。あんまり物事を深く考えないほうなので、こんなにも歌が大事だって気付いてなかったんですよ、単純に。私が歌ってることでふくろうずが成立してるんだなんてこと、本当に考えてなかった。
──今は自覚が出てきましたか?
内田 そんな感じはしてきました。でもそれもやっぱりTHE BEATLESのせいなのかなと思って。THE BEATLESって歌い手がいっぱいいるし、意外に初期とかはポールが歌ってるのかジョンが歌ってるのかそんなに区別つかなかったりするし。歌に強烈な個性のあるバンドかって言われるとそうでもない気がしていて。それが自分の中のスタンダードだったんで、歌がそこまで意味があるとかは考えてなかったんだと思います。けど私はTHE BEATLESじゃないんで、歌をもっと大事にしなきゃいけないんだなっていうのは思うようになった。1カ月前くらいに気が付いたんですけど(笑)。
──ごく最近ですね。
安西 それ、つまり今回のレコーディングには間に合ってないっていう(笑)。
内田 ちょっと間に合わなかった(笑)。やっぱり足りなかったんだと思います。単純にいろんなことへの自覚が。
──じゃあここにきて、ついに“ふくろうず開眼”ということですね。
内田 そうですね。今までは開眼しない、なんか薄ぼんやりしたところがたぶんよかったんだと思うんですけど、それも長くは続けられないことだと思うので。ちょっとこれからはもう少しいろんなことをちゃんと見つめながらやってみようと思います。
──それによって、より幅広い層にふくろうずの音楽が届くといいですね。
内田 どうなるかはちょっとわからないですけど、やっぱ今までは売れる気がなかったんで(笑)。
──なかったんですか? 前回のインタビューで「J-POPの頂点に立ちたい」って言ってましたよね。
内田 そうなんですけど。でもどっか本気じゃなかったんだろうなってすごい思います(笑)。
安西 行動に結びついてなかった?
内田 うん、全然結びついてなかったから本気じゃなかったんだと思う。今は前より真剣になってきました。ここからもうちょっと真剣にがんばります!(笑)
- ミニアルバム「テレフォンNo.1」/ 2013年7月24日発売 / 2100円 / EPICレコードジャパン / ESCL-4080
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収録曲
- GOOD MORNING SONG
- カシオペア
- テレフォン No.1
- パニック!パニック!パニック!
- S・O・S・O・S
- 春の惑星
- 見つめてほしい
ふくろうず
2007年に東京で結成。内田万里(Vo, Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B, Vo)からなる3人組バンド。2009年12月に初音源となるミニアルバム「ループする」をライブ会場などで限定発売。益子樹をエンジニアに迎えたこの作品は、独特の世界観と完成度の高いサウンドで大きな話題を呼び、2010年4月に2曲を加えた全国流通盤として再リリースされた。この音源をきっかけに人気は全国区に拡大。2010年10月に2ndアルバム「ごめんね」をリリースしたのち、2011年6月に3rdアルバム「砂漠の流刑地」でメジャーデビュー。その後もライブを重ね、2013年7月に約2年ぶりとなるミニアルバム「テレフォン No.1」を発表する。