音楽ナタリー PowerPush - 藤巻亮太

ソロとして新たな方向性を示す“旅”の行方

今改めてバンドで表現すること

──「旅立ちの日」をリリースした直後に東名阪でリリースツアーを実施します。藤巻さんは今回バンドセットでライブを行うそうですね。

はい。アコースティック形式でのツアーで知った「音の中心に歌がある」という意識を持った上で、バンドでやります。それは自分の音楽的な原点であるレミオロメンのスリーピースとは別の形だなと改めて感じています。やってても気持ちいいですし。それに今作の6曲が新たに自分のレパートリーに加わったことで構成も変わってくる。お客さんにはそういった部分を楽しみにしてもらえたらうれしいですね。

──今回は何人編成で?

藤巻亮太

5人です。だから周りの人数が増えることで表現できることも増えるっていうのがソロとしてのよさなのかなって思います。そしてその中心には自分がいて、歌う喜び、言葉への思いにいつも意識を向けていられる。バンドのときはこういう感じにならなかったので、すごく新鮮ですね。1人のミュージシャンとして勉強になっています。

──その気持ちでいつか再びバンドをやるということになれば、また違った気持ちになりそうですね。

そうですね。まあバンドは1つの生き物であって、1人ひとりの思いが高まって、それが重なってタイミングになればまたやることになるとは思います。今はそれぞれが生きる場所を見つけて戦ってる最中ですが、いつかそのときがきて、新たな次元に立てたら相当カッコいいことができるようになるんだろうなって。

「粉雪」から感じたもの

──先日は幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」に出演し、「旅立ちの日」とレミオロメン「粉雪」を歌いました(参照:ニコニコ超会議に藤巻亮太登場、弾幕ソング「粉雪」歌唱に注目)。

あれは興奮しましたよ。初めての場所で、普段のファンとは違うものを求めてらっしゃる方々の前というか、もっとアウェーな場所かなと思っていたのに「粉雪」を大合唱してくれて。震えるものがありましたね。あの瞬間で抱いた幸福感は僕だけじゃなくて会場全体、お客さんの心にも宿ってるものだと思います。音楽が持ってる力や自分を信じて歌っていこうって思った1日になりました。

──あの一体感は「ニコニコ超会議」の中でもハイライトの1つだった、とツイートしている人がたくさんいました。私も改めて「粉雪」という楽曲がどれほど多くのリスナーに届いたものだったのかを再認識しました。

藤巻亮太

そうですね。作ったときに「いい曲だな」っていう手応えはあったんですけど、まさかあそこまでになるとは思っていませんでした。人が人へ伝えてくれて、ドラマ主題歌っていう形でも多くの人が聴いてくれて。

──約10年前に楽曲を作った本人として、今の自分が何か感じることはありますか?

あのとき自分が何をやっていたかって思い返すと、いい曲を真剣に作っていたっていうことで。1曲1曲に思いを込めて作った結果、あの合唱という景色につながったんだと考えたら本当に素晴らしいことだなと思いました。ソロをやっていく上でも忘れてはいけないなと改めて感じましたね。

藤巻亮太 TOUR 2015「旅立ちの日」
2015年5月14日(木)愛知県 DIAMOND HALL
2015年5月15日(金)東京都 中野サンプラザホール
2015年5月28日(木)大阪府 なんばHatch
藤巻亮太(フジマキリョウタ)

藤巻亮太

2000年12月に前田啓介(B)、神宮司治(Dr)とともにレミオロメンを結成し、ギター&ボーカルを担当。「3月9日」「南風」「粉雪」などの楽曲群が多くのファンからの支持を集める。2012年2月にレミオロメンの活動休止を発表し、初のソロシングル「光をあつめて」をリリース。同年8月に2ndシングル「月食 / Beautiful day」、10月に1stソロアルバム「オオカミ青年」を発表し、2013年1月から初のワンマン全国ツアーを開催した。2014年12月に3rdシングル「ing」をリリース。2015年5月にはミニアルバム「旅立ちの日」を発表し、東名阪でバンド編成でのリリースツアーを展開する。