音楽ナタリー PowerPush - フジファブリック
音楽をやるために生きている 10周年で思う“LIFE”の意味
ファミレスで歌詞を書く毎日
──楽曲自体もバラエティに富んでいるし、それぞれの曲に音楽的な冒険が感じられるのもこのアルバムの魅力だと思います。アルバム全体としてのテーマはあったんですか?
山内 「LIFE」というシングルを2月に出したんですけど、アルバムの制作に入るときも同じテーマで歌詞を書きたいと思ったんですよね。デビュー10周年っていうのもあるし、自分に関してもバンドに関しても、“生きる”というテーマで作品に取り組むのがいいんじゃないかな、と。
加藤 「LIFE」には人生とか生命とか生活とかいろんな意味合いがあるじゃないですか。そのすべてをひっくるめて、生み出していけるものがあるんだなって。歌詞を見せてもらったときに、そう思いましたね。
金澤 今回はほとんど、歌詞が最初だったんですよ。書いてるときも楽しそうだったし……。
山内 楽しかったよ。まあ、大変なときもあったけど。
──山内さんが歌詞を書いてるところを見てたんですか?
金澤 いや、見てないです。想像です(笑)。
山内 基本的には1人の作業ですからね。
──先に言葉を書きたいという思いがあった、と。
山内 そうですね。「LIFE」はフジファブリックとしては8枚目のアルバムなんですけど、僕が歌いはじめてからは3枚目のアルバムなんですよ。歌っている中で感じてきたこと、メンバーとして感じてきたことを含めて、吐き出したいことがたまっていたというか。もうね、2カ月くらい毎日同じファミレスに行って、朝まで書いてたんですよ。とにかく出し切りたかったし、そのときに思っていたことを言葉にしたくて。その言葉の中にはきっと、音楽もあるだろうと思ったし。
──ファミレスの店員も「また来てる」と思ってたでしょうね(笑)。
山内 後半は無視されてましたけどね。こっちも「すいません、ドリンクバーだけしか頼まなくて」と思いながら(笑)。
金澤 ほかにも常連さんがいるの?
山内 いるいる。4人掛けの席に寝転がってるおじいちゃんとか。寝てんのかな?と思ったら、文庫本を読んでたりするんだよね。
金澤 へー。
山内 いろんな発見がありました(笑)。
──アルバム全体にすごくシリアスなテーマが存在してるんだけど、一方では皆さんが音楽を心から楽しんでる様子もリアルに伝わってくるんですよね。例えば「シャリー」で、山内さんの笑ってる声が入ってたり。
山内 そうですね(笑)。僕らもそうだし、サポートドラムの人もエンジニアの方も、「曲をよくする」というよりも、「どうやったらもっと面白くなるか?」ということを考えてるというか。「シャリー」のときはエンディングでテンポを速くしてみたんですけど、そうするとみんな必死になるじゃないですか。その顔が面白くて笑っちゃったんです(笑)。
加藤 ははははは(笑)。
山内 エンジニアの高山徹さんも、そういうことがあるとすぐに拾ってくれるので。
──アレンジ、サウンドメイクの面でも面白いことがたくさん起こっていて。特に「祭りのまえ」は印象的でした。日本的なサイケデリック感というか、非常に個性的な楽曲だなと。
山内 変わってますよね。「祭りのまえ」は「ウクレレで弾き語りしてみよう」というところから始まってるんですけど、そこにBOBOさんのオルタナティブなドラムと加藤さんのベースとダイちゃんのシンセドラムと女声コーラス(小池光子 / ビューティフルハミングバード)が入って……って口で言っても全然伝わらないと思うけど(笑)。
金澤 そうだね(笑)。
ストレスのない山内家での作業
──今回、アレンジはどんなふうに進めていったんですか?
山内 歌詞に歌を付けて、弾き語りができるようになった段階で、僕の家にみんなで集まるんですよ。そこでなんとなくやってたら、こんな音になってたっていう。
金澤 そう。(山内の)家で作業してる段階で、すでにこういう感じになってたので。
山内 「何これ?」って笑いながらやってるだけなんですけどね。
──楽しそう(笑)。
山内 そうですね。楽しくないと思ったら、作業をやめるようにしてたんですよ。ちょっとでも悩んだり、行き詰まったりしたら……。
金澤 「はい、次」って。まったくストレスがなかったんですよね、今回は。山内くんの家での作業も楽しかったし、そのあとのごはんもおいしくて。
山内 時間を決めてやってたからよかったのかもね。
金澤 楽しい、おいしい、ヘルシー。
加藤 やかましいわ(笑)。
フジファブリックとハードロック
──「efil」は1970年代ハードロックのテイストが全面に出たインパクトのある曲ですよね。
山内 最初はもっとテンポが遅かったんですけど、「もうちょっと速くしたほうがライブで楽しめそうだな」と思って。試しにやってみたことが、そのまま曲になった感じですね。だから、あえてハードロックをやろうとしたわけではないんです。まず歌詞を書いて、そこに音を付けたらこうなったっていう。レコーディングしてる時点で「これ、ハードロックだね」って言ってたんですけど(笑)、実際は何も考えずにやってるので。
──ちなみに皆さん、ハードロックは聴いてました?
加藤 うん、めちゃくちゃ聴いてましたよ。
山内 ダイちゃんはツェッペリンで、加藤さんはDeep Purpleで。
金澤 僕、ジミー・ペイジに似てるって言われますからね。
山内 茨城のジミー・ペイジだからね。あと、ちょっと疲れたときの顔はジョー・ペリーっぽいんですよ。往年のハードロック顔(笑)。
加藤 ギターは持ってないけど。
金澤 練習したことあるんだけど、なんか指が痛くて……。
山内 最初は痛いんですよ。
金澤 うち、実家がレストランなんですけど、厨房にゆで卵切り器があって。それを触ったときの感じがするというか……。
加藤 それは細すぎるだろ。
山内 なんの話や(笑)。
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- ニューアルバム「LIFE」 / 2014年9月3日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / AICL-2718~9
- 通常盤 [CD] / 3240円 / AICL-2720
CD収録曲
- リバース
- Gum
- LIFE
- シャリー
- ブルー(Album Version)
- F.T.79
- 祭りのまえ
- efil
- WIRED
- フラッシュダンス(Album Version)
- robologue
- バタアシParty Night
- sing
- カタチ
- 卒業
初回限定盤DVD収録内容
- フラッシュダンス(MUSIC VIDEO)
- バタアシParty Night(MUSIC VIDEO)
- LIFE(MUSIC VIDEO)
- ブルー(MUSIC VIDEO)
- 特典映像「モグライフ(Documentary)」
- LIVE TOUR 2014 "LIFE"
- 2014年10月17日(金)宮城県 Rensa
- 2014年10月19日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2014年10月24日(金)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2014年10月25日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2014年11月1日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2014年11月2日(日)大阪府 Zepp Namba
- 2014年11月4日(火)香川県 高松MONSTER
- 2014年11月7日(金)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2014年11月8日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
- 2014年11月14日(金)熊本県 DRUM Be-9 V1
- 2014年11月15日(土)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2014年11月20日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2014年11月21日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- フジファブリック10th anniversary LIVE at 武道館 2014
- 2014年11月28日(金)東京都 日本武道館
フジファブリック
志村正彦(Vo, G)を中心に2000年に結成されたロックバンド。都内を拠点に活動を開始し、2002年にミニアルバム「アラカルト」をリリース。そのユニークなサウンドと捻りの利いたアレンジ、志村の綴る独特の歌詞が注目を集める。2004年4月にシングル「桜の季節」でメジャーデビュー。「フジファブリック」「FAB FOX」「TEENAGER」といったアルバムがいずれも高い評価を受け、2009年発売の4thアルバム「CHRONICLE」でさらに支持を拡大するも、同年12月24日に志村が急逝。バンドは山内総一郎(Vo, G)、金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(B)の3人でその活動を継続し、2011年9月に新体制で初となるアルバム「STAR」をリリースした。2013年10月にはダンスロックをテーマにした4曲入りCD「FAB STEP」で新境地を開拓した。デビュー10周年を迎えた2014年は、2月に発表されたシングル「LIFE」を皮切りに、「FAB BOX II」「FAB LIVE II」という映像作品を連続リリース。9月に8thアルバム「LIFE」を発表し、11月にはデビュー10周年を記念した東京・日本武道館公演を行う。