風男塾が10月10日にフルアルバム「風ァイト!!!!!!」をリリースした。

風男塾のデビュー10周年を記念した作品としてリリースされる「風ァイト!!!!!!」。藤守怜生、紅竜真咲、草歌部宙が加入してからは初となるアルバム作品でもある今作には、「証－soul mate－」「君色々移り」といったシングル曲に加え、Q-MHzが楽曲提供した「最高シャウト！」やハロウィンソング「T・O・T！～Vivid Men～」、風男塾らしさが詰まった応援ソング「ピースサインミーティング」など、バラエティ豊かな楽曲が収められた。

音楽ナタリーではリリースを記念してメンバーにインタビューを実施。それぞれの曲への思い入れを聞いたほか、3度のツアーを経てメンバーの絆がぐっと深まったというこの1年の6人の歩みを振り返ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ　撮影 / 前田立

純粋にうれしいです、自分の声が入ったアルバムができたことが

──前作「STAR TRAVELER」から約2年7カ月ぶりにリリースされる今作は、怜生さん、真咲さん、宙さんにとってはグループに加入後初めてのフルアルバムです。

紅竜真咲　このアルバムには新曲が6曲入っているので、「自分たちの声が入っている楽曲が増えたなあ」と素直に思います。だから純粋にうれしいです。

藤守怜生　俺の場合、前回のアルバムが加入する1カ月前くらいに出たんです。風男塾に入ることが決まっているのにアルバムには参加できない状態だったから、そのときは「ああ、いいなあ」って見ていて。だから、今回アルバムを出すことになって「やっと来た！」みたいな感じでした。

草歌部宙　アルバムはレコーディングをする曲数が多くて、しかもどの曲も違う色があって。すごく勉強になったなと思います。こんなにたくさんの曲を一度にレコーディングする経験も初めてだったので、制作中は本当に学びの時間でした。

──ちなみに、タイトル「風ァイト!!!!!!」の読み方は「ファイト」で合っていますか？

仮屋世来音　合ってます！

瀬斗光黄　僕ら風男塾には「人を元気にする」っていうコンセプトがあるので。

愛刃健水　風男塾らしいタイトルですよね。収録曲も、いろんな形でみんなを応援する曲が詰まってます。あと、「風ァイト!!!!!!」ってタイトルを言うとき、自然とテンションが上がるのもいいよね。

一同　うん。

健水　ビックリマークもちゃんと6人分付いてます！

来音　ちなみに初回限定盤Bのジャケット写真ではメンバーがそれぞれいろんな職業のコスプレをしているんですけど、それもいろんな人にエールを届けたいなっていう気持ちを表したものなんです。風男塾は3rdシングル「勝つんだ！」（2009年）のシングルジャケットでもいろんな職業の衣装を着ているんですけど、途中加入のメンバーとしては、今回この10周年のタイミングでまたそういった風男塾らしい表現ができてうれしかったです。

──皆さんどんなコスプレをしたんですか？

光黄　僕はお医者さんをしてます。

健水　パイロットですね。

真咲　僕はヒーローです。（担当カラーが）レッドなんで！

来音　で、僕は宇宙飛行士をやりまして……。

怜生　探検家です。でもかわいい仕上がりになってしまいました（笑）。

宙　学ランを着た学生になりました。

光黄　統一感がないよね（笑）。

健水　みんな、キャラには合ってた気がするけどな。

光黄　て言うか、学生以外のキャラが濃すぎて……。

宙　僕はモブキャラになってました（笑）。

この6人の「証」が歌えている気がする

──収録曲は、通常盤のボーナストラック2曲を合わせると12曲。まずは既発曲の6曲についてお聞きしたいのですが、それぞれ特に思い入れの強い曲はありますか？

一同　迷うなあ！

来音　はい！ 僕は「証－soul mate－」です。この曲は円になって歌って、歌唱パートがパンパンパン！とリレーのようにつながっていくのが特徴なんですけど……今はリリース時（2017年）とはメンバー構成が違う6人だけど、ライブで歌っていると、この6人ならではの「証」が歌えている気がするんです。10周年のアニバーサリーイヤーが始まってから1年間で3度のツアーを回ってきて、僕は今すごく、この6人で歌う「証」が好きだなと思える。あと、「俺たちは出会うために生まれた絆」っていうフレーズがあるんですけど、普段楽屋とかで「食べたいもの何？」って聞くとみんなの意見がそろったりだとか、持ち物が偶然一緒だったりすると「ソウルメイトー！」って言い合ったりするくらい、自分たちの日常に馴染んでいる、絆を感じる曲なんです。風男塾のことをギュッと凝縮したエッセンスが歌詞に詰まっているなと思うから、すごく思い入れのある曲です。

光黄　俺は「Welcome to my familia」ですね。（9月開催の）日比谷野外大音楽堂ワンマンはファン投票の上位に入った曲をセットリストに組み込むライブなんですけど、その投票で1位になったのがこの曲だったんですよ（参照：1位に選ばれたのは？ 風男塾、デビュー曲も披露の「風歌番付」で10周年締めくくり）。今年の6月に発売されたシングル「君色々移り」のカップリング曲で、リリースしたてのときはこれほどに支持されるとは思っていなくて。なので、こんな人気曲になってくれてうれしいし、これからこの曲が風男塾を引っ張っていってくれるようなポジションになるのかな？と思うと、やっぱり推したい曲ですね。真咲くんのカッコいいセリフもあって、すごくクールな風男塾の一面を感じられると思います。ライブでもすごく盛り上がるので、俺らのターニングポイントになるような曲になればいいな、とも思います。これからも成長していってほしいなって、謎の親心が芽生えてます（笑）。

宙　僕は「君色々移り」がいいなあと思います。僕が加入後初めて参加したシングル「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲～キミがいればオレたちも笑顔∞（無限大）～」（2017年リリース）のときは「まだまだだな」「悔しいな」と思う気持ちがすごく大きくて。でも、次の「君色々移り」ではレコーディング用にメンバーが聞く仮歌を僕が歌いました。制作の初期から関わらせていただき、じっくり曲を聴いてレコーディングに望めたので、自分にとっては前作よりも成長した姿を見せられた曲なんじゃないかなと思う。それまでとは違った自分の一面を見せられた曲として、印象に残っています。

真咲　俺は「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲～キミがいればオレたちも笑顔∞（無限大）～」が好きです！ （歌詞カードを開きながら）見ての通り、歌詞がめちゃくちゃ長いんですよ。曲調もコロコロ変わりますし、本当に「1曲に詰め込んだな！」ってくらい自分たちの魅力を発揮できるシーンがいっぱいあるので、歌っていても楽しいと言うか。あと個人的なことで言うと、俺、この曲が出るまでは自分のキャラがなんとなく定まっていないような感覚があったんですけど、この曲に「俺ってイケメンですよね？」ってセリフがあるんです。当時はそういうアピールをしているわけではなかったんですけど……俺のアイデンティティがこの頃に確立されたような気がして。

光黄　（真咲に向かって、無言で親指を立てる）

──この歌詞に、自分のキャラクターが引っ張られた？

真咲　はい、そんな感覚があります！ なので、この曲にすごく感謝しているんです。

健水　新たな自分の幕開けってことね。

なんだかバトンがつながっていってるような感覚になるんですよ

──次は6曲の新曲について伺えたらと思うのですが……。こちらも1人ずつお気に入りを聞いていきましょうか？

宙　僕は「最高シャウト！」がいいです！

──この曲がリード曲になるんですか？

宙　そうですね。この曲、デモを聴いたときから「元気な曲だ！」という印象で。僕はメンバーの中では落ち着いた歌声だと言われるから「曲に合う歌い方ができるかな？」と心配されたりもしたんですけど、いざ歌ってみたら「宙、意外と合うじゃん！」とスタッフさんに言っていただけて（笑）。だからすごく……僕が元気になった曲です！（笑）

──なるほど（笑）。この曲はQ-MHzが作詞作曲を手がけているんですよね。風男塾がQ-MHzに楽曲提供を受けるのは初めてですよね？

宙　はい。最初は知らされていなくて、「このメロディライン、すごく聴いたことある感じがする！」と思ってスタッフさんに聞いてみたら「そうだよ」と。もう、すごくうれしかったです。「いいんですか？ こんなにうれしいことをしていただいて……」って、自分のためってわけではないのにはしゃいでしまいました。今回のアルバムはアニソンを多く手がけているクリエイターさんが多く携わってくださったので、アニメ好きの僕はすごく“俺得”だったんです。

──歌詞は前向きで、メロディには疾走感があって。風男塾のポジティブなグループのムードがすごく出ているなと思ったのですが、ほかの皆さんはこの曲を最初に聴いたとき、どう思いましたか？

光黄　やっぱり「元気いっぱいだな」と思いました。歌詞も「はなわさんが書いたのかな？」って思うくらいに昔の風男塾みたいなところが表現されているんですけど、今の風男塾らしい雰囲気もあり。11年目に突入する風男塾のアルバム1曲目にふさわしい曲だなって思いました。完成した曲を聴くと自分たち自身も明るい気分になりますし、なんだかバトンがつながっていってるような感覚になるんですよ。バトンを受け取った自分がそれを次の人に渡して、受け取った人が力強く歌って……っていうのが、今までの風男塾の歩みにも重なるようで「すごい曲だな」って。今後絶対にライブでは欠かせない曲になると思いますし、歌うときには最高のシャウトをしようと思います。

──「おっけーです！」のところなんか特に、聴いている人のテンションが上がるようなパワフルなボーカルですよね。

光黄　来音と真咲だ！

来音　僕は、すごく離れてる山にいる人に届くような気持ちで歌いました。

健水　どんな状況？（笑）

来音　（笑）。気合いが伝わればうれしいです！

真咲　「おっけーです！」の前の歌詞が「人生長いんだし おもしろい旅に出よう 返事は？ 返事は？」なんです。ファンの人たちと一緒にこれから自分たちが夢を叶えていくんだぞっていう気持ちからの「おっけーです！」が……すごくいい感じでした。

光黄　ホントに、すっごくいいですよね。

真咲　歌って言うよりも、気持ちが先走ってしまいまして。

健水　ライブだと声裏返るかもね。勢いでね。

一同　あはははは！（笑）