ナタリー PowerPush - FRONTIER BACKYARD
TGMXが回想する10年+「BEST SELECTIONS」全曲解説
ロックバンドが活躍するフィールドを変えたかった
──今回のベスト盤で過去のFRONTIER BACKYARDの音源に改めて触れるリスナーもいると思うんですけど、当時の自分たちの音楽を振り返ってみて、今はどんなことを思いますか?
今のバンドシーンでは当たり前になりましたけど、当時、ロックバンドの音にここまでシンセサイザーが入ってるバンドはほとんどいなかったと思うんです。それと、四つ打ちのリズムでやってるバンドもほとんどいなかった。ちょうどバンドもDTMで音楽を作るようになってきた時代で、そこで自分が新鮮だと思うことをやってきただけなんですけどね。音楽のバックグラウンドとしては、古い洋楽も同時代の洋楽もどっちも同じくらい重要なものとしてあって、手法としてはアナログとデジタルのちょうど真ん中にいたバンドで。そういうバンドは当時あまりいなかったんじゃないかな。
──でも、自分たちがシーンの先駆者であったみたいな、そういう意識はあまりない?
そうですね。FRONTIER BACKYARDを始めた当時は、バンドシーンにいながらもクラブとかにもよく行っていて。ロックバンドが活躍するフィールドを変えたいと思っていたんですよ。当時は、というかこれは今もかもしれないけど、ロックバンドがクラブで演奏するっていう機会があまりなかったから、できるだけライブハウスでやりたくなかったっていうか(笑)。クラブで、もっと夜の深い時間に、その空間や時間にふさわしい音楽をやりたいと思ってて。結局そのときに自分が夢見ていたロックとダンスミュージックの結びつきが、今結びついたのかそうじゃないのかはよくわかんないですけど。シンセとか四つ打ちに向かっていったのはそれが理由だった。で、別にそれは僕たちが先駆者とかじゃなくて、世界的な流れだったんですよね。
──なるほど。
その時代その時代の音楽、特に洋楽ロックに対してのリアクションという意識が、自分の中では常に大きかった。僕は、今でも海外のバンドの音楽を追っかけてますからね。洋楽の世界に憧れていて、自分はそこに勝てないって、そういう意識がある(笑)。
──それは、よくも悪くも今の若いバンドの多くに圧倒的に欠けている意識ですよね。「憧れる力」というか、「敗者の美学」というか。
今でも海外の若いバンドのCDを聴いて、「こういうのやりたい!」って思うわけですよ。年齢とか関係なくね。だから、いつまでもやりたいことは尽きないですよね。好きなバンドのニューアルバムが出たら、レコードショップに駆けつけて買って、家に帰ってそれをワクワクしながら聴いて。20歳くらいのときの気持ちが、今でもまだずっと続いてるんですよ。それがあるからバンドの活動もルーティンになっていくことはないし、ずっと健全でいられるのかなって。頭の中は1年後や2年後にやりたいことでパンパンですからね(笑)。
やってみたいことがたくさんあるから続けていく
──当時まったく別のカルチャーとして存在していたスカのシーンと、フリッパーズ・ギターに端を発する渋谷系のシーンと、Hi-STANDARDを中心とするパンクシーンが、SCAFULL KINGからFRONTIER BACKYARDというTGMXさんの活動の流れの中で一緒になっていって。それを同世代のリスナー、音楽ジャーナリストとしてすごく不思議な思いで見ていたんですけど、改めてこうしてお話をしていて、いろいろ見えてきました。
僕は全部が好きだっただけです。スカ界隈の人たちも好きだったし、渋谷系も好きだったし、パンクも好きだったし。自分の中では、本当に自然なクロスオーバーだったんですよね。
──オフィシャルサイトでの今年12月に東京・STUDIO COASTで行われる10周年ライブの告知で、TGMXさんは「色々なことがあったし、時代もかわった。僕らは幸せな事に今もそれをやり続けている」と書かれていましたが、続くバンドと続かないバンドの違いっていうのは、どこにあると思いますか?
それを突き詰めると、音楽が本当に好きかどうかってことになってくると思います。バンドなんてめちゃくちゃ売れない限りは儲からないですからね。それでも続けるのは、やっぱり音楽が好きだからなんですよ。だからメンバーには本当に感謝してます。バンドってずっとやっていくうちに、これは遊びなのか、それとも仕事なのかわかんなくなってくるんですよ(笑)。それぞれ家庭もあったりするわけだから、これはただの遊びではないんですけど、かと言ってやりたいことしかやってこなかった。音楽が楽しくて、追求したいことがあってやってたら、それが10年続いちゃったみたいな。そして、これからもやってみたいことがたくさんあるから続けていく。それを聴いてくれるリスナーがいるということは、本当に幸せなことだと思ってます、いつも。
- ベストアルバム「BEST SELECTIONS」/ 2014年6月4日発売 / Niw! Records / NIW-97
- [CD+ブックレット] 2484円 / NIW-97
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収録曲
- everybody say [introduction]
- hope
- wonderful world
- WHITE WORLD
- city lights
- TWO
- Putting on BGMs
- cool down clam down
- TRACE NONE
- missing piece
- picture of the sun
- tic tic
- MUSIC IS A BASIS
- POP OF D.
- Wish featuring TAKESHI ARAI from the band apart
- pairyland
- Flower of shanidar
- EVERY
- Waste of Time
- DAYS OF "R&S"
- Parties and our music echoes
- FLASH
- ライブ情報
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10th Anniversary BEST SELECTIONS RELEASE PARTY
- 2014年6月29日(日)
東京都 新代田FEVER(※チケット完売)
- 2014年6月29日(日)
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水戸一隅―MitoIchigu
- 2014年7月5日(土)
茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2014年7月5日(土)
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TOWER RECORDS SENDAI PARCO 6th Anniversasy "仙台一偶"
- 2014年7月6日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2014年7月6日(日)
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ROKKO SUN MUSIC 2014 ~Music Shower from the Sun!~
- 2014年7月12日(土)
兵庫県 六甲山カンツリーハウス
- 2014年7月12日(土)
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聖地巡礼!! 2014 ~夏期講習編~
- 2014年8月17日(日)
滋賀県 豊郷小学校旧校舎群内講堂
- 2014年8月17日(日)
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BAYCAMP 2014
- 2014年9月6日(土)
神奈川県 東扇島東公園
- 2014年9月6日(土)
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10locations
- 2014年11月7日(金)
宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2 - 2014年11月8日(土)
千葉県 千葉LOOK - 2014年11月11日(火)
愛知県 APOLLO BASE - 2014年11月12日(水)
香川県 高松TOONICE - 2014年11月14日(金)
福岡県 Queblick - 2014年11月15日(土)
広島県 福山Cable - 2014年11月16日(日)
大阪府 LIVE HOUSE Pangea - 2014年11月18日(火)
宮城県 仙台MACANA - 2014年11月19日(水)
岩手県 the five morioka - 2014年11月21日(金)
北海道 BESSIE HALL
- 2014年11月7日(金)
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FRONTIER BACKYARD 10th anniversary presents "10 surroundings"
- 2014年12月14日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
FRONTIER BACKYARD
(フロンティアバックヤード)
スカコアバンド・SCAFULL KINGのメンバーであるTGMX aka SYUTA-LOW TAGAMI(Vo)、KENZI MASUBUCHI(G)、福田“TDC”忠章(Dr)の3人が活動休止中に結成したスリーピースバンド。2001年のエスカレーターレコーズのコンピレーションアルバムへの参加を機に活動を開始する。2004年9月に1stアルバム「FRONTIER BACKYARD」をリリースして以降精力的に作品を制作し、2013年9月には5thアルバム「fifth」を発表した。2014年6月、CDデビュー10周年を記念したベストアルバム「BEST SELECTIONS」をリリース。12月に"10 surroundings"と銘打ったライブイベントを東京・新木場STUDIO COASTで開催する。