ナタリー PowerPush - fripSide

小室哲哉とのコラボで見せた デジタルJ-POPの最高到達点

6thシングル「sister's noise」が5月20日付けのオリコン週間シングルランキング第1位に輝いたfripSide。そんな彼らが「sister's noise」発表からわずか3カ月後に見せた次なる一手は我々の度肝を抜くものだった。

その手とは「小室哲哉とのコラボレーション」。8月21日リリースの7thシングル「eternal reality」の表題曲はfripSideのトラックメーカー・satと小室の共作曲。小室が制作したトラックに、satが新たな解釈を加え、そのトラックにさらに小室が手を加える、文字通りの「コラボレーション」「リレーション」のもと生まれた、fripSideの新機軸にして、satの提唱するジャンル「デジタルJ-POP」の決定版的1曲となっている。

この快作はいかにして誕生したのか。satと南條愛乃(Vo)の2人に聞いた。

取材・文 / 成松哲

検証! オリコン1位は「ハプニング」なのか?

──まずは「sister's noise」のオリコン週間シングルランキング1位獲得、おめでとうございます!

sat南條愛乃 ありがとうございます。

──ナショナルチャートの1位に輝くと心境って変わります?

sat まあ、やる気は出ましたね(笑)。普段順位ってあまり重視していないんですけど、さすがに1位って獲りたくても獲れるものじゃないじゃないですか。だから「応援してくれた皆さんにはホントに感謝したいな」「これからもがんばらなきゃな」っていう気持ちにはなりました。あとはなんかもう「ただただスゴいなー」って感じかなあ。

南條 そうですね。もう驚きしかないというか……。

sat ハプニングだよね(笑)。

──そしてお2人が次に起こしたアクションは小室哲哉さんとの共作。当然「『sisiter's noise』1位、バンザーイ! この勢いで小室哲哉にオファーだ!」って話ではないですよね。リリース間隔が3カ月しかないわけだし。

sat もちろん(笑)。確か「sister's noise」はまだできてない頃、寒かった時期には「小室さんとやりたい」っていう話を進めてたんじゃないかな。

──なら、1位獲得は「ハプニング」じゃない気がします。ハナから2013年のfripSideは攻勢を仕掛けるつもりだったんじゃないか。1位になるかどうかは時の運だけど、それでも「sister's noise」は勝負曲、それも圧勝を収める確信があって作った曲なんじゃないか、って。

sat ああ、どうかなあ。確かに昨年末の結成10周年記念ライブで「2013年のfripSideは思いっきりやるから」ってお客さんの前で宣言しましたし、そのライブの前には10周年記念盤の「Decade」(2012年12月リリース)も制作していて。そういう節目的な活動をしているうちに僕と南ちゃん(南條)のユニットの完成度、洗練度みたいなものが上がってきている気はしています。「今ならサウンド的にもステージング的にも、どんな舞台でもやれちゃうよな」っていう感じがしたというか。だから「2013年は勝負を賭けようぜ」とは思っていたし、2013年一発目の「sister's noise」はそのための1曲。ファンの方が一番気持ちいいと思うだろうポイントに改めて剛速球を投げたつもりではいたんですけど、正直、結果が出たことにはホッとしたというか。渾身の1曲だっただけに、もしこれで売れなかったら「オレたち、何を武器にこれから闘えばいいんだろう?」って迷っていたと思うので。

南條 (何度もうなずく)

「satさんは有言実行でスゴいなあ」

──あっ、南條さんも自信や確信を強く持っていたわけではない?

南條 「売れるかも!」みたいな自信はもちろんなかったですね。

──オリコン1位はハプニングだったわけですもんね。

南條 ええ。でも「sister's noise」を初めて聴いたとき「今までとはちょっと違うな」とは感じていたというか。それプラス、私にとっては昨年末のライブの存在がすごく大きくて。あのライブをやったおかげで「改めてがんばっていこう」っていう気持ちになれたんですよね。「sister's noise」はそういうライブのあとの第1弾シングルだったので、作るとき、ちょっと気合いが入っていた気はします。

──その気合いがいい結果を生んだってことなんですかね。

南條 もちろんそれがすべてではないんだけど、そういう面もあるんだとは思います。ただ個人的にはホントに「2013年はやってやるよ!」みたいな気持ちはまったくなくて。というのも、fripSideの活動について「今後こういう動きがあってこうなるらしいよ」って事前に聞かされることってほとんどなくて。だいたいのことはファンの方とそう変わらないタイミングで知らされるんですよ(笑)。

──じゃあ、昨年末の10周年記念ライブでsatさんが「2013年のfripSideは思いっきりやるから」って言うのを聞くまでは……。

南條 今年は春頃「とある科学の超電磁砲S」(「超電磁砲S」)のテーマソングの「sister's noise」っていう曲を出すってことしか知りませんでした(笑)。だからsatさんのMCを聞いて「へえ、じゃあ『sister's~』のあとにも、なんかいろいろやるのかなあ」って思ったくらいで。小室さんとコラボするって聞かされたときも「えーっ!?」「ホントにー!?」ってビックリしましたし。

──それって「fripSide、小室哲哉とコラボ」というニュースを聞いたときの我々のリアクションとまったく同じですよ(笑)。

南條 そうだと思います(笑)。「MCで言っていた通り『sister's noise』で結果を出して、小室さんとのコラボも実現しているsatさんは有言実行でスゴいなあ」って思いましたから(笑)。

──なんでそんなに他人事っぽいんですか!(笑)

南條 なんかいつもライブのお客さんやファンの方と同じ目線になっちゃうんですよねえ(笑)。

ニューシングル「eternal reality」 / 2013年8月21日発売 / ジェネオン・ユニバーサル
初回限定アニメ盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCA-0305
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCA-0306
通常盤 [CD] 1260円 / GNCA-0307
初回限定アニメ盤 CD収録曲
  1. eternal reality
  2. waiting for the moment
  3. eternal reality – TV size –
  4. eternal reality – instrumental –
初回限定アニメ盤 DVD収録内容
  • 「eternal reality」PV – anime ver. –
  • Special Interview
  • SPOT – In Stores Now ver. –
  • 「sister's noise」TVアニメ「とある科学の超電磁砲S」オープニングテーマ -ノンテロップver. -
  • 「sister's noise」LIVE 2013.3.22 @SHIBUYA O-EAST “リスアニ!CIRCUIT Vol.03”
初回限定盤 CD収録曲
  1. eternal reality
  2. scorching heart
  3. eternal reality – instrumental –
  4. scorching heart – instrumental –
初回限定盤 DVD収録内容
  • 「eternal reality」PV
  • PV making
  • SPOT – In Stores Now ver. –
  • 「sister's noise」LIVE 2013.3.22 @SHIBUYA O-EAST “リスアニ!CIRCUIT Vol.03”
通常盤 収録曲
  1. eternal reality
  2. scorching heart
  3. eternal reality – instrumental –
  4. scorching heart – instrumental –
fripSide(ふりっぷさいど)

コンポーザー&プロデューサーのsatこと八木沼悟志と声優としても活躍する南條愛乃(Vo)からなるユニット。2002年から活動開始し、2008年に初代ボーカルnaoとsatでデビュー。2009年に南條愛乃が加入し、テレビアニメ「とある科学の超電磁砲」のオープニングテーマ「only my railgun」をリリース。その後もアニメやゲームに楽曲を提供していき、2010年発売のアルバム「infinite synthesis」ではその存在感を確固たるものとした。2011年8月に発売された4thシングル「Heaven is a Place on Earth」はアニメ映画「劇場版ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH」の主題歌に起用。これまでとは異なるさわやかなサウンドで、ファン層を拡大した。2012年12月には結成10周年を記念したアニバーサリーアルバム「Decade」をリリースした。2013年5月には結成11年目第1弾作品となるシングル「sister's noise」とライブBlu-ray / DVD「10th Anniversary Live 2012 ~Decade Tokyo~」を同時に発表。「sister's noise」はオリコン週間シングルランキングでfripSide初となる1位を獲得した。そして同年8月、小室哲哉とのコラボ曲となる表題曲を含むシングル「eternal reality」をリリース。