キャリア凝縮した「Wake Up BABY」

──「ベビー誕生！」の話も聞かせてください。どういうきっかけで作ったアルバムなんですか？

ひろせ　これは4月にCD出したいっていう話があがって、初めての全国流通盤だし、もっとフレンズをいろんな人に知ってもらうための自己紹介的アルバムを作ろうと思って制作していきました。既存曲もありつつ、足りない部分を新曲で補っていった感じですね。

SEKIGUCHI　「シンデレラガール」はひろせの誕生日イベントで演奏したよね。だいぶ古い曲。

──そうなんですね。それ以外の曲で、昔からあった曲はありますか？

おかもと　「Wake Up BABY」ですね。前に私が書いた曲で、ひろせにアレンジしてもらったらどうだろう？と思ってお願いしたら、すごくいいものができたので今回収録することにしました。

ひろせ　このアルバムに太郎さんがもともとやっていたHOLIDAYS OF SEVENTEENのパワーコード感が欲しいなって思ったんです。「Wake Up BABY」はパワーコードを取り入れたアレンジにできそうだったし、前からやりたかった涼平さんのベースから始まる曲にできると思ったので、今回アルバムに入れました。

おかもと　あと「Thema」って曲は大学の仲いい友達が結婚したときに作った曲です。私が作った曲を結婚パーティのときに大学の友達グループで合唱するのが恒例になっていて、もともとはピアノ伴奏に8人ぐらいの合唱を乗せた曲で。この曲もひろせに「どうかな？」って聞いたら、いい曲だからフレンズでやろうってことになって、タイトルをちょっと変えてこの曲になりましたね。「DON'T STOP」は暗い曲を書くのが得意で、そういう曲が欲しくて勢いで書きました。

──フレンズのサウンドプロデュースは基本えみさんとひろせさんでやっているんですね。

ひろせ　そうですね。えみそんからデモが送られてきたのを僕が形にして、えみそんが「いいじゃん」って言ってくれたらみんなに投げるみたいな感じです。僕が作る場合はえみそんに1回送って、よさそうだったらみんなに共有しています。あとはえみそん以外のメンバーから「こういう曲が欲しい」っていうリクエストをもらって作ることもあります。

楽曲はボーカルに左右される

──ミュージカルチックな「元気 D.C.T～プロローグ～」は聴いたときに面食らいました。これはどういうきっかけで作った曲なんでしょうか？

ひろせ　太郎さんのファンからの「太郎さんに歌わせてください」って声が多かったんですよ。僕はもちろん太郎さんが歌がうまいことわかってたし、みんなが言うなら太郎さんを歌わせるための曲を作ろうと思って作りました。ミュージカルっぽくなったのは当時僕が「アナと雪の女王」にハマっていたからです。友達がカラオケで「アナと雪の女王」の劇中歌を歌っているのを聴いて「男女ツインボーカルならこういうことができるんだ」って思ったんです。まあ、僕がこういうおふざけみたいなのをやっても普通だから、太郎さんにやってもらいたかった。太郎さんが元気になっていくところからは全部ノリ。悪ノリです（笑）。太郎さんをフィーチャーしたかったっていうだけ。歌詞はアイデアをえみそんに投げたら速攻で返ってきたんですよ。

おかもと　朝9時くらいに太郎くんが元気ないことにしようと思いついて物語をガーッと書いたんです。できあがってひろせに投げて、その日の昼の12時に曲ができて。

ひろせ　まあまだプロローグなんで……今後も期待していてください。

──リードトラック「塩と砂糖」はハッピーなパーティチューンです。

おかもと　この曲は料理で塩と砂糖を間違えても「それでも好きだよ」って言ってくれるような関係っていいなと昔から思っていて、それを曲にしたんです。フレンズって第三者に対して歌う曲があまりなかったので、カップルを見ているフレンズたちを描いた曲を作ってみました。

──この曲もそうですけど、フレンズは恋愛の曲が多いですよね。フレンズっていうバンド名なのに。

おかもと　言われてみるとそうかもしれないです。私は少女マンガが好きだからそういう世界に影響されている部分はあるかも。歌詞は本当に自分の中にあるものをそのまま出してるんですよね。肩の力を抜いて歌詞を書くと自然とこうなります。

──メインで作曲を手がけているひろせさんはnicotenとフレンズで曲をどう書き分けてるんですか？

ひろせ　ボーカルの歌っていて得意なゾーン、うまく歌ってもらえるゾーンを理解して、そこにきちんとメロディを当ててて曲を書いてますね。僕は雰囲気で曲ができるタイプじゃなくてロジックで曲を作るタイプなので。フレンズだったらえみそんはこういうふうに歌うと発音がピシっとハマるなとか、nicotenだったら宮田（航輔）くんは高いロングトーンは苦手だから、低くてボソボソと歌わせるほうがハマるなとか考えながら曲を作っています。楽曲提供の話が来たらその人の歌い方のクセや声質に合った曲を書くようにしてます。誰のための曲かっていうので曲を書いて、アレンジまで考えますね。

──プロデューサー気質なんですね。

ひろせ　いつかはそうなりたいなと思って毎日過ごしてます（笑）。

みんなを喜ばせるために東京ドームでライブをしたい

──フレンズは今、バンドとして軌道に乗ったタイミングですよね。TOWER RECORDSのレコメンド企画「タワレコメン」やHMVのイチオシアーティスト「エイチオシ」に選ばれたり、フェスにも引っ張りだこで。そんなフレンズですがこれから先、どういうバンドになっていきたいですか？

ひろせ　これはえみそんが代表して話します。

おかもと　ライブ中に宙に浮きたいんです。イリュージョンみたいな演出もしたい。そういうのはライブハウスじゃできないので、めっちゃ売れて最終的には東京ドームでライブをやりたいですね。フレンズのライブに来てくれるお客さんたちはいつも超楽しそうにしてるんですね。これがもし250万人規模になったらもっと楽しくなるんじゃないかなって。私自身がその景色を見たいのもあるし、宙に浮きたいという欲もある。全部を叶えるためには売れるしかない。それが私の目標でありフレンズでやりたいことです。

長島　僕らもえみそんを飛ばしたいんですよ、エグいぐらい高くまで。で、欲を言えば僕らも飛びたい。

おかもと　曲の途中で太郎くんがヘリに乗って、アウトロで帰ってきたりね。

──バンドというより、パフォーマンス集団ですね（笑）。

ひろせ　あはは（笑）。大きいところでやるっていうのはもちろん、野望はいろいろあるんですけど、フレンズでやりたいことがたくさんあるからそれを叶えるために、率直に言えば売れたいです。とにかく売れたい。みんなでおいしいごはん食べたいし、もっといい曲書けるような環境を作りたいし。あとはみんなのアイコンになりたいっていうのがありますね。というか、フレンズはアイコンになれると思ってます。

おかもと　なりたいね。あとは、おばあちゃんとか、両親の喜ぶ顔をみたいです。

三浦　セカンドキャリアだからそういう思いが強いのかもしれない。いろんな人に恩返ししたいというか。

SEKIGUCHI　確かに。

ひろせ　ただ、周りを喜ばせたいんです。

──自分が成功したいよりも、その姿を見せてみんなに喜んでもらいたい？

ひろせ　その通り！ 自分が飛びたいというよりは、みんなに楽しんでもらいたいだけですね。

おかもと　それに賛成です！