フレンズは本気でやってる部活
──最近はバンドを掛け持つアーティストが増えたなと思うんですよ。川谷絵音さんはゲスの極み乙女。とindigo la Endをやっているし、yahyelとDATSはメンバーが半分近くかぶっていたり、never young beachの阿南智史さんがPAELLASを掛け持ちしていたり。フレンズも掛け持ちメンバーがいるバンドの1つですよね。
長島 バンドを掛け持つことはひと昔前はあんまりよしとされてなかった感じがあるというか、僕自身は好きなアーティストがいて、その人が新しいプロジェクトを始めてもそっちを聴き始めるまでに時間がかかってしまっていたんですよ。でも今は悪いことじゃない風潮があるし、リスナーも抵抗なくどんどん新しいものに手を出していくのが普通になってる。だからアーティスト側もいろいろやってみるのは全然悪いことじゃないと思うんです。
ひろせ 涼平さんはけっこう前からそういう話をしていましたよね。僕も同じ考えで、バンド名って要は“名前をつけて保存”の“名前”にしか過ぎないと僕は思ってるんです。だって曲を作っているのはそれぞれのバンドにいるメンバーなわけで、アウトプットの方法が違うだけだから。僕はnicotenにはnicotenメンバーじゃなきゃできないサウンドがあると思うし、フレンズにもフレンズのメンバーじゃないとできないサウンドがあると思ってるので。
長島 そうだね。フレンズのメンバーがそろったときに初めてフレンズとして機能するというか……プレイヤー個人は個人でしかないんですよ。例えば、えみそんがソロでやるときに、フレンズのおかもとえみなのか科楽特奏隊のエミソンヌなのか、それは受け取る側の判断じゃないですか。
おかもと でも私の場合は別人になった感覚なんですよ。科楽特奏隊では地球を守るために生きているエミソンヌとして活動しているし、ソロは生まれたまま、育ってきたままのおかもとえみ。そうやっていろいろできるのは単純に楽しいです。フレンズはソロのおかもとえみに近いんですけど、バンド名に沿うように仲良くやってますね。例えるなら本気でやってる部活みたいな。
ひろせ 部活感はあるね。
おかもと 野球部が甲子園目指してがんばるみたいなそういう感覚です。
J-POPから受けた影響、神泉系を名乗る理由
──楽曲についても話を伺いたいんですけど、フレンズの楽曲の特徴の1つとして男性のラップと女性ボーカルの掛け合いというのがあると思うんですね。これって2000年前後のJ-POPでよくあった構成だなと思うんですよ。例えばglobeやmihimaru GT、EE JUMPとか。楽曲を手がけているえみさんとひろせさんは1990年生まれなので、そういう楽曲が流行っていたのは小学校の高学年くらいから中学生くらいですかね。
ひろせ あの頃のJ-POP、すごく好きなんですよね。僕は最近のバンドの曲やJ-POPは4分間の間ずっと無駄がないものが多いなと思っていて。語弊があったらイヤなんですけど、長いギターソロとか男のラップみたいな「それ、いる?」って感じのパートがあるほうがフックがあるんじゃないかなと思っているんです。
──本当は女性ボーカルだけで歌は成り立つけど、そういうフックになる要素があるほうがいいと思ってるんですね。
ひろせ そうですね。
おかもと キラキラしたサウンドもその頃っぽいよね。カラオケでよく歌うような10代の頃に聴いていたJ-POPはフレンズのサウンドに大きい影響を与えていると思います。
──涼平さん、太郎さん、LOUIEさんもJ-POPがお好きなんですか?
長島 バリバリJ-POP好きですよ。でも世代がちょっと2人とはズレてるんですよね。僕はやっぱり小室ファミリーかな。globeのコンサートとかにも行ってたし、TRFも大好きでした。
ひろせ あとね、僕らは俄然モー娘。世代ですから。
おかもと うん、ドンピシャ世代。
三浦 「モーニングコーヒー」は名曲だよね。
ひろせ いやいや、僕らは「LOVEマシーン」が小学生の頃に流行ってました。
おかもと あと「ハッピーサマーウェディング」とかね。
長島 福田明日香のよさがわからない人たちってこと? マジかよー!
おかもと ゴマキ最強って思ってた世代です。
──LOUIEさんはフレンズでは涼平さん、太郎さんと共に“年長組”にくくられてますが、ひろせさんとえみさんとのほうが歳が近いんですよね。
SEKIGUCHI そうですね。ひろせとえみそんの2つ上なので。今までやってきたバンドや交友関係的に歳上といることが多いので、自然と年長組扱いになっています。今のJ-POPトークで言うと、ひろせとえみそんが言ってることのほうがわかる。幼少期は親の影響で洋楽を聴くことが多かったけど、ブラックビスケッツとかSPEEDとか、モー娘。なんかは耳馴染みがありますね。
ひろせ みんなルーツとしてJ-POPはあるけど、バンドをやり始めて聴かなくなる人もいるじゃないですか。でも僕はずっとJ-POP漬けなんですよね。だからフレンズのサウンドではJ-POPらしさを意識しています。
──なるほど。話は変わるんですが、フレンズが“神泉系バンド”って名乗ってるのはなぜなんですか? 神泉は井の頭線の渋谷の隣の駅で、道玄坂を登りきったあたりのことを指すと思うんですが。
ひろせ 神泉系を名乗り始めたのは、えみそんに歌詞を書いてもらうときにテーマとして「神泉系でお願い」って頼んだのが始まりです。それで「ベッドサイドミュージック」を発表して、そのまま「神泉系」って名乗り始めて。特に意味もなく神泉系って名乗っていたらいろんな人から「神泉っぽいよね」って言ってもらうことも増えてきたので、僕なりに神泉をイメージして曲を書いてますね。
おかもと 私も神泉をイメージして歌詞を書いてます。元ギャルの私からしたら渋谷はたまり場だったりするんですけど、神泉ってマルキューとかあるエリアより落ち着いてるじゃないですか。パリピの街も近いけど落ち着いた場所っていうのが神泉っぽいイメージなんです。「ベッドサイドミュージック」とか初期の頃の曲の歌詞は落ち着いた感じの神泉ど真ん中のイメージなんですけど、「ベビー誕生!」にはマルキュー寄りの曲もありますね。
ひろせ 一応リハスタも神泉なんですよ。僕らプロフィールに神泉系って書いてるし、「神泉から来ました」とか言ってるけど、「じゃあ具体的にどういうところが神泉なんですか?」って言われたら答えられなくて。だからどの曲が神泉系ですか?って言われたら別に……。
──この5人で演奏することに意味があるっていう話もさっきあったので、フレンズの5人が演奏する音楽は全部神泉系というくくりでいいでしょうか(笑)。
おかもと それだ! それでいきたいです!
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キャリア凝縮した「Wake Up BABY」
- フレンズ「ベビー誕生!」
- 2017年4月5日発売 / ピマラヤレコーズ
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[CD]
2500円 / QYCL-10008
- 収録曲
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- ビビビ
- シンデレラガール
- Wake Up BABY
- DON'T STOP
- 夜明けのメモリー
- Thema
- 塩と砂糖
- 元気 D.C.T~プロローグ~
- そんなかんじ
- フレンズ「~ベビー誕生!リリース記念~フレンド申請ツアー2017」
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- 2017年5月12日(金)埼玉県 Livehouse KYARA
出演者フレンズ / lovefilm - 2017年5月14日(日)北海道 COLONY
出演者フレンズ / FOLKS - 2017年5月20日(土)宮城県 enn 3rd
出演者フレンズ / アカシック - 2017年5月24日(水)長野県 LIVE HOUSE J
出演者フレンズ / NECOKICKS - 2017年5月27日(土)福岡県 graf
出演者フレンズ / 南波志帆 - 2017年6月10日(土)広島県 HIROSHIMA 4.14
出演者フレンズ / Awesome City Club - 2017年6月11日(日)香川県 高松TOONICE
出演者フレンズ / Awesome City Club - 2017年6月17日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
出演者フレンズ / 関取花 - 2017年6月18日(日)愛知県 APOLLO BASE
出演者フレンズ / THE BOY MEETS GIRLS - 2017年6月23日(金)東京都 東京キネマ倶楽部
出演者フレンズ / Czecho No Republic
- 2017年5月12日(金)埼玉県 Livehouse KYARA
- フレンズワンマンツアー「シチュエーション・コメディ season2」
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- 2017年9月15日(金)宮城県 enn 2nd
- 2017年9月17日(日)北海道 Sound Lab mole
- 2017年9月21日(木)愛知県 APOLLO BASE
- 2017年9月22日(金)大阪府 umeda TRAD
- 2017年9月24日(日)福岡県 graf
- 2017年9月29日(金)東京都 LIQUIDROOM
- フレンズ
- 2015年6月におかもとえみ(Vo / 科楽特奏隊)、ひろせひろせ(Vo, Key / nicoten)、長島涼平(B / FINAL FRASH、the telephones)、三浦太郎(G / ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr / ex. The Mirraz)の5人で結成された“神泉系”バンド。2016年5月に東京・THREEにて初のワンマンライブ「シチュエーションコメディ vol.1」を開催した。会場および通販限定で発表した1stミニアルバム「ショー・チューン」が好評を博し、各地のイベントやフェスに多数出演。2017年4月に初の全国流通盤となる1stアルバム「ベビー誕生!」をリリースし、5月からは対バンツアー「~ベビー誕生!リリース記念~フレンド申請ツアー2017」で全国10カ所を回る。さらに9月には6都市を回る全国ワンマンツアー「シチュエーション・コメディ season2」を予定している。