音楽ナタリー Power Push - fox capture plan
「年内にアルバム3枚」有言実行した彼らの最高傑作
Museカバー選曲の理由
──fox capture planのアルバムで恒例となっている洋楽カバーは、今回Museの「Plug In Baby」で、これまでカバーしてきた1990年代のナンバーから2000年代に突入ですね。
岸本 そういうことですね。勘がいい人はわかると思う(笑)。「COVERMIND」で90年代シリーズはもう十分かなって思ったので、2000年代シリーズに突入です。2010年代も折り返しなんで、ちょうどいいかなって。でも、2000年代の海外の音楽って90年代ほどの知識がなくて、改めていろいろ聴いてみたときに、2000年代になった瞬間にブレイクして日本でも人気が出たバンドって、やっぱりMuseかなって思ったんです。で、この曲がブレイクのきっかけになった曲で、すごくいいなって思って今回チョイスしました。
井上 Museは昔自分がやってたバンドでもカバーしたことがあったし、ちょうどアルバム制作に入るあたりに新作(「Drones」)が出て、フジロックにも来たから、いろんなとこでMuseの名前を耳にしてたんですよね。
──バッチリなチョイスだと思います。日本人はホントMuseが好きな人が多くて、フェスにMuseが出る日はMuseのTシャツを着てる人の割合がすごいなっていつも思ってて(笑)。
井上 渋谷で撮ったMVとかもありますよね(「Panic Station」)。
岸本 いい曲いっぱいあったんで、選曲は迷ったんですけど。
──でも、この曲が初期の定番ですよね。
岸本 ですよね。Radioheadの「Creep」にも通じるメロディラインとかコード進行で、「Creep」の2000年代版なんかなってイメージですね。
──9曲目の「In the darkness」は「ヤメゴク」用に作られた曲のリアレンジですね。
カワイ この曲は今年5月のUNITでのワンマンのときにやってるんです(参照:fox capture planワンマンで多彩作品群から厳選セトリ熱演)。
岸本 ライブでやるにあたってフルサイズにアレンジしたので、僕たちとしては珍しく、ライブで先に形にしたのを音源化したっていう。
カワイ ちょうど「ヤメゴク」がオンエアされてるときにツアーがあって、でも劇伴だと2分くらいだったから、ツアー始まる前日のリハでアレンジして、次の日にいきなりライブでやって。
岸本 僕の中では、今までのfox capture planらしさみたいなところからちょっと解放された曲で。わりと無表情な曲を意識的に、制約的に書いてきたんですけど、これは劇中音楽なので、人間の心理を描写するような曲を作ってみようと思ってできた曲なんです。そうしたら、こういう方向性も全然いいやんと思って、今後喜怒哀楽を表したような曲も書いていきたいなって。実は、僕の中では作曲家としてのターニングポイントみたいな曲なんです。
すごくメモリアルな、1つの大きな通過点
──次の曲は「In the Darkness」から一転、「Christmas comes to our place」という、文字通りのクリスマスソングですね。
岸本 これも「こういう路線もありやな」っていうか、「In the Darkness」の逆で、ほっこりするようなのを書いてみようと思って。fox capture planに抽象的なイメージを持ってる人も多いと思うんですけど、それをいい意味で裏切ることをやりたかったし、ツアーの日程的にもちょうどいいから、クリスマスの曲を書いてみようと。イメージを崩すことなく、アルバムのいいフックになる曲になったと思いますね。
──そしてラストは「Supersonic」で、これはある意味fox capture planの王道路線をさらにアップデートしたような曲という印象を受けました。
岸本 「疾走する閃光」とかの延長線上にある曲かもしれないですね。ただ、「疾走する閃光」はわりとポストロックっぽい、トリッキーな部分もあったけど、これに関してはそういう要素はあんまりなくて、ストレートな王道ロックっていうイメージですね。今回はよりリミッターを外した作品になったというか、曲順にしても、本来なら「Supersonic」は序盤に来る曲だと思うんですけど、ほかにもいい役者ぞろいだったし、一瞬の輝きみたいな感じで終わるのもいいなって思ってこの構成になりました。
──今回の作品でfox capture planにとっての1つのサイクルが終わるような、そんな感触もありました。
岸本 確かに、このアルバムが1つの節目になるんじゃないかって気はしてますね。「the beginning of the myth」シリーズも今回で完結したし、今後は2000年代カバーシリーズが始まりますっていう伏線も張りつつ……。
──「In the darkness」で新しい方向性も見えましたしね。
岸本 そうですね。今回のツアーの東京公演がLIQUIDROOMワンマンなんですけど、結成当初の2011年に初めてライブをやって、そのときに「LIQUIDROOMでワンマンできるくらいになりたいね」って言ってたんですよ。当時は雲をつかむような話だったんですけど、それが4年で実現に至ったっていうのはすごく感慨深いですね。もちろん活動はこれからも続くんですけど(笑)、今回の作品はすごくメモリアルな、バンドにとっての1つの大きな通過点になりそうです。
収録曲
- the beginning of ....
- the last story of the myth
- Butterfly Effect
- 混沌と創造の幾何学
- ...with wind
- inchoate
- Plug In Baby(※オリジナル:Muse)
- Kaleidoscope
- In the darkness
- Christmas comes to our place
- Supersonic
fox capture plan "LIKE A BUTTERFLY TOUR"
- 2015年11月13日(金)北海道 Zepp Sapporo
- 2015年11月28日(土)福岡県 Early Believers
- 2015年11月29日(日)広島県 HIROSHIMA 4.14
- 2015年12月1日(火)京都府 METRO
- 2015年12月2日(水)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2015年12月4日(金)大阪府 梅田ZEELA
- 2015年12月5日(土)愛知県 伏見JAMMIN'
- 2015年12月6日(日)静岡県 MESCALIN DRIVE
- 2015年12月9日(水)宮城県 enn 2nd
- 2015年12月11日(金)東京都 LIQUIDROOM
- 2015年12月16日(水)長野県 ALECX
- 2015年12月17日(木)新潟県 CLUB RIVERST
- 2015年12月18日(金)福井県 福井CHOP
- 2015年12月19日(土)石川県 Manier JAZZPRESSO
fox capture plan(フォックスキャプチャープラン)
岸本亮(Key / JABBERLOOP)、カワイヒデヒロ(B / Immigrant's Bossa Band)、井上司(Dr / nhhmbase)というトリオ編成によるバンド。それぞれ違った個性を持つバンドで活動する3人が集まり2011年に結成。“現代版ジャズロック”をコンセプトとした情熱的かつクールで新感覚なサウンドは、数回のライブからじわじわと話題を集め、2012年8月にタワーレコード新宿店のみで発売したCD-R「Sampleboard」がノープロモーションにも関わらずフロアデイリーチャート1位を記録。2013年5月には初のフルアルバム「trinity」、2013年12月に2ndアルバム「BRIDGE」をリリースした。2015年はfox capture planとして3枚のアルバムをリリースすると宣言し、4月にミニアルバム+ライブDVD作品「UNDERGROUND」、7月にカバーアルバム「COVERMIND」、11月にオリジナルアルバム「BUTTERFLY」を発表した。