ナタリー PowerPush - fox capture plan
ピアノトリオの“現代版ジャズロック”がリスナーを射止める理由
構想は4年くらいあったかも
──それではfox capture planの話をお聞きします。結成は2011年だそうですね。
岸本 はい。厳密に言うとその前の年から声をかけ始めていて、実際曲を作り出したのが2011年の春でした。動き始めて2年半くらいです。
──動きを起こしたのはリーダーの岸本さん?
岸本 そうです。なんかJABBERLOOPの音楽性とか方向性がはっきり見えてきた頃に、俺ああいうのもやりたいし、こういうのもやりたいなって思っていて、じゃあそれを1つにまとめてやろうと。そういう思いがきっかけで作りました。構想は4年くらいあったかもしれません。
カワイ 僕はクラブでたまたま会ったときに岸本くんから「なんかやろうよ」って話をされて。でもピンとくるドラマーがずっと見つからなくて、司くんに声をかけたのが2010年の年末か。
──岸本さんは、メインのバンドとは違う場所で新しく何かしたいという欲求があったんですか?
岸本 そうですね。なんか1つのバンドに縛られてるのも面白くないよな、スタンダードジャズとコンテンポラリージャズの両方やりたいね、くらいの軽いノリで始まったんですけど。
カワイ 一応「こういう雰囲気のものをやりたいんだよね」っていう音源は聴かせてもらったよね。
岸本 e.s.t.とかAvishai Cohen TrioとかThe Bad Plusとか、ポストロック系ではJaga Jazzistとかですね。「コンテンポラリージャズとポストロックを融合したような音楽」っていうざっくりしたコンセプトはありました。で、最初に集まったときにどういうのをやるかすり合わせをして。もともと3人とも打ち込みの音楽が好きだったりバックグラウンドが共通する部分もあったし、2人とも器用だから(笑)、わかってもらえました。
カワイ 一番初めのスタジオのときだけさ、なんかすごいスタンダードなことやろうとしてたよね。
井上 そうっすよね。
岸本 なんかもうちょっとビート感がちょっと弱いような、アンビエントなものをやろうとしてたかも。やっぱりそのときはまだ固まってなかったんだと思うよ。バンド名もなんも決まってないとき。
カワイ で、そこからしばらく経って、2011年の6月とかにまたスタジオ入ったときに曲録ったんだよね。
──あ、もうオリジナル曲を?
岸本 最初のミニアルバム(「FLEXIBLE」)に入ってる「capture the Initial "F"」っていう曲です。
井上 それが送られてきて「めっちゃいい曲!」と思って連絡を取り合って、急にスタジオ入ることになったんです。これは新しいと思って。
カワイ それで僕は「こういう系だったら」と浮かんだので「Flexible」っていう曲を書いて。そこからはトントン拍子で毎週のように曲ができていきましたね。
今ならアコースティックな編成でジャズロックができる
──このバンドはサウンドコンセプトに“現代版ジャズロック”を掲げていますよね。“ジャズロック”はわかるんですが、“現代版”とは具体的にどういうことなんでしょうか。
岸本 現代版。難しいところですね(笑)。
──音楽的に何を加えると現代版になるのかなと。
岸本 ジャズロックって1970年代ぐらいに当時のジャズとロックを融合させた音楽だと思うんですけど、それと方法論的には一緒かもしれないですね。2010年を越えた今のジャズとロックの融合。
カワイ でも、このバンドにジャズの要素はアコースティックピアノとウッドベースっていう楽器しかなくて、4ビートの曲もやらないし、どこがジャズなんだろうってたまに思いますけどね(笑)。ジャズバンドって言われるときもあるけど、ジャズじゃねえなって。
岸本 ジャズの世界においては、司くんのドラムって打点バリバリみたいな感じでたぶん異質だと思うんですよ。逆にロックの世界だとウッドベースってそんなに用いられない。きっと今は録音の技術や、ライブで再現する技術が発達してきてるから、その融合ができてるんだと思います。昔にグランドピアノとウッドベースとドラムで“ジャズロック”って言うのはたぶん無理があったと思うんですけど、今ならできるかなって。そういう気持ちもあってこのアコースティックな編成でやってるんですよね。
カワイ あと、ピアノにエフェクトかけたりするのはちょっと狙ってますけど。
──ピアノにエフェクトをかけるのもそうですし、ループ感のあるメロディだったり、ダブステップの要素を取り入れてるのも今っぽいですよね。
岸本 そうですね。YMOのシンセサイザーの音が発表当時は新鮮に捉えられたと思うんですけど、ジャズのピアノトリオの編成で今までになかったことをやるっていうのは衝撃なんじゃないかなって。衝撃とか自分で言っちゃったけど(笑)、貪欲にいろんなものを入れていこうと思って。
──自主的に狙ってやっているところもあるわけですね。
岸本 そうですね。やっぱり何か注目されることをやらないと意味がないとは思ってます。やっぱり最初のコンセプトオンリーじゃ限界があると思うんで、それプラスオリジナリティを出すために何かないかなっていろんな音楽を聴いて。だからダブステップっぽい曲とかはわりと狙って作ったところがあります。
──世間に刺さりそうなことを、と?
岸本 まあぶっちゃけそうですね。けど、かと言って自分たちがやりたくないことを曲げてやってるというわけでもないです。もちろん好きなことをやるのは前提で、むしろ面白がってる部分が大きいですね。
収録曲
- Attack on fox
- RISING
- Bridge #1
- Far out
- 閉ざされた青い空間
- Bridge #2
- Pictures
- 3rd Down(Alternate Take)
- Bridge #3
- Teardrop(Massive Attack)
「BRIDGE」リリース記念ライブ&サイン会
2013年12月26日(木)19:00~ タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
参加方法はこちら
「BRIDGE」レコ発ワンマンライブ
2014年3月26日(水)東京都 代官山UNIT
※詳細後日発表
LIVE INFORMATION
TRIO RIOT
2013年12月16日(月)神奈川県 powers2元住吉
詳細はこちら
カルメラ presents 東京ギンギンBATTLE
2013年12月20日(金)東京都 新代田FEVER
詳細はこちら
TRI4TH×fox capture plan tour
2014年1月17日(金)大阪府 CONPASS
2014年1月18日(土)愛知県 CLUB SARU
bohemianvoodoo & fox capture plan presents "color & monochrome"
2014年2月23日(日)東京都 a-bridge
fox capture plan(ふぉっくすきゃぷちゃーぷらん)
岸本亮(Key / JABBERLOOP)、カワイヒデヒロ(B / Immigrant's Bossa Band)、井上司(Dr / nhhmbase)というトリオ編成によるバンド。それぞれ違った個性を持つバンドで活動する3人が集まり2011年に結成。“現代版ジャズロック”をコンセプトとした情熱的かつクールで新感覚なサウンドは、数回のライブのみからじわじわと評判を集め、2012年8月にタワーレコード新宿店のみで発売したCDR「Sampleboard」がまったくのノープロモーションにも関わらずフロアデイリーチャート1位の売り上げを記録。同年10月にタワーレコード限定でミニアルバム「FLEXIBLE」、2013年5月には初のフルアルバム「trinity」をリリース。ロングヒットを記録する中、2013年12月に2ndアルバム「BRIDGE」を発表した。