flumpoolが2019年12月30日に大阪・大阪城ホール公演で開催したワンマンライブ「flumpool年末ライブ『FOR ROOTS』~シロテン・フィールズ・ワンスモア~」の模様が、2月27日(木)にWOWOWライブで放送される。
約1年間の活動休止期間を経て、2019年1月に再始動したflumpool。このたびオンエアされる大阪城ホール公演は怒涛の再始動イヤーを締めくくるライブとして行われ、バンドの復活を印象付ける集大成的なステージが繰り広げられた。今回のインタビューでは、メンバー4人に2019年の出来事やライブ当日の思い、そして2020年の展望について語ってもらった。
取材・文 / 中野明子 ライブ写真撮影 / 渡邉一生
見切り発車での復活
──年末の大阪城ホール公演は2019年のflumpoolを総括するようなライブだったと思うのですが、改めて再始動イヤーはどんな1年でしたか?
山村隆太(Vo, G) 不安定な年じゃないかな。
阪井一生(G) いや、逆に俺は安心した年だったな。2018年は山村の声が出ないとかそういうことに意識を持っていかれてたところがありましたから。でも去年は全然そういう心配がなかった。
山村 ああ、不安定な状態で始まり、安定していった感じかもね。僕はflumpoolを復活させたいという思いがあったけど、歌声が安定してなくて、60点ぐらいの状態で復活したんです。もちろんそのときのベストではあったんですけど、そのときの映像を観ても5、6割くらいしか声が出てなくて。内心は「いけるかな?」という気持ちもあったけど、実際は見切り発車みたいな状態でしたね。これがソロだったら完璧に治ってから復活してたと思うんですけど、バンドだから痛みも4分割かなと思って(笑)。
尼川元気(B) おいおい(笑)。
──実際に復活シングルの「HELP」の歌詞でも歌っているように、山村さんが1人ですべて背負い込むのではなく、メンバーに助けを求められるような状況でもあったということですよね。
山村 そうですね。あと、メンバーが「やろう!」と言ってくれたんで、最終的にはいけるかなと思えた。まあ、一生とかはギリギリまで止めてたけど。
尼川 俺も止めてたよ。でも、山村の気持ちを折ったらアカンのかなと思って、「あ、じゃあやろうか?」みたいな雰囲気になったんです。
山村 できるかどうかよりもやりたいっていう気持ちのほうが強かったんだよ。
──結果的に復活ライブ後はファンクラブツアーとホールツアーを開催して、最後は大阪城ホールでのワンマンライブを成功に収めました。
山村 そうですね。1年前に比べると、当日は想像できないぐらい安定してました。自分の想像を超えたというか。でも、大阪城ホールの公演は決まったのがけっこうギリギリだったよね。
阪井 そうね。9月くらいかな。
尼川 だからやるかどうかもすごい悩んだ。
──でも開催して正解だったと思います。尼川さんと小倉さんにとって2019年はどういう1年でしたか?
尼川 やることが多かったけど、充実した1年でした。それと復活した直後は「バンドとして及第点なんで復活します」と言ったんですけど、今思えば完全に及第点じゃなかったなあと。ギリアウトでしたね(笑)。でも、復活したからには進んでいくという感じは俺らっぽいなと思ったし。最終的には年末まで走り切れて充実感がありました。
小倉誠司(Dr) 俺は2019年はファンの皆さんに恩返しをすることができた年なのかなと思ってます。「今の俺たちを見てください」という思いで活動できた。大阪で復活して、大阪で1年を締めくくることができて、すごくいいストーリーができたと思います。
“リベンジ”“次”をコンセプトに
──確かにflumpoolが生まれた大阪で復活して、さらにそこで1年を締めくくるという美しい流れがありました。今回の大阪城ホールでのライブを開催するにあたっては、どんなコンセプトを設けましたか?
山村 まずは“リベンジ”というのがありました。2017年12月31日に大阪城ホールでカウントダウンライブをやる予定だったのが僕の歌唱時機能性発声障害で中止になって、活動を休止してしまったので……まずは中止になったライブに対するリベンジという気持ちがありました。
──ええ。
山村 それと、故郷に帰りたくなるときって過去を振り返りたい思いもあるだろうけど、「次に進みたい」「前に進むために帰る」というときもあると思うんです。ライブのタイトルにもあるシロテンは大阪城ホールの近くにある場所で、僕らが昔路上ライブをやっていたところなんです。そこに行くと失ってしまった気持ちを思い出したり、次に進むヒントをもらうことができたりして、「またここからがんばろう」と思える。“進むために戻る場所”というのが僕らにとっての大阪なので、年末のライブはリベンジだけではなく次につながるものにしたいと考えていました。
──本番で印象に残っていることはありますか?
山村 一番面白かったのはトレンチコートを着て4人でリムジンで登場したシーン。一生だけカッコつけて、葉巻をふかして、サングラスをかけて登場したんですけど、会場のお客さんは「紅の豚」のポルコ・ロッソのコスプレしてると思ったらしくて(笑)。
阪井 俺もあとで見直したけど、「紅の豚」かと思った(笑)。「『紅の豚』ではありません」とかテロップ入れてもらいたい。それはさておき、1年の締めとしてはすごくいいライブになったと思いますね。山村の声の調子もここ数年の中でも一番よかったし。
山村 確かに。
阪井 それを見越して、今までは避けていた曲もセットリストに入れたのでけっこう大変だったと思います。
──今回のセットリストはどうやって決めたんですか?
尼川 ホワイトボードにそれぞれやりたい曲を書いて、4人でしゃべりながら決めていきました。
阪井 今までやってなかった曲とか、ひさしぶりな曲とかけっこう詰めていったな。
尼川 やってみて楽しかったですね。今までよりバンドのタフさみたいなのを感じられたし。俺らはちょっと小心者で繊細なので、一発だけの大きいライブが苦手なんですよ。でも、今回は1回きりだからこそちゃんと気持ちが乗って、頭からいいライブができた気がしました。ある意味冷静である意味熱い、みたいな……そういう感覚が心地よかったです。
小倉 俺は集大成的なライブではあったけど、一方で2020年に向けての挑戦が表れたライブだったと思う。未発表の新曲をライブで2曲も初披露することはこれまであまりなかったし、「To be continued...」とかあまりやってこなかったflumpool史上最速の曲も演奏したりして。勢いのあるflumpoolを見せられたライブだったと思います。
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「HELP」歌い納め?