一生がもっと信用できるようになれば……

──レコーディングはいかがでしたか？

小倉　ダンサブルな曲なので、聴いてわかる通りドラムはどシンプルなことをやってます。あんまり派手なことをしちゃうと土台としてうるさすぎるので、リズム隊としてドッシリ支えることに徹しようと。あとはとにかく聴いてくれた人が踊れるようなビートを刻もうっていうことを意識しましたね。もともとEDM系の音楽は好きなんで、レコーディングは楽しかったですよ。

尼川　ベースも同じくっていう感じですね。土台という目線でのアプローチというか。ただ僕の場合、支え系はけっこう苦手なんで悩むところはありましたけど。

──つい動きたくなってしまう？

尼川　そうっすね。だからシンプルにいかないとダメっていう場合は、プリプロ段階でちょっと悩みます。今回もいろいろ試してみたりはしたんですけど、結果的にはシンプルな演奏のほうがしっくりきた感じでしたね。

──ギターはどんなイメージで入れていきました？

阪井　ギター以外をガッチリ仕上げたあと、最後に入れたんですよ。シンセとギターがユニゾンしてるところもありますけど、基本的にはシンセの間を縫うというか、隙間を埋めていっている役割です。サビでもギターがジャカジャカ鳴っている感じではないので。

──エフェクトを多用したボーカルも印象的ですよね。

阪井　Auto-Tuneをかけるところはめっちゃこだわってましたね。ミックスの段階で、「ここをケロらせたい！」みたいな。

山村　うん。まあでも、ボーカルのエフェクトに関してはアタック感が欲しかったっていう理由ですね。全体的な歌に関しては、軽やかな感じをイメージしました。無機質に突き進んでいくリズムの重さがある一方で、さわやかで軽快なメロディが印象的だと僕は思ったので、そのイメージのまま歌った感じです。

──今回のアレンジャーは、flumpool楽曲ではおなじみの百田留衣さんですね。

阪井　はい。音色とか、細かい部分の調整をお願いした感じですね。最近はアレンジャーさんにお願いしても、デモからそこまで大きな変化はないんですけど。

──そうなるとバンド内でアレンジまで完結させることができるんじゃないかなと思ったりもするんですが、そのあたりってどうなんですか？

尼川　いやー、でも90％を100％にする自信はまだないというか。細かい部分をしっかり見てくれる監督的な立場の人にいてほしいんですよね。

小倉　うん、確かにまだそうだな。

阪井　自分たちだけで全部完結しようとしても、どこか抜けてる部分があるんですよね。だから第三者の目はまだ必要というか。

尼川　で、百田さんはセンスが合うっていうことで今までやらせてもらってきたし、そこで生まれた信用もあるのでやっぱり頼りにしてる部分は大きいんですよね。一生がもっと信用できるようになればセルフでも全然やりますけど。まだちょっと信用できない（笑）。

阪井　俺も自分が信用できない（笑）。だからセルフはまだ早いっすね。もうちょっと修行したいです。ゆくゆくはそうできたらいいですけどね。

「EGG」を上回るメッセージを伝えたい

──“心を解き放て”と高らかに叫ぶ歌詞は、「EGG」からの流れを強く感じました。やはり今のflumpoolは“解放”をテーマにしているんだなと。

山村　そうですね、うん。内側にあるものを解放するっていうのは「EGG」での1つのテーマでしたけど、今回はそれをさらに一段上回るメッセージを書きたいなと思ったんです。強靭なメロディとアレンジのこの曲なら、それができると思ったので。今の時代は情報がすごく多いし、ケータイ1つでなんでも手に入れて、知ったような気になれる。でもその分、想像することが失われてもいると思うんですよね。だからこそ、聴き手の想像力を掻き立てて、行動につなげてもらえるような言葉を選ぶように心がけました。

──メッセージを噛み締めながら聴き、踊れるダンスチューンっていうのもいいですよね。flumpoolらしいアプローチだと思うし。

山村　この曲は、なんでこの時代にEDMが求められるのかっていうことをすごく考えながら作ったところもあるんですよ。だから、僕なりのそういった疑問がかなり入ってるとは思いますね。

──なるほど。その答えが“FREE YOUR MIND”だということですね。確かにEDMで踊っている人たちは無意識に“FREE YOUR MIND”な状態になっているものだけど、それをあえて言葉として表現するとこの曲で描かれているメッセージになる、と。

山村　うんうん、そうですね。わかってくださってありがとうございます。この曲は早くライブでやりたいですね。お客さんに盛り上がってもらえたらうれしいです。