一生忘れられない思い出

──「FOR ROOTS ～オオサカ・フィールズ・フォーエバー～」から約3カ月が経ちました。まずは改めて感想を聞かせてください。

山村隆太（Vo）　僕らにとって初めての野外ライブを故郷でできたっていう意味で、今までやってきたライブの中でもすごく特別なものになりましたね。ライブ中にも言ってましたけど、一生忘れられない思い出になったなって。

小倉誠司（Dr）　初めてのことが多かったので、どうなるか不安もありましたけど大成功だったんじゃないかなと。いい経験をさせていただきました。過酷な状況でしたけどね。

──両日ともかなり気温が高かったようですね。

小倉　そうそう。だからまたもし野外でやることがあれば、そこらへんも考慮しなきゃっていう勉強にもなりました。ライブの時期やライブの時間帯もちゃんと考えようっていう（笑）。

尼川元気（B）　自分たちが中心となっていろいろと1から作り上げた感の強いライブだったので、それが成功できて本当によかったなって思いますね。

阪井一生（G）　演出面も音も、細部まで今まで以上に作り上げたもんな。そういう経験は今後にきっとつながるだろうなって思います。もうすでに実感してますけど、あのライブがあったから今の俺たちがあるっていうか。

山村　そうだな。今回、大泉緑地っていう全国的に有名ではない場所でライブをしたわけですけど、僕らにとっては生まれ育った街にある場所だし、そこにはいろんな思い出が詰まっているんですよ。だから何もない場所だけど、“何か”があるっていう。そういうことを伝えるために、そこにある木や芝生、空や風みたいな自然を生かしたごくナチュラルな見せ方を意識したんです。それによって本当に大切なものに自分たちとしても新たに気付けるんじゃないかなって。

──そこには、ライブタイトルにも掲げられた自分たちの“ルーツ”を再確認する意味合いもあったんですよね。ライブを終えてみて、それは成功しましたか？

山村　はい。活動を続けてきた中で、僕らはいろんなものを失ってきた気がするんですよ。それは例えば音楽を始めた当初の純粋さであったり、音楽から離れていってしまったバンド仲間であったり、それぞれの生活が忙しくてなかなか会えなくなった友達であったり。消えてしまった故郷の景色もありますしね。そういったものを、初心に返ることができたこのライブの中で取り戻すことができたんです。

──はい。

山村　でもその上で、それでも残っている大切なもの……僕らにとっては音楽や応援してくれるお客さん、周りのスタッフの存在ですけど、そういうものも間違いなくあるなって思えたんですよね。そう考えると、これから10代の頃のような勢いで活動できるかはわからないけど、今ある大切な存在のためにバンドを未来に向けてしっかり動かしていけそうだなってすごく思えた。これから何が伝えられるかっていうことも楽しみになりましたし。それが今回の経験を通して得た、一番大きな収穫だったかなって。

小倉　一方では、単純に達成感を強く感じるライブができたことで満足しているところもあって。僕らがこのライブで手に入れたかったものは、みんなでたくさん話し合いながら過ごしてきた準備期間であったり、リハーサル作業であったり、あれだけのお客さんが集まってくれたライブ本番であったりで、もう十分確認できてしまったんじゃないかなって。あれこれ考えなくともね。ライブ後に改めてメンバー同士で確認作業をしたわけでもないですけど、ライブを通して感じた喜びのデカさが何よりの答えになっていたんじゃないかなって思います。結局、僕らのルーツは音楽とライブなので、そういう感覚も間違ってなかったと。

──ちなみにライブ後はどんなふうに過ごしたんですか？

阪井　ライブが終わった直後はもうとにかくしんどくて（笑）。

山村　それぞれ感じたことはたくさんあったけど、それを特に語り合ったりすることもなく。まあ、普段通りの変わらぬ4人って感じでしたね。そんな感じが僕らっぽくもあると思うし。

尼川　終わったら速攻タクシーに乗って帰るっていうね。

阪井　めっちゃ冷たいな！ そんなことないわ！ 嘘です！（笑）

小倉　ライブのあとに打ち上げやりましたね。みんなでバーベキューを。

山村　あんなにラフな打ち上げ初めてじゃない？ 地元の友達とかインディーズ時代の先輩バンドとか懐かしい顔もたくさん見られて。そういうのも地元っぽくて楽しかったですね。