ナタリー PowerPush - flumpool
フロントマン山村隆太が振り返る5年
2010年 「君に届け」
- 君に届け
──2010年はなんと言っても、「君に届け」のヒットが印象に残っています。
(ビデオクリップを観ながら)この髪型……。
──気になります?
元気は毒キノコみたいだし、一生はオカマの人みたいだし(笑)。俺の髪型も……実はジム・モリソンの雰囲気がいいなと思ってこの髪型に……。
──なるほど! The Doorsの1stアルバムの頃のジム・モリソンに髪型が似てますね、そういえば。
そうそう(笑)。この頃こういう髪型がカッコいいなっていう。
──そんな理由があったとは(笑)。「君に届け」という楽曲についてはどうですか?
映画(「君に届け」)の主題歌ということで、まず原作のマンガを読むところから始めたんですよね。作った当初は……ちょっと恥ずかしい気持ちもありましたね、実は(笑)。こんなにストレートな言葉を歌うことはなかったし、普段は絶対に言わないじゃないですか、こういうことって。「君に逢えたこと 本当によかったと そう言える」とかもそうですけど、伝わり過ぎるのが恥ずかしいというか。今だから言えますけど、最初は「これ、どうかな?」っていうところもあったんですよ。
──ストレート過ぎるんじゃないか、と。
「labo」みたいな曲を作ってた男ですからね。「これはあくまでもロボットの話です」みたいな回りくどい言い方をしながら、自分の思いを表現することしかできなかったというか。そういうタイプの人間なんですよ、もともと。ただ、一方では「こういうストレートな歌を歌えるバンドは意外と少ないかもな」とも思ったんですよね。実際、ライブでは鉄板の曲になってますから。でも、このビデオクリップの髪型は……(笑)。
──この年のツアー「flumpool tour 2010『What's flumpool !? ~Love & Piiiiss Kids Show!!~』」に関してはどうですか? 約3カ月で46公演というかなりハードなツアーだったわけですが。
ここまで細かく回るツアーは初めてだったんですけど、当時の僕らにとってはありえないほどタイトなスケジュールでキツかったですね。「スタッフは何を考えてるんだろう?」って思ってた(笑)。映画にもなったTHE YELLOW MONKEYの「PUNCH DRUNKARD TOUR」ほどではないですけど……。
──吉井和哉さんがMCで「このツアーは失敗でした」と言った伝説のツアーですね。当時のflumpoolにとってはかなり過酷なツアーだった、と。
僕のポリープもありましたからね。日程的にもどんどんキツくなって、最終的には週5でライブということもあったんです。バイトのシフトみたいだなって(笑)。ライブをやるのはもちろん楽しいんですけど、声が思うように出せないし、休めないし……。最後の1カ月、ライブ以外でまったく人と話さなかったんですよ。
──喉に負担をかけないために?
そうです。確かに肉体的にも精神的にも負担がありましたけど、すごく糧になりましたね。人間やったらできるんだっていうタフさが身に付いたと思います。
2009年 「星に願いを」
- 星に願いを
──2009年はデビュー2年目。だんだん記憶もあやふやになってると思いますが(笑)。
大変なことばかり思い出してしまいますね(笑)。楽しいことも多かったはずなんだけど……。
──苦しいことのほうが記憶に残ってしまうんでしょうね、きっと。
うん、ホントにそうだと思います。「星に願いを」は初めてのCDパッケージシングルだったんですよ。しかも、ようやく自分達が作詞も作曲もした曲をリリースすることができたという思いの一方で、「どれくらいの人が聴いてくれるんだろう?」という心配があって。
──真価が問われるシングルだったわけですね。
デビュー曲の候補にも挙がってましたからね。もちろん「この曲で勝負したい」という気持ちもあったんだけど、「花になれ」で自分たちのことを知ってくれた人が離れていったら自信を失うことにもなるなって。それがめちゃくちゃ怖かったし、リリース前は眠れなかったですね。
──「星に願いを」がヒットしたときは安心した?
そうですね。今でも「『星に願いを』が好きです」と言ってくれる人は多いし、ファンの投票でも上位に入る曲なので。やっぱり、ヒットしたことで自信になりましたね。次のシングルに入ってる「MW ~Dear Mr. & Ms. ピカレスク~」はインディーズ時代に制作したものをリメイクした曲なんですけど、それも「星に願いを」のヒットを受けて「行けるぞ!」という気持ちになれたから出せたと思うし。
──なるほど。この年のもう1つのトピックは、10月に行われた初の日本武道館公演だと思うのですが。
うん、それが一番のトピックだと思います。デビュー前は、ライブに来るお客さんがメンバーより少ないということもありましたから。その後、CMソングをやらせてもらって、たくさんの人が知ってくれて……。本当はたった1年で武道館なんて、そんなに甘いもんじゃないと思うんですよね。
──でも、“やるしかない”という状況だったわけですよね?
はい。気を失いそうになりましたけどね。WEAVERがオープニングアクトをやってくれたんですけど、僕らはステージの横で緊張のあまり気を失いかけてました(笑)。本番前、トイレに渋滞ができてましたから。どんなライブだったかも、全然覚えてないし……。夢に見てた場所ですからね、武道館は。上京前の最後のライブでも「武道館でライブをやるから、絶対に来てくれ」って言ったんですよ。その夢の場所にデビュー後すぐに立てたんだけど、バンドとしては“現実に追いついてない”というところがあって。
──2013年の2度目の武道館は、リベンジの意味もあった?
そうですね。2010年の武道館でいろんな課題が見えて、それを少しずつがんばってきて。やっと本当に武道館に立てたという感覚がありましたね、去年は。
- ベストアルバム「The Best 2008-2014『MONUMENT』」/ 2014年5月21日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 3996円 / AZZS-21
- 通常盤 [CD2枚組] 3456円 / AZCS-1030~1
-
DISC 1 収録曲
- 花になれ
- 星に願いを
- どんな未来にも愛はある
- 春風
- 君をつれて
- 微熱リフレイン
- Belief ~春を待つ君へ~
- MW ~Dear Mr. & Ms. ピカレスク~
- 「labo (Re-format)」
- two of us
- 強く儚く
- Over the rain~ひかりの橋~
- ビリーバーズ・ハイ
- 覚醒アイデンティティ
- 証
DISC 2 収録曲
- 明日への賛歌
- reboot ~あきらめない詩~
- 大切なものは君以外に見当たらなくて
- 今年の桜
- 残像
- Because... I am
- Touch
- Answer
- イイじゃない?
- 見つめていたい
- Hydrangea
- Snowy Nights Serenade~心までも繋ぎたい~(Choral Xmas Ver.)
- 夏Dive
- 君に届け
- フレイム
初回限定盤DVD 収録内容
- 「Music Heartbeat~Recording Documentary & Studio Live~」
- DVDシングル「ビリーバーズ・ハイ」/ 2014年5月21日発売 / A-Sketch
- [DVD] 1080円 / AZBS-1019
-
収録内容
- 「ビリーバーズ・ハイ」ミュージックビデオ
- テレビアニメ「キャプテン・アース」ノンテロップ オープニング映像
flumpool(フランプール)
山村隆太(Vo)、阪井一生(G)、尼川元気(B)、小倉誠司(Dr)の4人で2007年に結成。2008年10月にメジャーデビュー作となるダウンロードシングル「花になれ」を発表し、10日間で100万ダウンロードを記録した。同年11月にはデビューミニアルバム「Unreal」をリリース。2009年にはシングル「星に願いを」のヒットで注目を集め、10月には初の日本武道館公演、年末には「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2010年12月には4日間に渡るアリーナライブも大成功に収め、2011年9月に「第78回NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部課題曲に起用された「証」をシングルとしてリリースし、3年連続で「NHK紅白歌合戦」に出演。2012年3月からは過去最大規模となる全国ツアー「5th tour 『Because... I am』」を行い、12月にアルバム「experience」を発表した。2013年に入ってからは横浜アリーナと大阪城ホールでアリーナ公演を、アジア圏でのCDリリースおよび海外ライブも行う。7月にシングル「大切なものは君以外に見当たらなくて / 微熱リフレイン」を、10月にシングル「強く儚く / Belief ~春を待つ君へ~」を発表。デビュー5周年を迎えた10月には、日本武道館で2日間にわたりスペシャルライブを行った。2014年4月からは全国ツアー「5th Anniversary tour 2014『MOMENT』」を開催。5月に初のベストアルバム「The Best 2008-2014『MONUMENT』」とDVDシングル「ビリーバーズ・ハイ」を同時リリースした。8月には神奈川・横浜アリーナと大阪・大阪城ホールで、全国ツアーのアリーナ公演を控えている。