ナタリー PowerPush - flumpool
フロントマン山村隆太が振り返る5年
2012年 「Because... I am」
- Because... I am
──2012年は3月から全国42カ所52公演のロングツアー「flumpool 5th tour 2012『Because... I am』」を開催しました。このツアーもバンドにとっては大きな経験になったのでは?
そうですね。半年かけて52公演を行ったので、体力的には大丈夫だったけど、このときはとにかく気合いが入ってたんですよ。2011年に東日本大震災があって、「みんなでひとつになってがんばらなくちゃいけない」という気持ちが生まれて……。で、その次の年の2012年は、自分たちの中で「いかに個の力を磨けるか?」というテーマがあったんですよね。
──「Because... I am」の歌詞も、“自分でいたい”というメッセージが軸になっていますね。
しかも謝罪から始まってますからね。「生まれてごめん これが僕です」って。そこから自分を解放していくっていう。ビデオクリップもめちゃくちゃ力が入ってました。全員が“俺が俺が”っていう感じというか。このビデオの監督はフカツマサカズさんなんですよ。「花になれ」や「覚醒アイデンティティ」も撮ってもらってるんですけど。
──バンドの演奏シーンをリアルに撮ることで有名ですよね。
そうそう。こだわりがすごくて、とにかく何回も撮るんですよ(笑)。「Because... I am」のときも何回撮ったか……。
──この時期のflumpoolのエネルギーが伝わる、素晴らしいビデオだと思います。そして12月には3rdフルアルバム「experience」もリリースしました。
ライブアルバムというわけではないですけど、ツアーの中でできたアルバムだと思いますね。例えば「Answer」という曲は、ツアーの中で感じたことがそのまま表現されていたり。「ライブでこういう曲をやりたい」というアイデアが元になってるんですよ。壮大なストリングスとバンドの重厚なサウンドを絡み合わせるっていう。
──ステージでの“経験”を重ねることで、楽曲のリアリティが増していくという。バンドにとっては極めて健全なことですよね。
インディーズの頃って、まさにそうでしたからね。「labo」(※2008年リリースのシングル)の頃は、ライブをやりながら曲を育てていったんですよ。ステージで実際に演奏することで、歌詞もアレンジも変わっていくっていう。「experience」はそれに近い感じがあったと思います。「Natural Venus」「イイじゃない?」なんかもツアーの後半からやってましたから。今聴いても、当時のライブ感を感じてもらえるんじゃないかなって。
2011年 「証」
- 証
──2011年は震災直後の4月から全国ツアー『4th tour 2011『Fantasia of Life Stripe ~僕達はここにいる~』」を開催。
ツアーの初日が、震災の影響で延期になったんですよ。結局、福岡から始まったんですけど、当時は「自分たちだけ楽しく音楽をやっていいのか?」という気持ちもあって。
──エンタテインメントに関わる人たちは全員、葛藤を抱えていた時期ですからね。
そうですよね。みんなが「自分には何ができるだろうか?」と考えただろうし……。でも、実際に福岡でライブをやったときに「今だからこそ音楽をやるべきだ」という気持ちになれたというか。自分たちには音楽があるということを改めて実感できたし、日本中を元気付けるためにもツアーを続けようという気持ちにもなれて。そういう勇気をもらったんですよね、福岡のお客さんに。
──「証」はそういう気持ちの中から生まれた曲なんですか?
いや、あの曲は震災があってできた曲ではないんですよね。
──でもどこか震災と結びついている印象がありますよね。
ええ。合唱コンクール(第78回NHK全国学校音楽コンクール 中学校の部 課題曲)のために書き下ろした曲ということもあるし、本当にたくさんの人たちに歌ってもらって。それが震災と結びついたところもあると思います。NHKの番組の撮影で、地方の学校に合唱を観に行ったりもしたんですけど、皆さんに歌ってもらうことで、自分たちだけでは行けない場所にまで曲が届いた感覚があって。自分たちの楽曲というより、「みんなの歌」っていう気がしてるんですよね。被災地の子が「自分たちより苦しんでる人たちがたくさんいるから、僕らはこの歌を歌って届けたい」って言ってくれたことも印象に残ってますね。
──この年は、1月に2ndアルバム「Fantasia of Life Stripe」をリリースしてますね。今振り返ってみて、どんなアルバムだと思いますか?
このあたりから記憶が曖昧なんですけど(笑)、とにかく「自由な発想で作りたい」と思ってましたね。タイトルの“Fantasia”にも、枠を決めないで自由に音楽を作りたいという気持ちを込めたので。“Life Stripe”というのは、1日の行動を色別に描くことだったりして。例えば“仕事は赤”みたいに色分けしていくと、まったく同じ柄になることはないと思うし、すごくカラフルじゃないですか。実際、アルバムのジャケットのストライプは、アルバムが完成した日の僕の1日を色分けしてるんですよね。僕たちの音楽が、みんなの日常の中に染み込んでほしいという気持ちもあったし。
──バンドの名前が浸透してきて、「自分たちには何ができるだろう」と考え始めた時期なのかも。
うん、そうですね。1stアルバム(「What's flumpool !?」)は「これがflumpoolだ」という提示だったと思うんですね。その後、いろんな見方をされるようになって、レッテルをたくさん貼られて。そういう状況の中で前が見えづらくなることもあったんですけど──イメージに沿うような曲を作らなくちゃいけないのかな、と思ったり──いろいろ考える中で「もう1回、自由にやってみよう」というモードになったというか。打ち込みが好きになって、曲に取り入れ始めたのもこの時期だったと思いますね。
- ベストアルバム「The Best 2008-2014『MONUMENT』」/ 2014年5月21日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 3996円 / AZZS-21
- 通常盤 [CD2枚組] 3456円 / AZCS-1030~1
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DISC 1 収録曲
- 花になれ
- 星に願いを
- どんな未来にも愛はある
- 春風
- 君をつれて
- 微熱リフレイン
- Belief ~春を待つ君へ~
- MW ~Dear Mr. & Ms. ピカレスク~
- 「labo (Re-format)」
- two of us
- 強く儚く
- Over the rain~ひかりの橋~
- ビリーバーズ・ハイ
- 覚醒アイデンティティ
- 証
DISC 2 収録曲
- 明日への賛歌
- reboot ~あきらめない詩~
- 大切なものは君以外に見当たらなくて
- 今年の桜
- 残像
- Because... I am
- Touch
- Answer
- イイじゃない?
- 見つめていたい
- Hydrangea
- Snowy Nights Serenade~心までも繋ぎたい~(Choral Xmas Ver.)
- 夏Dive
- 君に届け
- フレイム
初回限定盤DVD 収録内容
- 「Music Heartbeat~Recording Documentary & Studio Live~」
- DVDシングル「ビリーバーズ・ハイ」/ 2014年5月21日発売 / A-Sketch
- [DVD] 1080円 / AZBS-1019
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収録内容
- 「ビリーバーズ・ハイ」ミュージックビデオ
- テレビアニメ「キャプテン・アース」ノンテロップ オープニング映像
flumpool(フランプール)
山村隆太(Vo)、阪井一生(G)、尼川元気(B)、小倉誠司(Dr)の4人で2007年に結成。2008年10月にメジャーデビュー作となるダウンロードシングル「花になれ」を発表し、10日間で100万ダウンロードを記録した。同年11月にはデビューミニアルバム「Unreal」をリリース。2009年にはシングル「星に願いを」のヒットで注目を集め、10月には初の日本武道館公演、年末には「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2010年12月には4日間に渡るアリーナライブも大成功に収め、2011年9月に「第78回NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部課題曲に起用された「証」をシングルとしてリリースし、3年連続で「NHK紅白歌合戦」に出演。2012年3月からは過去最大規模となる全国ツアー「5th tour 『Because... I am』」を行い、12月にアルバム「experience」を発表した。2013年に入ってからは横浜アリーナと大阪城ホールでアリーナ公演を、アジア圏でのCDリリースおよび海外ライブも行う。7月にシングル「大切なものは君以外に見当たらなくて / 微熱リフレイン」を、10月にシングル「強く儚く / Belief ~春を待つ君へ~」を発表。デビュー5周年を迎えた10月には、日本武道館で2日間にわたりスペシャルライブを行った。2014年4月からは全国ツアー「5th Anniversary tour 2014『MOMENT』」を開催。5月に初のベストアルバム「The Best 2008-2014『MONUMENT』」とDVDシングル「ビリーバーズ・ハイ」を同時リリースした。8月には神奈川・横浜アリーナと大阪・大阪城ホールで、全国ツアーのアリーナ公演を控えている。