「やったれや！」っていう感覚

──通常盤に収録されているボーナストラック「OLDIES but GOODIES-flumpool 5th year anniversary non-stop mix-」もとても興味深かったです。これまでのシングル全20曲をミックスした音源ですね。

山村　5年目っていうのもあるし、メドレー的な音源を入れたいと思ったので。これまでの曲をリミックスするというのも、このタイミングでしかやれないかなって。自分たちにとっては「懐かしいな」って思う曲もありますけど、聴く人にとっては、バンドの流れをわかりやすく感じてもらえると思いますね。

──最後に10月1、2日に行われる日本武道館ライブについて聞かせてください。まず、2013年のワンマンライブは今回の武道館公演だけなんですよね？

山村　そうです。そこまで器用なバンドではないですし、武道館は僕らにとって大切な場所でもあるので、この2日間に賭けたほうがいいだろうなって。

──武道館ライブは2009年に続いて2回目。最初の武道館の記憶ってありますか…？

山村　ないですね、ほぼ。ないよな？

阪井　うん。ラストシーンは覚えてるんですけどね。客席の明かりがついて、みんなで一緒に歌ったシーンは鮮明に残ってるんですけど、そのほかのことは全然覚えてないっていう。とにかく人生で一番緊張してましたから。

山村　よくわかってなかったんですよね、たぶん。ずっと夢見ていた場所だったんですけど、デビューから下積みがあったバンドでもないし、例えばクアトロから渋谷公会堂、そこから武道館、みたいな流れがあったわけでもないので。実力も追いついてないし、そのぶん焦りや不安もあって……。だから、必死でもがくしかなかったんですよね。余裕は全然なかった。

──悔いが残ってる部分があるのかも。

山村　当時は武道館のあともいろんな予定が詰まっていたし、しっかり足跡を刻む感覚が持てなかったんですよ。今回は一歩の重みだったり、ちゃんと足跡を残したいなと思います。

──デビュー5周年の武道館は前回とは違う雰囲気になりそうですね。

山村　うーん、どうなんでしょうね？ 地に足をつけてやらなくちゃいけないとは思ってるんですけど、今のflumpoolをそのままやればいいというわけでもないと思うんですよ。当時は精一杯やるしかなかったんですが、何かにしがみつくように音楽を必死で鳴らすというか。観客がライブで観たいのって、そういうところだったりするじゃないですか。

──そうかもしれないですね。観ている人が求めているのは、演奏のクオリティだけではなくて……。

山村　そうなんですよね。その日にしか見られない姿だったり、1つひとつの言動だったり。だから「今日で終わってもいい」という気持ちでライブをやってる。そういう姿を見せられるバンドでありたいな、と。

──最近はライブの雰囲気も変わってきてますよね。「何が起きるかわからない」というムードがあるというか。

山村　昔は“失敗しないように”という感じでやってたんですよ。すごく飾っていたし、カッコ付けてたし。今もカッコ付けてるんですけど（笑）、本当に伝えたいのはそこじゃないなと思うようになってきて。たとえ声がガラガラであっても、「今日しかない歌を聴いてくれ」という思いでやれば、伝わるものがあるはずだっていう。

阪井　うん。

山村　もしかしたら開き直りに近いのかもしれないけど、何があっても対処できる感じになってるし、どんなこともチャンスに変えていける強さも見せなくちゃいけないので。「やったれや！」っていう感覚になっているし、そこは変わってきた部分だと思いますね。