ナタリー PowerPush - フラワーカンパニーズ
初のオールタイムベスト発売記念 フラカン激動の20年の真実に迫る
達成感がまったくなかったアンティノス契約終了時
──インディーズに移った時点で、すでに結成して10年過ぎてましたよね。最初の10数年、ブレイクもなく続けて心折れることもあったと思うんです。そこからさらにまた継続していこうという気持ちを維持できたモチベーションってどこにあったんですか?
鈴木 うーん、達成感がまったくなかったですからね。チャートで1位とか取ってたらまた違ったのかもしれないけど。まぁなったことないからわかんないけど。やっぱり何の結果も出せてないし、まだ燃えカスみたいなものが溜まりまくってたんだよね。
マエカワ それで終わったところで、「じゃあ何やろう」っていうのもなかったしね。逆に売れてたら辞めてたかもしれないし、ソロやろうと思ったかもしれなし。
鈴木 これが23~4歳だったら、IT系とか違う道もあったかもしれない。
マエカワ ネットもしない人間が、ITとか(笑)。
鈴木 30超えてたのが逆に腹括りやすかったっつうかね。メンバーみんな、あそこで腹を括り直したし、それは大きいと思います。
──確かに30代になって何か別のことを始めるのはしんどいですよね。でも10年続けてきたものをすぐにあきらめるのも難しいし、達成感を得られなかったらなおさら辞めにくい。それをバネにしてまたやってやろう、這い上がろうというのもすごくパワーが要るし。
マエカワ パワーが要るのかもしれないけど、今思うとそこはすごい楽しめたんですよね。当時ツアーで全国をまわるとお客さんが10分の1ぐらいになってるところが多かったんだけど、ここを取り逃したらもう絶対ダメだと思って、4人で改めてがんばらなきゃいかんなと決意したんです。それで、次に行ったときにちょっとでもお客さんが増えてたら「おっ、増えたじゃん!」と喜んで。そこは周りが思ってるほど、しんどくはなかったんですね。
鈴木 むしろメジャー最後のほうがしんどかったですよ。動員も頭打ちで徐々に減ってきてるのが、もう身に染みてわかってる頃。にもかかわらず、なんとなく歯止めがきかなくなって、あのときのほうがよっぽどしんどかったな。
辞めるんだったらもうちょっと巻き返して惜しまれて終わりたかった
──メジャー契約が切れたタイミングで解散するバンドも多いですよね。それでもフラカンが解散を選ばずに活動を続けたのは、自分たちの才能を信じてたからなんですか?
マエカワ 才能とかじゃなくて……。
鈴木 タイミングじゃない? まぁ(才能を)信じてなかったら絶対にやれないですけどね。
マエカワ ただ、俺らには「売れる」という才能はないと思う。それをちょっとでもぶち壊したいところはあったかな。何が起きるかわからないし、やれるところまでやってみたいという気持ちは、その当時みんなあったんじゃないですかね。ここで解散してもいいし、辞めたい人おるかもしれんから1回みんな家に持ち帰って、また1週間後にやるかやらんか決めようよ、みたいな感じだったし。
鈴木 意地もあるし、なんとなく「辞めるタイミングが今っつうのは、一番カッコ悪いんじゃないの?」というのはあったね。どうせ辞めるんだったらもうちょっと巻き返して、いいとこで解散して惜しまれて終わりたかったし。
──巻き返すためのビジョンは見えてたんですか?
マエカワ いやぁ、やり始めた頃はまったく見えてなかったと思いますよ。とりあえずライブで全国をまわらんとダメだなと。
鈴木 メジャーの頃みたいな宣伝はできないから、その分ツアーの数が一気に増えたよね。
マエカワ 倍ぐらいに増えたね。いろんな人から「お客さん入らないんだったら、東名阪だけにしたほうがいいよ。金もキツイでしょ?」と言われたけど、そうしたらもっとお客さんが減るんです。
鈴木 行かなきゃ行かないだけ減るもんね。
マエカワ 長く続けようと思ったら、お客さんが少ないところでも可能性がある限りどんどん行かないとダメ。続けたことで、30人に減ったところが100人になってワンマンができるようになったりもしたしね。
CD収録曲
- 深夜高速
- 吐きたくなるほど愛されたい
- 恋をしましょう
- はぐれ者讃歌
- 東京タワー
- 孤高の英雄(ヒーロー)
- 真冬の盆踊り
- 夜明け
- 冬のにおい
- この胸の中だけ
- 元気ですか
- 俺たちハタチ族
- 発熱の男
- サヨナラBABY
- 脳内百景
- 虹の雨あがり
- YES, FUTURE
[Bonus Track] - 東京タワー (LIVE)
初回盤限定:お年玉DVD収録映像
- 小さな巨人
1997年5月5日@日比谷野外音楽堂 SPACE SHOWER TV Sweet Love Shower ‘97より - 深夜高速
2004年8月27日@川崎CLUB CITTA’ SET YOU FREE ~ SUMMER FESTA 2004より - 終身刑 ~ NUDE CORE ROCK’N’ROLL ~ YES, FUTURE ~ 真冬の盆踊り
2009年4月23日@京都磔磔 フラカン生誕20周年記念祭より - 東京タワー
2009年10月17日@日比谷野外音楽堂 フラワーカンパニーズ20年だョ! 全員集合より - Music Video 深夜高速 (2009)
フラワーカンパニーズ
1989年4月23日に鈴木圭介(Vo)、グレートマエカワ(B)、竹安堅一(G)、ミスター小西(Dr)の4人により名古屋で結成されたロックバンド。地元・名古屋を拠点とした精力的なライブ活動を経て、1994年に上京。1995年にアルバム「フラカンのフェイクでいこう」でメジャーデビューを果たす。以後、2000年までに6枚のフルアルバム、1枚のミニアルバム、12枚のシングルを発表。しかし、翌2001年に契約終了を迎え、活動の場をインディーズに移す。同年からそれまで以上に活発なライブ活動を敢行。2002年には自主レーベル「トラッシュ・レコーズ」を設立し、7thアルバム「吐きたくなるほど愛されたい」をリリースする。以降も「発熱の男」「東京タワー」「世田谷夜明け前」「脳内百景」といった名作を連発。特に2004年に発表されたシングル「深夜高速」は、ファンのみならず多くのロックファンから愛され続けている。2008年11月には7年8カ月ぶりにメジャー復帰し、アルバム「たましいによろしく」とシングル「この胸の中だけ」を同時発売。バンド結成20周年を迎えた2009年には、「深夜高速」をさまざまなアーティストがカバーしたコンピレーションアルバム「深夜高速 -生きててよかったの集い-」のリリースや、11年ぶりの日比谷野外大音楽堂ワンマンライブなどで注目を集めた。バンドは現在も全国各地でライブ活動を展開中。またグレートマエカワや竹安堅一は、うつみようこ & YOKOLOKO BANDなどにも参加している。