音楽ナタリー Power Push - FLOW
GARNiDELiA・tokuと語る 音楽とアニメのクロスオーバー
飛行機の中で作業の様子を見られていた
──では改めてアルバムのお話を。各楽曲のアレンジはどう進めていったんでしょう?
TAKE 人それぞれですね。tokuさんとはデータのやり取りで進めさせてもらいましたけど、キバオブアキバとは、直接会って歌詞の内容についても話し合って。AFRAくんとの作業はセッションに近い感じでしたね。スタジオに直接来てもらって、その場でヒューマンビートボックスでいろんなビートを刻んでもらって構築していくやり方でしたし。
──HISASHIさんとの作業はどうでしたか?
TAKE HISASHIさんは仕事が早くてびっくりしましたね。「この曲がGLAYの曲だったら」っていう想定の上でデモ音源をツインギターの曲にアレンジしてくれたんですけど、僕が歪んだバッキングを弾いていたら即座にクリーントーンのカッティングを入れてみたり、リードは2人でハモってみたりっていうアイデアをすごいスピードで出しながら、どんどん曲を構築してくれて。
──制作のスピードも人によって異なったと。
TAKE そうですね。tokuさんは……。
toku たぶん僕、遅かったです……よね?
KOHSHI うん(笑)。でもインドネシアでも作業してたのを知ってるから(2015年9月、インドネシアで開催された「Anime Festival Asia Indonesia 2015」でFLOWとGARNiDELiAが共演)。
TAKE そう、移動中の飛行機の中でもずっとパソコン開いてて。「tokuさんエラいなー」「作業してるなー」と思ってたら「実はうちの曲だった!」って(笑)。
toku うしろの席からずっと見られてました(笑)。
ストリングスと歌だけでロックバンドするのもあり
──そうやって実は顔を合わせているのに、実際の作業はデータ上でやっていたというのも面白いですね。
TAKE 現代的ですよね。tokuさんとはそうすることで「遅かった」とはいえ、やっぱり作業ややり取りにスピード感が生まれたし、でも実際に額を付きあわせて話すことが必要な曲もあって。そういう場合は実際に会うようにしましたしね。疾風さんの三味線のレコーディングとか、すごく面白かったですよ。
toku 三味線のレコーディングはすごい気になる!
TAKE 疾風さんがレコーディングの調整は「自分たちにやらせてくれ」ってことだったので、専門のエンジニアにお願いして。三味線ってマイクのセッティングとエンジニアのEQでサウンドが決まるらしくて、純邦楽を知っているエンジニアの作る音が自分たちの音だからと言っていたので。マイクを立てて弦楽器の音を録るっていう意味ではアコースティックギターのレコーディングに近いんだけど、マイクの位置をちょっとでも間違うとバチが弦に当たるアタック音ばかり録れちゃって音階が録れないみたいなこともあって、すごく難しいらしいんです。
──そのあとのミックスやマスタリングも大変そうですね。「ザ・邦楽サウンド」をロックバンドの音と混ぜなきゃいけない。
TAKE そうなんです。吉田(健一)さんが明確にサウンドのイメージを持っていたから、トータルプロデュースもしてもらったんですけど、それがよかった。最終的にちゃんとした三味線奏者の方が聴いても納得するロックサウンドができあがりました。あと僕たちにとっては、ストリングスと歌だけっていうアレンジもなかなかの挑戦でした。
──「光追いかけて」ですね。
TAKE 「光追いかけて」は歌の表情が非常にリアルに伝わるし、ストリングスだけっていうアレンジもあって歌い方が変わったので、その機微を楽しんでいただけるものになったんじゃないかなって思います。
──実際歌われたKOHSHIさんは、レコーディングはいかがでした?
KOHSHI 高揚感のまま終われたっていうか、めちゃくちゃ気持ちよかったですね(笑)。
TAKE この曲、ほとんどバンドでは演奏に参加してない。僕たちはコーラスで参加してるだけだから(笑)。それで別の高揚感が生まれたのかもしれないですね。でもストリングスと歌だけでちゃんと“ロックバンド”してたから、アリなんです。
tokuさんのアレンジがアルバムの指標になった
TAKE でも今回のアルバムはやっぱりtokuさんのアレンジが面白すぎて(笑)。最初に作った先行シングルの曲がこれだけ突飛で面白いものになったから、ある種の指標にはなりましたよね。ほかの曲でもやりたい放題やり尽くしていいんだみたいな(笑)。
一同 はははは(笑)。
TAKE まあでもホントに、単純に聴く人に楽しんでもらいたいなっていう。このアルバムの取材をやらせてもらってて一番多い感想が、「面白かった」って(笑)。それが一番うれしいです。
──確かに「カッコよかった」とか「メッセージが胸に迫りました」っていう感想も絶対あるはずなんですけど、それ以前にそれぞれの曲の面白さが先に立ちました(笑)。
TAKE そうそう。たぶん純粋に音楽を楽しめたっていうね。次の展開では何が来るんだっていうワクワク感とか。そういう期待を煽ることってエンタテインメントの大事なところではあるし、それをしっかり伝えられた上で楽しんでもらえたんだなって思います。
──tokuさんはいかがですか? 今回のコラボがGARNiDELiAに与える影響はあるんでしょうか。
toku はい。やっぱりガルニデも今後進化はしていくだろうし、その進化の過程というか、自分たちの制作をやりながらFLOWさんのお仕事をやらせていただいたので、絶対に影響は受けてるだろうな、という気はしています。(GARNiDELiAのボーカル)メイリアも「Steppin’ out」の途中段階のアレンジを聴いて「これは新しいね!」って言ってましたし。
TAKE じゃあ今回のアルバムがこんな面白いことになっちゃったのはメイリアちゃんのせいだ(笑)。こんなブッ飛んだアレンジを止めなかったんだから。
──ここにいない人のせいにしないでください!
toku ははははは(笑)。でもホントに海外のライブ現場でもたくさんFLOWさんのステージを観させてもらってますし。それがすごいパワフルなライブで、いつも海外で元気をもらって帰ってくるみたいな感じにもなってたんで。うまく言葉にはできないんですけど、音楽的にも何かしらのものを受け取っている実感はあるんですよね。それだけに今回も参加できてうれしかったです。
TAKE GARNiDELiAの2人には、そのライブと、宿泊先のホテルのロビーで飲んでるところしか見せてないんですけどね(笑)。
toku そうそう。KOHSHIさんはいつもめっちゃ飲んでるから、酔っ払ってダウンしてるときとステージ上がってるときの両極しか見たことない。まさかこうやってシラフで話ができるとは思ってませんでした(笑)。
KOHSHI だから実はちょっと気まずいですもん、今(笑)。
- ニューアルバム「#10」 / 2016年2月3日発売 / Ki/oon Music
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3500円 / KSCL-2682~3
- 通常盤 [CD] / 3000円 / KSCL-2684
CD収録曲
- 虹の空 -Album Ver-
- Oblivion feat.HISASHI(GLAY)
- DARK SHADOW feat. TeddyLoid
- Steppin’out(編曲:toku[GARNiDELiA]&FLOW)
- 光追いかけて -Crystal Lake mix -
- 魑魅魍魎 feat. 疾風
- DECATHLON feat. AFRA
- JOY TO THE WORLD feat. キバオブアキバ
- World Symphony(編曲:井上ジョー&FLOW)
- Good Days ~君を忘れない~(編曲:NAOTO[ORANGE RANGE]&FLOW)
初回限定盤DVD
- 「虹の空」Music Video
- 「Steppin' out」 Music Video (Album Ver.)
- 「FLOW WORLD TOUR 2015 極 -kiwami-」ドキュメンタリー
FLOW LIVE TOUR 2016「#10」
- 2016年2月14日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3(※男性限定ライブ)
- 2016年2月18日(木)大阪府 BIGCAT
- 2016年2月20日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2016年2月21日(日)広島県 SECOND CRUTCH
- 2016年3月4日(金)石川県 vanvan V4
- 2016年3月5日(土)愛知県 ElectricLadyLand
- 2016年3月12日(土)香川県 DIME
- 2016年3月13日(日)京都府 KYOTO MUSE(※女性限定ライブ)
- 2016年3月19日(土)北海道 cube garden
- 2016年3月21日(月・祝)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2016年3月26日(土)東京都 Zepp Tokyo
FLOW(フロウ)
1998年に兄弟であるKOHSHI(Vo)とTAKE(G)が結成したミクスチャーロックバンド。1999年にKEIGO(Vo)とGOT'S(B)、2000年にIWASAKI(Dr)が加入し、現在の編成となる。2003年7月にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。2005年6月にリリースしたシングル「DAYS」がテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」のオープニングテーマに起用されて大ヒットし、一躍人気を高める。2008年9月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し、大成功を収めた。数々のアニメ主題歌を担当したことから海外でも注目を集め、2010年6月リリースのアルバム「MICROCOSM」は欧米44カ国で発売される。メジャーデビュー10周年に突入した2012年7月からは「FLOW THE MAX!!!」と銘打ち、47都道府県ツアーなどさまざまな活動を展開。2015年2月にはアニメ作品への提供曲を収録したベストアルバム「FLOW ANIME BEST 極」をリリースし、初のワールドツアー「FLOW WORLD TOUR 2015 極」を世界8カ国で開催した。2016年2月に10枚目のフルアルバム「#10」を発表し、同月より全国ツアー「FLOW LIVE TOUR 2016『#10』」を行う。
toku(トク)
メイリア(Vo)との男女2人組ユニット・GARNiDELiAのコンポーザー。2010年にGARNiDELiAとは別名義で動画共有サイトにオリジナル曲「ARiA」を投稿し、ユニットとしての活動を開始した。2010年末にミニアルバム「ONE」をインディーズで発表し、その後は国内外のイベントに多数出演。2014年3月にアニメ「キルラキル」のオープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューを果たした。2015年1月にはメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」をリリース。ユニットでの活躍のほか、アンジェラ・アキやLiSAといったアーティストの楽曲を手がけるなど、作曲家および編曲家としても活動している。