質問コーナー

──では質問コーナーに移らせていただきます。まず最初の質問はWalkmanについてですね。「さらなる小型化は可能なのでしょうか？ できるとしたらいつ頃できるのでしょうか？」とのことですが、いかがでしょう？

石崎　小型化するとなると取らなきゃいけない部品が出てくるので、この音質を保ちながらとなるとなかなか難しいところではありますね。ただ、音にこだわって行き着くところまで行き着いたので、もし重さがネックになるのであれば今後はこれを小さくする方向に持っていかなければいけないと思ってます。

さかい　こういうWalkmanという形態を取ったこと自体が持ち運ぶことを前提に作ってるわけじゃないですか。ということはやっぱり軽いほうがいいし、小さいほうがいいですもんね。弱点があるっていうのも可愛いですけど。

石崎　その弱点を解決するために別売りでリモコンを用意してありまして。鞄の中にWalkmanを入れたままでも操作ができます。

──次はさかいさんへの質問ですね。「自分の曲でこれは絶対ヘッドフォンで聴いてほしいという曲があれば教えてください」。

さかい　ないですね。むしろ、それを言うと全曲ですね。まあ、あえて言うと「Headphone Girl」は、ローエンドがめっちゃ出てるので、こういういいヘッドフォンで聴くと全部聞こえるから楽しいですよ。

──なるほど。では続いて、「これ以上音がよくなりますか？ もうすでに最高のところまでいってる気がしますが、まだ開発の余地がありますか？」という質問です。

潮見　過去にMDR-R10というモデルで35万円くらいのヘッドフォンを出したり、QUALIAというブランドで25万円くらいのものを出したりしていて、そのときそのときで「よし！ 最高のものだ」って発表しているんですね。もちろん今回のMDR-Z1Rもそうですけど、おそらく時が経つにつれて新しいテクノロジーが出てきたり、ハイレゾのようにお客さんに届ける音源のところの進化があったりすると思うんです。そういう意味で、当然今現在の最高のものを出していますが、きっと10年後にまたいいものができるのかもしれないと思います。

──「ヘッドホン、イヤホンを選ぶ際、基準にしている曲はありますか？ 私は『薔薇とローズ』がその一つです（特にイントロのベースの1音目で心がときめくか）」。いわゆるリファレンスというやつですね。

さかい　僕はあまり『薔薇とローズ』では聴いてないですね。そんなレンジが広くないので。年代が古いのから新しいのまで、レンジが広いので聴いたり、逆に狭いので聴いたりいろいろですね。

潮見　私はジャズ、クラシック、ロック、ヒップホップ、エレクトロなどいろいろ聴くんですけど、今回のヘッドフォンを作るにあたって協力を依頼したマスタリングスタジオが、ちょうど今回さかいさんにも試聴していただいたマイルス・デイヴィスの「So What」のマスタリングをしたスタジオなんですよ。なので「So What」も聴き込みました。あと、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」は今までに何千回と聴いていて、たまに街中でBGMでかかっていると仕事を思い出すことがあります（笑）。

石崎　僕は宇多田ヒカルさんの曲を聴いてますね。人ってボーカルが一番聴き分ける能力が高くて、そこの違いがよくわかるので。

これからも追求していってほしい

──では最後に、イベントの感想をお願いします。

石崎　アーティストの方とお話しさせていただいて本当に刺激になってよかったです。ありがとうございます。

潮見　個人的に出身地が同じ四国なので、一方的にうれしいなと思いながらお話させていただきました。

さかい　四国ってなんか独特の同郷感ってありますよね。宮崎県の人が、「あ、佐賀県出身なんだ？」って言わないですもんね。

潮見　ですよね（笑）。だからやっぱり東京で会えるっていうのはうれしいですし、こうやって音楽で食べている方とお話しすると我々もちゃんと音を伝えなきゃって思います。

──さかいさんいかがでした？

さかい　一番「そうだよな」って共感したのが、「個性をなくしていく」っていう話ですね。作者のメッセージに自分たちのエフェクトをかけずにお客さんに届けるっていうのはすごくよくわかるというか、僕が同じ立場だったとしてもそこを追求すると思いますね。ぜひこれからもそこを追求していってほしいと思います。